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2024年11月21日
江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし/太田記念美術館
こんにちは。
趣味で美術館巡りを楽しんでいる、Sfumart読者レビュアーのかおりです。
さて今回は原宿にある浮世絵専門の美術館、太田記念美術館へうかがってきました。
鑑賞したのは、みんな大好き!猫にフォーカスした展覧会「江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし」です。
猫。
見て触れて癒される、気分屋なところがまた癖になる、私たちの心を掴んで離さない、猫。
猫の写真や動画に日常の疲れを癒されている方も多いのではないでしょうか。
そんな猫と日本人との付き合いは、仏教の伝来のときからとも、弥生時代中期からとも言われています。江戸時代にはもうすっかり生活に馴染んだ生き物で、市民生活を色濃く描き出した浮世絵にいちばん多く登場するのではと思われるほど。
とにかくかわいいにゃんこたち!
そんな猫を愛した浮世絵絵師は、歌川国芳です。
今回展示される猫にまつわる作品約180点のうち、国芳は70点近くに関わっています。
さらに可愛いだけじゃない江戸時代の絵の中に生活に溶け込む猫たちをじっくりご覧いただけます。
素敵な和のお庭風の内装のなかで鑑賞
まず、前期(4月1日~25日)の展示で最初にお目見えするのは、猫たちが寄り集まって体で文字の形をつくっている「当て字」と呼ばれる絵です。
5点一挙公開はとても珍しいとのこと。
貴重な5点一挙公開!
5点あるうちの1点、「かつを」という作品。遠目に見ると「かつを」と描かれているのがわかるでしょうか。
「かつを」の文字の中をよくよく見ると…?!
さらにぐぐっと近づいてみましょう。文字の中に猫ちゃんがいるのが見えますか?
他の猫に手をやったり、かつおをはしっと掴んだり。
「か」の最後の一画では、1匹の猫がぬんとなんとも言えない表情で鎮座していたり。
にゅるっとした体の曲線や、1匹1匹の絶妙な表情に目が釘付けです。
細かい表情はぜひ現地でチェックしてみてください!
猫たちは、擬人化されて流行りの歌舞伎や狂言ともタイアップして登場します。
「猫の百面相」と題されたシリーズは、さまざまな鏡の中に役者の似顔絵を擬人化した猫にして描かれた作品です。
中央の猫は5代目市川海老蔵だそうです
歌舞伎の役者似顔が猫で書かれていたりして面白い。
当時の人は、「似てる!」とか言いながらみてたのかなと思うとなんだか楽しいですね。
また、猫が主人公の物語が描かれたりもしました。
『朧月猫の草紙』は、猫好きな鰹節商人の又たび屋粉右衛門方の愛猫、おこまの一代記。
山東京山作、歌川国芳画という、どちらも猫好きと知られる2人が制作に携わりました。
『朧月猫の草紙』二編。色鮮やかな表紙が目に楽しい
こちらは『朧月猫の草紙』の二編。上にあるのは本が入っていた袋です。
当時、本はこうした袋に入れて売られていたとのこと。ちょっとお得な気持ちになりますね。
本の表紙もフルカラーで豪華です!
左が四編、右が六編です
こちらは『朧月猫の草紙』四編と六編。
2冊を比べて、左の四編の方が少し色が薄いことにお気づきでしょうか。
理由は何だと思いますか?
実は、この四編が刊行された前後で天保の改革が行われていたのです!
倹約令による出版統制が厳しくなり、華やかな彩色の表紙にすることができなくなったため、薄い色彩となっているのです。
六編が刊行される時期には統制がゆるみ、また極彩色の表紙が戻ってきました。
とにかくかわいいにゃんこがあふれた江戸の浮世絵。
そんな中にも、当時の流行や、改革といった世相の波があるなか、ユーモアをもってたくましく描かれてきた人びとの生活という、猫の裏側も知ることができる展覧会でした。
他にも書ききれないテーマがたくさんの「江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし」展。
かわいい猫の絵に癒されるとともに、時代の荒波とそれを吹き飛ばす人びとの活気とひたむきさを感じてみてはいかがでしょうか?
前期(4月1日~25日)と後期(4月29日~5月28日)で全点展示替えが行われる本展。
リピーター割もあるので、ぜひ両方の期間で猫にまみれてみてください!
それでは愉しいアートライフを♪
※前後期で全点展示替え
前期:4月1日~25日
後期:4月29日~5月28日