塩田千春の作品から他者との「つながり」を考える。圧巻のインスタレーションに注目
2024年10月3日
ダムタイプ|2022: remap/アーティゾン美術館
日本のアート集団のパイオニアとも言えるダムタイプ。
1984年の結成時から一貫して、身体とテクノロジーの関係を独自な方法で舞台作品やインスタレーションに織り込んできた彼女/彼らは、坂本龍一を新たなメンバーに迎え、ビエンナーレ国際美術展で新作《2022》を発表しました。
現在アーティゾン美術館で、新作《2022》を帰国展として再構成し紹介しています。
第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示で発表された新作《2022》を、アーティゾン美術館の空間に《2022: remap》として再配置します。
各国のアートが並ぶ中で、今日の地政学的境界、あるいは国境を越えて共通のインフラとなっているインターネット空間を基調としたコミュニケーションのあり方に問いを投げかけた《2022》を再構成。圧巻の展示です。
2000 年代後半より幾度となく高谷史郎と作品を作り続けてきた坂本龍一が、初めてダムタイプメンバーとして作品の制作に関わりました。
坂本が本作のために新たに制作したサウンドトラックに加え、坂本の呼びかけにより世界各地でフィールドレコーディングされた音が、ダムタイプの視覚言語を通じて、その場に立って各人が耳を澄ませることの意味、機械を通じた知覚のあり方を浮き上がらせます。
また1850年代の地理の教科書から引用された普遍的な質問のテキストが、独自のレーザー装置で壁に投影されたり、坂本の友人たち(デヴィッド・シルヴィアンやカヒミ・カリィら)による朗読の音声によって周囲を取り囲み、見えるか見えないか聴こえるか聴こえないかの境界線上で表現されます。
1980年代中盤より映像、音、機械装置、空間の先進的な組み合わせによって、驚くべき速さで更新されていくテクノロジーと身体の関係に、都度鋭い問いを投げかけてきたダムタイプ。
本展で紹介されている《2022: remap》では、過去作《Playback》で使用したターンテーブルや、《TRACE/REACT II》の表現言語が新たに交わり、それ以前のヴィジュアル/サウンド表現が組み合わされつつも更新される、ダムタイプの創造性や関心を感じられます。
ダムタイプの新作が見られる貴重な機会なのでお見逃しなく!
なお、同時開催としてアーティゾン美術館5階展示室では「アートを楽しむ ー見る、感じる、学ぶ」を、 6・5・4階 展示室では「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」を開催しています。
大学生以下は無料なので、春休みのこのタイミングにぜひ行ってみてくださいね。