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2024年11月1日
企画展「館蔵 刀剣コレクション-刀と拵の美- 」/中之島香雪美術館
大阪・中之島にある中之島フェスティバルタワー・ウエストの4階にある中之島香雪美術館にて、1月6日~3月17日まで、企画展「館蔵 刀剣コレクション 刀と拵の美」が開催中です。
神戸市東灘区の御影にある「香雪美術館」には、朝日新聞社創業者の村山龍平(むらやまりょうへい)が集めた約50振もの刀剣が所蔵されているのですが、今回の展覧会では、その中の選りすぐりの刀剣が多数展示されています。
ドラマや映画でお侍が日本刀を使うシーンを見ることはあっても、実際に本物の日本刀を間近で見る機会は、なかなかありませんよね。本物の日本刀を見てみたいと、「中之島香雪美術館」に行って来ました。
朝日新聞社創業者の村山龍平は、武士だった父の影響で、若い頃から、刀剣を熱心にコレクションしていたと言われています。その数は多い時には800振にものぼったというのですから、かなりの数ですよね。
他の美術品を収集する時は、プロの意見を参考にしていたという村山龍平ですが、刀剣を収集する時だけは、独自の感性を大事にしたそうです。そんな村山龍平のコレクションは、鎌倉時代から室町時代までの古刀(ことう)が多く、歴史の重みを感じさせる優れた名刀が多数揃っています。
そんな村山龍平の刀コレクションの中でも選りすぐりの日本刀を一気に見られるのが今回の展覧会。
日本刀好きの方はもちろん見逃せませんし、日本刀のことをよく知らないという方でも、その面白さに心惹かれるのではないでしょうか。
見逃せない日本刀が多数揃っている今回の展覧会。
その中でも、特に見どころだと思った日本刀をご紹介していきます。
日本刀には5大産地があるのをご存じですか? 大和国(奈良県)、山城国(京都)、備前国(岡山県)、相模国(神奈川県)、美濃国(岐阜県)を合わせて、五箇伝と呼ばれます。
山城国での伝統的な日本刀の作り方を山城伝というのですが、今回注目したいのは、山城伝の太刀です。
重要文化財 太刀 銘 吉家作 平安~鎌倉時代 11世紀~13世紀
今回展示されている山城伝の太刀は、国の重要文化財に指定されており、制作された時期は平安~鎌倉時代だと言われています。
山城伝の太刀は、貴族や朝廷向けに作られたものがほとんどでした。そのため、優雅で上品な日本刀が多く見られます。
今回の山城伝の太刀も、数多くの古刀がズラリと並ぶ中で、ひときわ銀色に輝いていてハッと目を奪われます。
古刀には、どれも歴史をくぐりぬけてきた特別なたたずまいがあり、思わず姿勢を正したくなる凛とした美しさがありますが、そんな立派な古刀の中には、洒落た彫刻が施されている刀もあります。
刀 銘 備前国住長船 左京進宗光児嶋ニテ作之 文明十九年二月吉日 室町時代 文明19年(1487)
室町時代に岡山県の倉敷市で作られたという刀で、よくよく見ると、龍の模様が施されているのです。この龍は、倶利加羅龍(くりからりゅう)といって、不動明王(ふどうみょうおう)の化身だと言われており、悪魔を退散させる神様なのだそうです。
悪魔祓いの意味を込めて、この強く頼れる龍を、刀に刻み込んだのですね。
室町時代は徒歩による集団戦が多くなって、太刀の数は減り、その代わり、このような刀が多く作られるようになりました。
差表に刻まれた倶利加羅龍の彫刻
拵(こしらえ)という言葉を聞いたことはありますか?
刀を収める鞘(さや)や柄(つか)、柄を握った時に手がすべらないようにとつける鍔(つば)などを総合した刀の外装のことを拵と呼ぶのですが、今回の展覧会には、きらびやかな拵が数多く展示されています。
金梨子地桐葵紋蒔絵糸巻太刀拵 江戸時代 18世紀
見るも華やかな拵ですが、じっくりと見ていくとそのこだわりぶりに驚いてしまいます。金梨子地桐葵紋蒔絵糸巻太刀拵(きんなしじあおいもんまきえいとまきたちこしらえ)は、鍔の部分をよくよく見ると、ハート模様になっているのです。
よく見てわかるかわからないくらいかのさりげないハートを鍔の模様にするなんて、なかなか粋ですよね。こういったハート模様は「猪の目」と呼ばれる模様で、福を招くという意味があるのだそうです。
刀の模様一つひとつにも、さまざまな意味が込められているのですね。そういった点にも注目していくと、日本刀の奥深さが見えてきそうです。
鍔の猪の目模様
数多くの名刀の世界を堪能した後、展示室を出ると、ミュージックショップがあります。
中でも注目は、和菓子ナイフ!この和菓子ナイフ、小さな日本刀になっているんです。優れた名刀や、華やかな拵えで装飾された和菓子ナイフは、思わず手を伸ばして買いたくなってしまいます。
選べる3本セットとなっていて、お好きな柄を選ぶことができますから、どの刀と拵をお持ち帰りしようかワクワクしてしまいますね。
日本刀といったら、アニメや映画、ドラマの中で武士が腰にぶら下げているものというイメージしかないという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。けれど、日本刀は知れば知るほど奥が深く、その刀の模様一つだけでも多くを語ることができ、その奥深さにどんどんのめりこんでしまいます。
そしてまた、華やかな中にも繊細なこだわりが詰まっている拵の数々に見入っていると、昔の時代を生きた武士達が、どんなに刀剣にこだわり、その美しさに命をかけていたかということがひしひしと伝わってきます。
平安時代や鎌倉時代に思いをはせることができる日本刀の展覧会。ぜひ、足を運ばれては?
日本刀の奥深い世界に目を見開かれるかもしれませんよ。