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ハローキティ誕生50周年!「キティとわたし」を紐解く展覧会
2024年11月21日
日本には、美術館・博物館がたくさん存在しています。
年に何度か足を運んだり、旅先でお楽しみとして訪れたり・・・素敵な館が全国のさまざまな場所にありますよね。
「学芸員の太鼓判」は、全国の館の自慢の名品を詳しく知りたい! そんな想いから生まれた企画です。
本連載では、全国の美術館・博物館の自慢の収蔵品を詳しくご紹介。
今回は、印象派を中心とする西洋絵画から現代アートまで多岐にわたるコレクションを誇る、ポーラ美術館の収蔵品を紹介します。
ポーラ美術館
ポーラ美術館は2002年に開館しました。「箱根の自然と美術の共生」というコンセプトをもとに、ポーラ創業家2代目の鈴木常司氏が収集した約10,000点のコレクションを紹介しています。
コレクションは、西洋絵画や日本の絵画をはじめ、現代アート、東洋陶磁、ガラス工芸、化粧道具など多岐に渡ります。
今回はポーラ美術館の広報担当・田中さんから、同館のイチオシ作品についてお伺いしました。
公式サイトはこちら
クロード・モネ 《睡蓮の池》 1899年 油彩/カンヴァス ポーラ美術館
《睡蓮の池》は印象派の巨匠、クロード・モネの作品です。
ポーラ美術館は、国内最多の19点におよぶモネ作品を収蔵していますが、その中でも屈指の人気を誇る作品のひとつです。
この作品に描かれているのは、1890年、モネが終の住みかを構えたフランス郊外のジヴェルニーの地に自身の手で作り上げた庭の光景です。造成した池には睡蓮を植え、日本風の太鼓橋を架けました。水面には周囲の木々が映り込み、画面全体がまばゆいグラデ―ションで満たされています。
水面に浮かぶ睡蓮は、モネにとって作品制作の重要なモティーフとなり、描く季節や時間を買えて繰り返し描き続けました。本作品は、1899年~1900年にモネが太鼓橋をモティーフに最初18点描いた連作のうちの最初の作品です。
作品のポイント
・水面に浮かぶ睡蓮はモネが生涯描き続けた重要なモティーフ
・睡蓮の花咲く池や日本風の太鼓橋など、浮世絵からの影響を感じさせる
《睡蓮の池》をよく見ると・・・水面には周囲の木々が映り込み、画面全体がまばゆい緑のグラデーションで満たされています。
生涯にわたって戸外のきらめく光や、大気のゆらぎを描き続けたモネという画家の特徴が現れています。
彼にとって睡蓮の花咲く池や日本風の太鼓橋がある「水の庭」は、1日の異なる時間帯の光の効果を捉えて表現を追求できる場として大いにメリットがありました。
モネは亡くなるまでの30年間、この庭を舞台に200点以上もの「睡蓮」の連作を制作しましたが、その集大成となる作品がパリのオランジュリー美術館に展示されている「睡蓮」の壁画です。今は訪れることが難しい状況ですが、もし鑑賞できる機会が訪れた際は《睡蓮の池》から「睡蓮」の壁画に至るモネの画風の変遷について思いをはせてみるのもよいでしょう。
作品のここに注目!
・うつろう光を捉えた、モネの《睡蓮》の連作のひとつ
・「睡蓮」の連作は「水の庭」を舞台に200点以上の制作された
「モネ-光のなかに」展会場 ©Gottingham
《睡蓮の池》は2022年3月30日まで開催中のコレクション展「モネ―光のなかに」で鑑賞できます。
かつて風景とカンヴァスと画家を包んだのと同じ、たったひとつの大きな光を会場に再現して、柔らかな光のもとでゆったり作品を鑑賞できます。気鋭の建築家・中山英之氏が手掛けた斬新な展示空間のなかで、モネの作品の新たな魅力を発見できるでしょう。
※展覧会情報はこちら
ロニ・ホーン《鳥葬(箱根、日本)》2017–2018年 鋳放しの鋳造ガラス ポーラ美術館 © Roni Horn Photo: Koroda Takeru
《鳥葬(箱根、日本)》は、現代美術の第一線で約40年にわたって活躍を続けるアーティスト、ロニ・ホーン氏によるガラス彫刻作品です。
水をいっぱいに満たした巨大の器のようにみえますが、実は重さ約5トンもの巨大なガラスの塊です。
大きな鋳型に溶けたガラスを流し込み、約4か月という途方もない時間をかけてゆっくりと冷却することで、澄みわたる透明性を宿しています。極めて滑らかな上部の表面は磨かれたものではなく、この制作プロセスによって自然に生まれたものです。作品は周囲の自然を映し出すと同時に、どこまでも透き通った内部へと私たちを誘います。
「鳥葬」というタイトルには、死者を自然の中に葬るチベットの風習から採られており、作品も自然の中で風化し、やがて朽ちていくという自然界の循環の一部であってほしい、という作家の思いが込められています。
作品のポイント
・現代美術の第一線で約40年にわたって活躍を続けるロニ・ホーン氏のガラス彫刻作品
・約5トンもの巨大なガラスの透明な塊は、周囲の自然を映し出して森のなかにとけこむように佇む
《鳥葬(箱根、日本)》は2022年3月30日まで開催中の企画展「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」で鑑賞できます。この作品はこの展覧会を契機に新たに収蔵されたので、閉幕後も引き続き常設の展示作品として森の遊歩道でみることはできます。
「ロニ・ホーン」展は、代表作である写真シリーズ《あなたは天気 パート2》(2010-2011年)のほか、モティーフの繰り返しによって徐々に変化していくドローイング作品など、作家の豊かな制作をダイナミックに辿る企画です。国内美術館としては初となる個展ですので、どうぞお見逃しなく。
※展覧会情報はこちら
箱根の国立公園の森の中にとけこむように立っているポーラ美術館。
ミュージアムショップ、レストランや美術館の周りにある森の遊歩道などを満喫するとあっという間に1日が経ってしまいます。
全長約1kmの遊歩道では、季節を告げるさまざまな野鳥や森に佇む彫刻作品を愉しむことができ、心和むひとときを過ごせます。
訪れるたびに新しい魅力に触れられるポーラ美術館で、素敵な鑑賞体験を過ごしてみてはいかがでしょうか?
次回はホキ美術館の自慢の名品を紹介します。お楽しみに!