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陶の仏ー近代常滑の陶彫

平野霞裳《鯉江方寿翁像頭部》1913年,
とこなめ陶の森資料館所蔵,
半田市立博物館画像提供

《千体観音》制作中の柴山清風,
1952年, 柴山寛所蔵

本展では、常滑焼という伝統技法の一部が西洋彫刻の近代的技法を取り込み、ハイブリッドな「陶彫(とうちょう)」という存在に転換していく興味深い歴史をご紹介いたします。

「陶彫」とは、まさしく字のごとく陶を素材とする彫刻のことです。あまり知られていませんが、平安時代末期から続く常滑焼は、近代に入ると西洋彫刻の技術・知識が伝播・融合した結果として、数多くの陶彫が生み出されました。日本にまだ「彫刻」という概念が浸透する以前、工部美術学校においていち早く専門的な美術教育を受け、西洋彫刻を学んだ内藤鶴嶺や寺内半月らは、西洋彫刻そのものの社会的地位が確立していない困難な時代に、運命の悪戯から縁あってたどり着いた常滑の地で自らの西洋彫刻の技法を広めていくことになります。他方で彼らは常滑で窯芸に出会ったことにより、自らの「彫刻」作品に陶の概念を精力的に取り入れていきました。

今回、そのひとつの到達点として取り上げるのが、「観音像の清風さん」とも呼ばれていた柴山清風と彼の仏像作品です。清風は戦時中に《千体観音》や《弾除け観音》などを多数制作し、無償配布しました。生涯をかけて、常滑の地で陶の仏の創作活動を続けた彼の作品には、「職人」という一言では決して片付けられない作家性と魅力が詰まっています。本展を通して、知られざる「陶彫」の歴史とともに、近代仏像の魅力に触れていただければと思います。

また皆様には、髙島屋大阪で開催中の「万博と仏教」展(〜2023年12月25日まで)との連動企画として、日本橋髙島屋の屋上に設置している常滑造形集団が制作した《陶製ベンチ(月の椅子)》(実際に1970年の大阪万博に出展された椅子)についても、ぜひご覧いただきたく存じます。このシリーズの作品が、東京でこれほどまとまって鑑賞が可能になるのは初の試みです。椅子に座りながら展示の感想などを語らっていただくとともに、あふれんばかりの熱量により制作された《月の椅子》から、常滑の造形パワーを感じていただければ幸いです。

Event Information

展覧会名
陶の仏ー近代常滑の陶彫
開催期間
2023年9月16日~2024年2月25日 終了しました
開館時間
10:30~19:30
休館日
月曜日, 火曜日 (祝日の場合は開館)、年末年始(12月30日〜1月2日)
入館料

無料

公式サイト
https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/tokyo/
お問い合わせ

03-3211-4111(代表)

Venue Information

会場
高島屋史料館TOKYO
主催
高島屋史料館 TOKYO