アール・デコとモード/三菱一号館美術館

100年前の女性を彩ったファッションが丸の内に集結【三菱一号館美術館】

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2025年10月29日

100年前の女性を彩ったファッションが丸の内に集結【三菱一号館美術館】

1920年代に世界を席巻した装飾様式「アール・デコ」。
この時代を中心としたフランスのアール・デコ期の流行ファッションに焦点を当てた展覧会が、三菱一号館美術館(東京・丸の内)で開催中です。

2025年は、パリで開催された装飾芸術の博覧会、通称「アール・デコ博覧会」から100年目にあたります。

本展では、この記念の年に世界的な服飾コレクションを誇る京都服飾文化研究財団(KCI)が収集してきたアール・デコ期の服飾作品と資料類約200点を展示。

さらに、国内外の美術館・博物館や個人所蔵の絵画、版画、工芸品などを加えた合計約310点から、当時の「モード(流行の服飾)」を紐解きます。

パリ屈指のメゾンが生み出した数々のドレス

第一次世界大戦終結後、都市の消費文化が花開いた首都・パリでは、新しいライフスタイルに合わせた最先端のファッションが、クチュリエ(服飾デザイナー)たちの手によって次々と生み出されました。

19世紀末から20世紀初頭に「アール・ヌーヴォー」というツタなどの植物をイメージした曲線美が特徴的な芸術様式が流行します。

この時代のファッションは、レースやフリルをたっぷり使い、コルセットで体のラインを強調したデザインが主流でした。

ところがその後登場したアール・デコ期になると、スタイルはがらりと変化します。

身体の曲線を強調せず、よりシンプルで直線的なシルエットが好まれるようになったのです。

その変化を象徴したのが、ポール・ポワレやガブリエル・シャネルなど、当時を代表するパリのデザイナーたちでした。

本展では、パリ屈指のメゾンが1920年代に生み出した数々のドレスを展示。

まるで当時のファッションショーのランウェイを観ているような展示空間も必見です。

アクティブな女性たちを彩ったアイテムも

アール・デコの時代の女性たちは、鉄道や自動車で自由に遠出ができるようになったので、とってもアクティブでした。

そんな活動的な女性たちを彩ったアイテムも紹介しています。

つばのない小さくまとまった帽子は、当時流行したウェーブをつけたショートカットの髪型に似合うようにデザインされています。

また、外出先の化粧直しに適したパウダー入りコンパクトやリップスティック型口紅など、小型化した化粧道具もこの時期に開発されました。

ルネ・ラリックによる、当時の最新技術を駆使して生み出された、斬新なデザインの香水瓶も展示しています。

ヴァロットンの作品も楽しめます

小企画展では、「フェリックス・ヴァロットン―親密な室内」(2026年1月25日(日)まで)が開催中です。

19世紀末のパリで前衛芸家グループ「ナビ派」とともに活動した画家のフェリックス・ヴァロットン没後100年を記念する小展示です。

三菱一号館美術館のコレクションからヴァロットンが室内を描いた代表的な版画作品を展示。

ヴァロットンが描いた室内のさまざまなモチーフに着目し、作品に秘められた画家の意図を紐解きます。

フェリックス・ヴァロットン《嘘(アンティミテⅠ)》1897年 三菱一号館美術館

なお、小企画展の観覧料は、企画展(アール・デコとモード展)に含まれます。
※小企画展のみの入場はできません。

こちらもお見逃しなく。

100年経っても私たちを惹きつけるアール・デコ期のモード。

当時新進の服飾デザイナーたちが模索し提唱した新しい装い方とスタイルは、今日のモードの礎となっています。

100年前にあった「今」を見つけに、三菱一号館美術館へ行ってみては?

Exhibition Information