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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画/太田記念美術館
(手前)清馨さん(『世界風俗版画集 第二輯』)昭和10年(1935)3月26日 個人蔵 前期展示
©ADAGP,Paris & JASPAR,Tokyo,2023 E5060
太田記念美術館にて、版画家、浮世絵師のポール・ジャクレー(1896-1960)を紹介する展覧会が開催中です。
本展では、ジャクレーの新版画全162点と、摺り違いの4点を合わせた166点を前後期に分けて展示。
ジャクレー作品全162点が首都圏で展示されるのは初とのこと。そんな本展の見どころを紹介していきます。
フランス・パリに生まれたポール・ジャクレーは、フランス語教師の父に連れられて、3歳の時に来日しました。その後、64歳で亡くなるまで日本で暮らします。
10代のころには、お小遣いを貯めて浮世絵を収集していたというジャクレー。歌舞伎など、同世代の男の子よりも日本の伝統文化を好んでいたといいます。
また、収集のみならず、日本画を池田輝方(いけだ てるかた、1883-1921)・榊原蕉園(さかきばら しょうえん、1886-1917)夫妻から学び、喜多川歌麿風の肉筆美人画を制作しました。
本展では、その歌麿風の肉筆美人画についてパネルで紹介しています。
また元々、体が弱かったというジャクレー。母の勧めで療養を兼ねてミクロネシアなど南洋によく足を伸ばしていました。
(左)サイパンの娘とヒビスカスの花、マリアナ群島(『世界風俗版画集 第一輯』)昭和9年(1934)6月30日
(右)正装する朝鮮の子供、京城(『世界風俗版画集 第一輯』)昭和9年(1934)9月12日
いずれも、個人蔵 前期展示 ©ADAGP,Paris & JASPAR,Tokyo,2023 E5060
昭和9年(1934)には、彫師である山岸主計(やまぎし かずえ)の協力を得て、自身第一作目となる新版画『世界風俗版画集』を制作します。
「サイパンの娘とヒビスカスの花、マリアナ群島」を皮切りに、毎月1点、10年刊行し好評を博しました。
ジャクレーならではの鮮やかな色彩で描かれた作品に注目です。
東京都美術館「没後70年 吉田博展」(2020)や、SOMPO美術館「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」(2021)など、近年注目を集めている「新版画」。
新版画とは、大正から昭和にかけて、絵師、彫師、摺師の協同作業によって制作された木版画のことです。
一般的に新版画の制作の主導は版元が担いますが、ジャクレーは自らが彫師と摺師を指揮する私家版という珍しい手法を取ることで、独自の芸術性を追求しました。
(左)唐代の小像、満州 昭和31年(1956)1月/(右)奥地の娘たち、セレベス島北部 昭和32(1957)1月
いずれも、個人蔵 前期展示
ジャクレーは、サイパン島やヤップ島といったミクロネシアの人びと、また、日本やアイヌ、朝鮮、中国、満州といったアジアの人びとを、色彩豊かに描いています。
赤や水色、黄色や紫といった華やかな色がぶつかり合うジャクレーの新版画。
デジタルの色彩に親しむ現代の私たちの目から見ても、新鮮な感じがしますね。ビビットな色彩を会場で体感してみてください。
「満州宮廷の王女たち」シリーズは、ジャクレー自慢の傑作として知られています。
(手前)打ち明け話の相手、連作「満州宮廷の王女たち」より 昭和17年(1942)4月15日 個人蔵 前期展示
©ADAGP,Paris & JASPAR,Tokyo,2023 E5060
第二次世界大戦中、東京で暮らす外国人は強制的に軽井沢に疎開させられてしまいます。本作はジャクレーが軽井沢へ行く前に東京で制作した最後の作品です。
打ち明け話の相手、連作「満州宮廷の王女たち」より 昭和17年(1942)4月15日 個人蔵 前期展示
©ADAGP,Paris & JASPAR,Tokyo,2023 E5060
ジャクレーは本シリーズに強い思入れがあったのだそう。良質な和紙と木材を準備し、彫師と摺師たちによる一流の技術によって完成させました。
フランス生まれの版画家、浮世絵師のポール・ジャクレーが挑んだ「新版画」の全貌を紹介する本展。
ポール・ジャクレーを取り上げた大規模な展覧会は、首都圏では今から20年前の横浜美術館での展覧会以来となります。
この貴重な機会をお見逃しなく。
『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』1,500円(税込)
また、本展のパンフレットも受付にて販売中です。作品の詳しい解説のほか、ジャクレー作品をもっと深く知ることができるコラムなどが収録されていますよ。
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