PROMOTION
ハローキティ誕生50周年!「キティとわたし」を紐解く展覧会
2024年11月21日
「北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦 江戸東京博物館コレクションより」/中之島香雪美術館
中之島香雪美術館にて開催の「北斎と広重 富嶽三十六景への挑戦 江戸東京博物館コレクションより」を見てきました。
葛飾北斎と歌川広重と言えば、誰でも1枚はそれぞれの作品が頭に浮かぶのではないでしょうか。
今回の展示では、北斎の富嶽三十六景と広重の東海道五十三次というあまりにも有名な代表作が同時に見られます。また、それぞれの絵師がどのように経験を積み上げ、作品作りを極めていったのかを知れる展示となっています。
まず最初に展示されていたのは、広重が幼少期に描いた三保松原図です。彼は幼い頃から絵が好きでしたが、定火消屋敷に生まれ若くして家督を継いだため、絵師になってからも兼業として活動していたとのことです。
こんなに小さい時から絵を描いていたのか、ということと、それが今見られることに感動しました。広重が生涯手元に置いていたということから、絵師になりたいと夢見ていた当初の気持ちをずっと忘れずにいた人物なんだなと思いました。
富士山は雄大に描かれ、またそれを眺める画面手前の人物は小さいながらそれぞれに動きが感じられます。今回の展示を通して人物の描写をとても豊かに感じたので、そこに注目して鑑賞してみました。
東海道五拾三次之内 由井 薩埵嶺
一見すると中央の富士山にのみ注目してしまいますが、画面左上をよく見ると、小さく岸壁を歩く人物が描かれています。
身を乗り出して景色を眺める人物を見ると、ここが絶景ポイントだったということがよく伝わってきます。
東海道五拾三次之内 四日市 三重川
風で飛ばされた笠を追いかける人物がコミカルに描かれています。草木の揺れ動きに加え、画面右側の人物の羽織がたなびく様子から、目に見えない風がそこに吹いているかのように見えてくる作品です。
江戸名所 かすみかせき
画面中央の小さな丸の連なりは何を描いたものなのか、初めはわかりませんでしたが、キャプションによるとシャボン玉を売り歩く人が描かれているそうです。当時からもうシャボン玉があって、デモンストレーションをしながら売っていたなんて、当時のくらしを切り取って伝えてくれる作品でした。
江戸勝景 桜田外の図
手前に描かれた人物の表情に味があります。何かを見上げて圧倒されているようで、口も少し開いてしまっているようです。後ろの女性も同じ方向を見ていますが、目線の先にはどんな立派なものが見えていたのか?と想像させられます。
展示の後半には、広重が使用していた煙草入れや脇差などが展示されていました。あまりに有名な人物なので半ば架空の人のように思っていましたが、こうして遺品を目にすると、実在していた人なのだという実感が持てました。
広重は北斎よりはずっと早く生涯を閉じましたが、家業の火消しで終わらず絵師として生きた人生は幸せだったのではないかと想像しました。
展示室中央のひときわ目を引く模型は、北斎が暮らしたとされる画室のひとつで、娘の葛飾応為と暮らしていた当時のものを再現したものです。北斎は何度も引越しをしたことが有名ですが、長いキャリアの中で名前も何度も変えながら様々な仕事をしていました。今回の展示では北斎が手がけた狂歌摺物や読物挿絵の展示も見られます。
座敷狂言長柄二階傘踊図
下部に演目が書かれたこちらの摺物ですが、上部の奥側にご注目いただきたいです。御簾越しの人物を表現しているのは非常に繊細ないくつもの線で、いったい版木をどんなに細かく彫り込んだのか見てみたいと思うほどです。
『鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月』 前編巻之三
『鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月』後編巻之一
『鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月』後編巻之三
『北斎漫画』 二編
読物挿絵でも北斎はたくさんの波を描いています。北斎漫画でも波の描き方を指南したページが展示されており、表現へのこだわりと、神奈川沖波裏の制作に至るまでの試行錯誤を垣間見ることができます。
北斎の代名詞とも言える神奈川沖浪裏を皮切りに、富嶽三十六景がずらりと並びます。今回の展示は前後期に分けて46点全てを見ることができます。
富嶽三十六景 尾州不二見原
こちらも有名な一枚ですが、恥ずかしながら筆者は富嶽三十六景のひとつだとは知らずに認識していました。手前の男性につい目が向き、奥に描かれた富士山に気がついていませんでした。実際この絵はシリーズの中で最も遠くからの富士山を描いたものだそうですが、小さく描かれた富士山も今回の展示では間近で見ることができます。
細かな描き込みをじっくり見て、何周でも楽しめる展示でした。日本画に詳しくない方でも楽しめると思うのでぜひ見に行っていただければと思います。また富嶽三十六景や東海道五十三次含め、展示作品は前後期で大幅に入れ替えがあるとのことですので、ぜひお見逃しのないよう足をお運びいただければと思います。
※展示作品は前期・後期で大幅に入れ替えます。
前期:4月13日(土)~5月6日(月・休)
後期:5月8日(水)~5月26日(日)