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2025年3月26日
山王美術館コレクションでつづる エコール・ド・パリ展/山王美術館
山王美術館外観
20世紀初頭、芸術の都・パリを目指して世界各国から若き芸術家たちが集い、作品づくりに励みました。そんな彼らを称したのが「エコール・ド・パリ」。「パリ派」と呼ばれた芸術家たちのことです。
パリが最も華やかだったころに花開いたエコール・ド・パリを特集する展覧会が、大阪・京橋の山王美術館で開催されています。
会場風景
山王美術館のコレクションは、ホテルモントレ株式会社の創立者が半世紀にわたって収集したもの。
「ここでしか会えない芸術作品」をテーマに、コレクションのみによる展覧会を春・秋の年2回開催しています。
本展では600点にも及ぶ良質なコレクションの中から、エコール・ド・パリの画家たちの作品を展示。ここでしか見られない作品たちです!
《真珠で装うエヴァリン》マリー・ローランサン 1936年 山王美術館蔵
透明感のある柔らかな表情の女性像で日本でも人気の高いマリー・ローランサン。
ローランサンは、エコール・ド・パリの画家たちが集うモンマルトルの安アパートでピカソらと交流しつつ、淡いパステル調の色彩の繊細で優美なスタイルの女性像を確立しました。
マリー・ローランサン作品展示風景
パリに憧れ移り住んだ外国人画家たちが「パリ派=エコール・ド・パリ」と呼ばれましたが、パリ生まれの女流画家、マリー・ローランサンもエコール・ド・パリの一員に数えられています。
《雪のサン=リュスティック通り(冬のサクレクール)》モーリス・ユトリロ 1940年 山王美術館蔵
もうひとり、パリ生まれながらエコールドパリの一員とされているのがモーリス・ユトリロです。
モンマルトルで暮らし、モディリアーニらと交流したユトリロは、パリの街並みを描き続けました。この作品は大きな絵ではありませんが、奥行き感が素晴らしく、絵の中に吸い込まれるように感じます。
モイーズ・キスリング作品展示風景
「エコール・ド・パリ」には、印象派や表現主義のように主張や美学、共通の技法は見られません。
異邦の画家たちは、伝統的な絵画の枠組みにとらわれず、パリで出会った表現を取り入れながらそれぞれ出身国のアイデンティティを尊重したスタイルを確立していきました。
遠くから見ても作家の個性が際立っています。
《二人の少女》モイーズ・キスリング 1941年 山王美術館蔵
モイーズ・キスリングの、ビビッドで生命感豊かな作品は目を惹きます。
キスリングはポーランド生まれのユダヤ系画家。ピカソらが活動拠点としローランサンも出入りしたモンマルトルの「バトー=ラヴォワール(洗濯船)」と呼ばれる木造の2階建て集合住宅兼アトリエに住みつきました。
モンマルトルは若い芸術家たちが集う街でしたが、やがて観光地化、高級住宅地化が進み物価も高くなっていきます。
芸術家たちはその喧騒を避け、特にエコール・ド・パリと称された異邦の芸術家たちは家賃の安いモンパルナスに移り住むようになります。
藤田嗣治作品展示風景
1913年にフランスに渡った藤田嗣治は、モンパルナスでピカソやモディリアーニと交友を結びました。藤田は「乳白色の肌」と呼ばれる独自の透き通るような裸婦像を確立し、エコール・ド・パリの寵児となりました。
本展では、藤田が親友と呼んだユダヤ系イタリア人画家のモディリアーニや、「モンパルナスの王子」との異名をとったブルガリア人画家・パスキンの作品も観賞できます。
藤田嗣治が「一見署名の必要もない様な画」と述べているように、どの作家の作品も個性が際立っています。
「エコール・ド・パリ展」によせて 日本洋画コレクション 展示風景
エコール・ド・パリの時代、藤田嗣治の他にも多くの日本人画家がパリに渡りました。1930年前後には200人もの日本人芸術家がパリで暮らし、活動していたそう。
3階会場では「『エコール・ド・パリ展』によせて」と題し、パリに留学した日本人洋画家の作品も展示されていました。梅原龍三郎、安井曾太郎、小磯良平らの作品が並んでいます。
左:《セーヌ河》佐伯祐三 1924年 右:《パリの街角》佐伯祐三 1925年 共に山王美術館蔵
「夭折の天才画家」として知られる佐伯祐三の作品です。1923年フランスに渡り、パリで才能を開花。病のため30歳の若さで亡くなりますが、わずか4年余りの画業の中で独自の風景画を確立しました。
暗く重厚な色彩がパリの曇り空や石造りの建物に馴染みます。そして作家自身の、異国の地での不安や苦悩が見え隠れしているようにも感じられます。
「エコール・ド・パリ展」によせて 日本画コレクション 展示風景
海を渡ったのは洋画家だけではありません。パリへ留学する日本人美術家の増加にともなって、1920年以降日本美術を紹介する展覧会が次々に開催され日本画が展示されました。ヨーロッパ各地に留学する日本画家も現れます。
ここでは横山大観、川合玉堂、東山魁夷、棟方志功らの作品を観賞することができます。
美術館ロビー
2つの世界大戦の狭間、パリが最も華やかだった時代。芸術の都・パリに移り住んだ異邦の画家たちの目を通して描かれた、それぞれの「パリ」。
異国で新たなスタイルを取り入れながらも、根底には自身のルーツが色濃く流れ、強烈な個性となって表出しました。
ホテルチェーン創立者の構えた美術館らしくゴージャスで端正な建築空間の中、当時のパリに集った芸術家たちの息づかいが感じられる展示会でした。
ミュージアムショップ
山王美術館の素敵なコレクションを楽しんだ後は、ミュージアムショップへどうぞ。
同館のオリジナルグッズが並んでいます。奥の休憩スペースでは、セルフサービスのコーヒーや紅茶でひと休みすることもできますよ。