横尾忠則 連画の河/世田谷美術館

横尾忠則の新作油彩画約60点を展示【世田谷美術館】

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2025年5月16日

世田谷美術館にて、「横尾忠則 連画の河」が2025年6月22日(日)まで開催中です。

多彩な手法と様式、テーマで精力的に制作を続ける画家・横尾忠則(1936-)
1972年のニューヨーク近代美術館での個展開催など、早くから国際的な知名度を得てきた作家です。

近年では、その息の長い驚異的な創造力が注目を集めています。

彼は、遠い昔に郷里の川辺で同級生たちと撮った記念写真のイメージを起点に、2023年春から「連歌」ならぬ「連画」の制作を始めました。

本展では、150号を中心とする新作油彩画約60点にスケッチ等も加え、88歳の横尾忠則の現在を紹介します。

起点となる1枚の記念写真から続く「連画の河」

本展の起点となったイメージは、1枚の記念写真です。

1970年に故郷の兵庫県西脇の川辺で、横尾が同級生たちとともに撮影した記念写真は、写真家の篠山紀信(1940-2024)が撮影したものでした。

横尾忠則《記憶の鎮魂歌》1994年 横尾忠則現代美術館

篠山の写真にインスピレーションを得て、1944年に《記憶の鎮魂歌》を描きました。

本展は、この大作《記憶の鎮魂歌》から約60点の新作で構成された横尾の「連画」をめぐる展覧会です。

川の流れに身を任せるように
「連画」のゆくえを楽しむ

絵画を制作するなかで、長らく望んできたことがあります。

それは、「一貫したアイデンティティから解放され、変幻自在な自己と出会い続けたい」ということ。

横尾はその願いを本展で「連画」という遊びのかたちで表現しています。

この「連画」は、横尾による造語。
他者の言葉を引き取りつつ歌を詠み、それをまた別の他者に託すという「連歌」を掛けたものです。

会場にならぶ新作群からは、画家が川の流れに身を任せるように、この問いをゆったりと楽しんだことが伝わってきます。

横尾忠則の現在地を知る展覧会

横尾忠則の新作油彩画約60点を展示【世田谷美術館】

横尾忠則《ボッスの壺》2024年 作家蔵

驚異的な創造力を発揮し、数多くの大作を世に発表してきた横尾忠則。

古今東西の多様なイメージが見事な構成でコラージュされているところに作品の大きな魅力があります。

そして、それを一貫して支えているのは、自らの眼と手。つまり「肉体」をもって描くというシンプルな行為です。

「見て」「描く」。その行為を、気の遠くなるほどたくさん反復する。
身体のさまざまな能力が衰えるなかでも、横尾の反復は88歳の現在も淡々と続いています。

横尾のその日、その時の肉体からしか生まれてこない作品を、ぜひ間近でご覧ください。

新作油彩画約60点を中心に、横尾忠則の「今」を観る展覧会「横尾忠則 連画の河」。
会期中は、さまざまなイベントやプレゼント企画も楽しめます。

なかでもユニークな企画が「横尾忠則さんの気まぐれプレゼント」。
こちらは会期中、横尾忠則の気まぐれにより、ある日ある時の来場者5名に、「紙カミソリ×横尾忠則アーティストコラボレーションシリーズ(4本入)」をプレゼントするという企画です。

ふらりと思い立ったが吉日。世田谷美術館に行きたくなったら、それは横尾忠則からのお誘いかもしれません。

その他、会期中のイベント情報については、美術館公式サイトをご確認ください。

Exhibition Information

展覧会名
横尾忠則 連画の河
開催期間
2025年4月26日~6月22日
会場
世田谷美術館
公式サイト
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/