これから開催

清岡卓行展――大連、パリ「円き広場」

清岡卓行 1959年8月 撮影・伊達得夫

「円き広場」詩稿

『氷つた焰』
1959年2月 書肆ユリイカ
表紙画・岡鹿之助 装幀・沢田真知 神奈川近代文学館蔵

清岡卓行 プロ野球公式試合終身入場パス

岡鹿之助画「段丘」
個人蔵・群馬県立近代美術館寄託

「マロニエの花が言った」原稿

日本の租借地だった中国・大連で生まれ育った詩人、作家の清岡卓行(1922-2006)。十代から詩作を始め、1959年(昭和34)、36歳の時に詩集『氷つた焰』で詩壇にデビュー、10年後の1969年、新たに小説に取り組み、その2作目「アカシヤの大連」で翌年の第62回芥川賞を受賞します。以降は詩、小説、評論、随筆等の間を自由に往き来し多彩な作品を生み出すこととなりますが、詩は常にそれらの「遠心にして求心」、すなわち、すべてが生まれ、そして帰る場所でした。

清岡の創作の大きな源となったのが、失われたふるさと、大連への思いです。東京帝国大学仏文科在学中、帰省先の大連で敗戦を迎え、3年もの歳月を経て祖国に引き揚げ、その後、家族を養うために日本野球連盟で会社員として働きながら7年かけて大学を卒業。これらの体験を経て、清岡は「大連と自分は結びついているという運命感」を深く意識するようになります。

一方、1987年には、少年時代から熱く憧れ続けたパリの土地を64歳で初めて踏み、両大戦間のこの街を舞台に、花開いた藤田嗣治、岡鹿之助などの芸術家たちの姿を描いた大作『マロニエの花が言った』(1999年)を10年かけて完成させます。

神奈川近代文学館は、2010年(平成22)12月以降、清岡の直筆原稿をはじめとする資料を夫人の岩阪恵子氏(作家)から寄贈いただき、収蔵しています。ご寄贈いただいた資料を中心に、藤田嗣治や岡鹿之助など清岡卓行と縁深い画家の絵画も展示。清岡がこよなく愛した二つの都市――「宿命の土地」大連と憧れの地パリとのかかわりを通して、清岡卓行の生涯と作品をたどります。

Event Information

展覧会名
清岡卓行展――大連、パリ「円き広場」
開催期間
2025年5月24日~7月27日
開館時間
09:30~17:00
(最終入館は16:30まで)
休館日
月曜日 (ただし、7月21日は開館)
入館料

一般 500円(350円)、65歳以上・20歳未満及び学生250円(200円)、高校生 100円(100円)、中学生以下は無料
※( )内は20名以上の団体料金

公式サイト
https://www.kanabun.or.jp/
お問い合わせ

045-622-6666

Venue Information

会場
神奈川近代文学館
主催
県立神奈川近代文学館、公益財団法人神奈川文学振興会