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土門拳展「祈りの風景〜土門拳自選 作品集より」

〜写大ギャラリー・コレクション〜

「法隆寺遠望」1961年

「築地塀」1961年

「浄瑠璃寺金堂吉祥天立像面相」1965年

「広隆寺弥勒菩薩半跏像面相」1939年

「室生山朝霧」1967年

「西芳寺黄金池」1959年

本展は、写大ギャラリーに収蔵されている1200点を超える土門拳コレクションの中から、『土門拳自選作品集』(世界文化社、1977年)に掲載された作品のうち、風景写真に焦点を当て、仏像や自然の作品を展示します。

『土門拳自選作品集』の「構成−レイアウト・造本」は、亀倉雄策の手によるものです。亀倉は、日本を代表するグラフィックデザイナーで、東京オリンピック(1964年)や大阪万博(1970年)のポスター、ニコンやNTTのロゴマーク等を手掛けています。土門とは10代で出会い、義兄弟と呼ばれるほど深い信頼関係を築き、多くの仕事を共にしています。
この作品集のデザインを依頼された亀倉は、3分冊に仕立てられた1巻目をカラーの風景写真でスタートさせ、日本の伝統や仏像等が続きます。2巻目は初期の作品や「筑豊のこどもたち」、「ヒロシマ」等の写真でまとめ、3巻目は「風貌」や「文楽」等の名作の後、巻末はモノクロの仏像、風景で締めくくられています。
このように、土門の自信作の最初と最後はカラーとモノクロの風景写真で飾られています。

亀倉は自著『デザイン随想 離陸着陸』(美術出版社、1972年)の中で、土門の写真について「彼の写真は強い。そして彼の写真は涙もろい」、「私は昔から彼の風景が好きだった」と評し、「風景写真をほめると、ひどくてれた」と土門本人のことにも言及しています。そうしたことから、亀倉は作品集の構成を考えたのでしょうか。ところが同じ著書の中で、土門は「全部自分の神経で目を通して納得するまでしつように食い下がる。それはテーマに対する態度もそうだが、造本にもそうだ。特にレイアウトは自分の意志通りでないと承知しない」とも述べており、土門の強い要望のもと構成された可能性も考えられます。ますます、土門拳の風景写真への興味が高まるのではないでしょうか。

今回の展覧会は、作品集の構成が誰の手によるものなのかを検証することが目的ではなく、日本を代表するデザイナーが認め、本人も「てれた」という土門拳の風景への眼差しをあらためて見てみようというものです。

なお、本展覧会は、毎日新聞社が主催する土門拳賞との連携企画として、同賞の発表にあわせて開催しています。

Event Information

展覧会名
土門拳展「祈りの風景〜土門拳自選 作品集より」
〜写大ギャラリー・コレクション〜
開催期間
2024年4月15日~6月1日
開館時間
10:00~19:00
休館日
木曜日, 日曜日, 祝日
入館料

無料

公式サイト
http://www.shadai.t-kougei.ac.jp/
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Venue Information

会場
写大ギャラリー
主催
東京工芸大学芸術学部