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2024年11月1日
坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア/NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
NTT東日本が運営する文化施設「NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)」。
アーティストとサイエンティストを世界的に結びつけるネットワークや情報交流の拠点を目指し、活動しています。
現在開催中なのが、「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」。
本展では、メディア・アート分野においても功績を残した音楽家・坂本龍一(1952-2023)を追悼。そして、彼が残した演奏データをもとに作られた作品や国内外のアーティストたちによる、坂本と関わりのある作品を通して、坂本の創作を未来に受け継いでいきます。
坂本は、スタジオミュージシャンを経て、1978年『千のナイフ』でソロデビュー。音楽を中心に多方面で活動し、映画『戦場のメリークリスマス』では、英国アカデミー賞作曲賞を受賞しています。
世界的に活躍した坂本とICCとのつながりは、開館以前のプレ活動期・1991年に開かれた「NTTインターコミュニケーション’91 電話網の中の見えないミュージアム」から。
ICC開館20周年の際は、記念企画展「坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽 2 IS YOUR TIME」を開催しています。
展示風景より 高谷史郎《Piano20110311》
「設置音楽 2 IS YOUR TIME」展覧会に寄せて(2017年12月)
1990年初頭よりインターネットに関心を持っていた坂本は、常に時代の最先端技術を駆使しながら作品を創作。
1996年、岩井俊雄(1962-)とのコラボレーションから始まり、2000年代には、真鍋大度(1976-)や毛利悠子(1980-)といったアーティストたちとインスタレーション制作をするなど、メディア・アートの分野でも活躍しました。
ICC主任学芸員・畠中実氏は、本展の開催に関して、ICCの節目には必ずと言っていいほど坂本がいたこと、彼のために何か形にしたいと感じたと語っています。
記者発表会のようす(ICC主任学芸員・畠中実氏 [左から2人目]、共同キュレーター・真鍋大度氏[左から3人目]と出品作家ら)
展示冒頭を飾る、坂本と真鍋による共同作品《センシング・ストリームズー不可視、不可聴》は、通常では意識されることのない情報環境を体験できる、インスタレーション作品です。
坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ2023ー不可視、不可聴》(ICCヴァージョン)SAKAMOTO Ryuichi+MANABE Daito “Sensing Streams 2023 – invisible, inaudible”[ICC Version]
コントローラーを使用し、アンテナによって収集された電磁波の周波数を変更することで、その変化を、目と耳から楽しめます。
本展では、坂本がゲストディレクターを務めた「札幌国際芸術祭2014」で、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)とモエレ沼公園ガラスのピラミッドに設置したものをICC用にアップデートし、展示しています。
環境などの諸条件によって変化する「事象」にフォーカスし、インスタレーションなどを制作するのは毛利悠子。
毛利悠子《そよぎ またはエコー》2017年(部分)「札幌国際芸術祭2017」展示風景 写真:佐々木育弥
「札幌国際芸術祭2017」で発表した《そよぎ またはエコー》は、毛利が北海道での旅の経験をもとに制作したもの。
ヴァルター・ベンヤミンの「歴史の概念について(歴史哲学テーゼ)」よりタイトルを付けており、本作のために坂本が曲を提供。
今回は、提供した楽曲が流れる自動演奏ピアノ部分を中心に自動演奏ピアノ部分を中心に、毛利の作品《I/O》、《BRUSH》とともに再構成したものを展示しています。
京都市立芸術大学の学生を中心に、演劇やダンス、建築など異なる領域の出身者によって結成されたマルチメディア・パフォーマンス・アーティスト集団「ダムタイプ」。
舞台装置を使用し、生と死の境界や記憶などをテーマに、世界各地で公演・展示を行ってきました。
《Playback》は、アナログ・レコードを使用したサウンド・インスタレーション作品です。
Dumg Type+Ryuichi Sakamoto《Playback2022》
これらは、坂本のディレクションにより、世界各地のフィールド・レコーディングされた音源で構成されたもの。
会場では、16枚のレコードに坂本自身の未発表音源「Tokyo 2021」が収録された17枚目
のディスクを聴くこともできます。
Dumg Type+Ryuichi Sakamoto《Playback2022》
1960年代末より台頭した戦後日本における重要な美術動向の一つ「もの派」の中心的な作家・李禹煥(1936-)。
《遥かなるサウンド》は、坂本の生前最後のオリジナル・アルバム『12』のジャケットのために描き下ろされました。
李禹煥《遥かなるサウンド》LEE Ufan “Sound far beyond”
生前から交流のあった坂本と李。そのつながりを示す、もう一つの作品が《祈り》です。
李禹煥《祈り》 LEE Ufan “Prayer”
これは、坂本の病気平癒を祈って描かれたもの。裏面に書かれたメッセージからは、坂本に元気になってほしいという李の思いが伝わります。
展示風景より
2022年、国立新美術館で行われた李の個展に訪れ、李の案内のもと鑑賞する坂本
そのほか、展示会場の壁面には、坂本とゆかりのあるアーティストたちから坂本へ、温かいコメントが並びます。
展示風景より
坂本と交流のあったアーティストらによる追悼コメント
坂本は、音楽家としてのみならず、メディア・アート分野においても偉大な功績を残し、世界から愛された人物だったことが伺えます。
世間一般では、音楽家としての印象が強い坂本ですが、彼が残した幅広い創作は、これから先の未来を生きるアーティストたちにとって、大きなヒントになることでしょう。
展示を通して、坂本の創作に触れ、ともに未来へと受け継いでいきませんか。