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磯谷博史 回復

《パンゲアの破片 06》2025年 ピグメントプリント

展示風景:「回復」カスヤの森現代美術館 2026年

磯谷博史は東京藝術大学で建築を学んだのち、同大学大学院およびロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで美術を学びました。磯谷が用いる写真や彫刻、そしてドローイングは、静止した過去の記録ではなく、観賞者と現在を共有する〈出来事としての作品〉として振り付けられ、空間に据えられます。

本展「回復」では、二つの主要な作品シリーズが展示されます。写真作品《パンゲアの破片》は、第二次世界大戦末期に破壊されたオーストリア・ロースドルフ城の陶磁器片を、ミルクに浮かべ撮影したものです。ミルクは再生を象徴する小さな儀式の場として機能し、破壊の鋭い輪郭を包み込み、かつて器であった姿を私たちの想像のうちに呼び戻します。ここで試みられているのは、失われた形を物理的に復元する修復ではなく、分かたれたもののあいだに新たな関係を見いだすことによる、精神的な側面からの回復です。

一方、陶芸作品《活性》は、釉薬を纏わない素焼きで焼き締められた作品です。その素材には、磯谷が購入し集めた約5000年前の土器片が用いられています。原始の人々が野焼きで焼成し、使用し、壊れていった断片を、いったん泥へと戻し、粘土と混ぜ合わせ、現代において二度目の焼成を施す。磯谷は過去を単に引用するのではなく、時間を跨いだ共作として、過去の創造性を現在へ置き直しています。《活性》が表明するのは、物質の再利用にとどまらない、静止していた知をいま再び作動させるという態度です。

二つの作品が共有するのは、破壊を沈黙のままにせず、断片に潜む記憶や創造性を現在のうちに呼び起こし、新たな思考へと接続していく姿勢だと言えます。〈なおすこと〉は〈つくること〉へと連なりうる。本展は、その回路を作品と鑑賞者の関係のなかに提示します。

Event Information

展覧会名
磯谷博史 回復
開催期間
2026年3月12日~5月17日
開館時間
10:00~17:30
(入館は17:00まで)
休館日
月曜日、火曜日、水曜日
入館料

一般800円、学生600円(小学生400円)

公式サイト
https://www.museum-haus-kasuya.com/

Venue Information