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2024年12月17日
須田悦弘展/渋谷区立松濤美術館
渋谷区立松濤美術館で、「須田悦弘」展が2025年2月2日まで開催中です。
東京都内の美術館では25年ぶりとなる須田悦弘(すだよしひろ)の個展です。
須田は、道端で見かけるような草花や雑草を、朴(ほお)の木で精巧に彫り上げる作品で知られているアーティスト。
この展覧会では、初期作品から展覧会のために制作された新作まで、幅広い時代の作品が展示されています。
また、古美術品の補作や、ドローイングなども公開されており、彼の創作活動の全容を知ることができる貴重な機会となっています。
須田の作品の特徴は、その展示方法にあります。
松濤美術館は「哲学の建築家」と呼ばれる白井晟一(しらいせいいち)の設計によるもので、石造りの外観、だえん形の吹き抜けやらせん階段など、他にはない独特の空間を持っています。
ここに須田の作品が配されることで、展示空間も含めて一つの大きな作品となっています。
須田は展示のために何度も美術館に足を運び、建物の構造を活かして作品を配置しました。
床にさりげなく置かれた木彫の雑草や、《チューリップ》《ヒナゲシ》などの約10点の新作が、さまざまな場所に静かにたたずんでいます。
展示室内だけでなく、建物の外の雑草のそばなど、思いがけないところにも作品が置かれているので、探す楽しさも味わえます。
1階奥の回廊からしか見られない作品もあるので、お見逃しなく。
館内にはこんな注意書きも。
展示場所が記載された展示マップも用意されています。
本展を担当した大平奈緒子学芸員は、「館内を歩いて出会いを楽しんでいただくもよし、マップをを見ながら、宝探しのように歩いていただくもよしだと思います。ぜひ来館者の方はそのように2度楽しんでいただけたら」と話しています。
会場では、須田が木彫を始めるきっかけとなった《スルメ》や、初めて彫った植物《チューリップ》など、初期の貴重な作品が多く展示されています。
大学の卒業制作《朴の木》は、卒業後初めての公開となります。
当時の発表と同じように、作品の周りに空間を作成して再現展示されており、初期の活動のようすをかいま見ることができます。
《東京インスタレイシヨン》は2回目の個展で発表されたもの。鑑賞者は一人ずつ靴を脱いで細長い部屋の中に入り、奥に置かれた木彫の花と静かに向き合うことができます。
当時の展示のようすや制作時の資料もあわせて紹介されています。
須田の活動は木彫だけにとどまりません。
アサヒ飲料の「アサヒ 十六茶」やニッカウヰスキーのボトルなど、彼の手がけた商品パッケージのイラストも展示されています。
また、ふだんは下絵を描かず、実物や写真を見て直に作品を彫り出していく須田ですが、今回はコレクターの希望で制作された貴重なドローイングも見ることができます。
以前から日本の古い美術が好きだったという須田は、近年、古美術品の欠損部を補う「補作」にも取り組んでいます。
杉本博司の依頼で手がけた《春日若宮神鹿像》や、平安時代の《随身坐像》などの補作は、一見どこを補作したのかわからないほどの完成度で、須田の技術の高さがうかがえます。
見つける楽しさ、出会う楽しさみたいなものを、この展覧会で体感していただけたらと思います。
松濤美術館・大平奈緒子学芸員
今回は展示室内を含む館内の多くの場所で写真撮影が可能となっています(撮影時の注意事項あり)。
小さな花びらや雑草に込められた須田の美意識と技に触れながら、ここでしか味わえない宝探しのような鑑賞体験を楽しんでみてください。