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2024年12月17日
隈研吾の『コツゴツ』哲学/姫路市立美術館
「隈研吾の『コツゴツ』哲学 過去から未来へ生き残るデザイン―髙田賢三へのオマージュ」が、姫路市立美術館にて開催中です。
日本を代表する建築家・隈研吾と、姫路市出身のファッションデザイナー・髙田賢三。二人の「協働作品」とも言われる「Takada Kenzo House」のインスタレーションをはじめ、隈の作品紹介パネルやモックアップ、模型など約30点が紹介されています。
「隈研吾の『コツゴツ』哲学 過去から未来へ生き残るデザイン―髙田賢三へのオマージュ」 展示風景
2021年より姫路城、書寫山圓教寺(しょしゃざん えんぎょうじ)、そして姫路市立美術館の三大建築美と向き合ってきた隈研吾。
「姫路は日本建築の聖地である」と語り、その本質を「姫路城はツンツン、圓教寺はパラパラ、姫路市立美術館はコツコツ」と読み解きました。
「コツコツ」と「コツゴツ」のコーナーでは、独自のオノマトペに関連する隈研吾作品の写真や模型などを観ることができます。
《森舞台/宮城県登米町伝統芸能伝承館》写真パネルと模型、1996年竣工
宮城県登米市の伝統芸能伝承館《森舞台》は、江戸時代から現在にいたるまで地域の生活とも密着している「登米能」を上演する能舞台。
地元の木材を使用することにこだわり、町と森に対して開かれた演劇空間を目指し、地域コミュニティーの「文化コア」としての期待を寄せて建築されました。
《Yure》写真パネルと模型、2015年竣工
パリのトゥイルリー公園に建設された木のパビリオン《Yure》。
樹木のような、はたまた雲のような、どこかやわらかな印象を与えるこのモニュメントは、木の枝に似た細い棒材をランダムに組み合わせることで実現したそう。
「隈研吾の『コツゴツ』哲学 過去から未来へ生き残るデザイン―髙田賢三へのオマージュ」 展示風景
そのほか、表面を焦がして建築用木材を保存する技法(日本では焼杉)から着想を得て制作されたプロダクト《Yakisugi Lamps》をはじめ、世界中に展開された隈建築の模型などが紹介されています。
「Takada Kenzo House Memorial Project」展示風景
「コツはコツコツとした地道さ、その先にひろがる開かれた国際性を示している。ゴツは、地道な努力を支え、そこにエネルギーを与え続けてくれる野生の力強さを示している。賢三さんは、そのようなコツゴツな人であった。僕もまた、そのようにしてコツでゴツな建築を作り続けたいと願っている。」
髙田がパリに構えた旧邸宅「Takada Kenzo House」。彼の「デザイン哲学の集大成」とも言えるこの空間作品を、隈は2018年にリノベーションしています。
「Takada Kenzo House Memorial Project」展示風景
通りに面した扉を開けるとトンネルが出現し、巨大な鯉が泳ぐ日本庭園をはじめ、国内から職人を連れて作ったと言われる茶室など、「マジカルな場所」と評する髙田の邸宅を、隈は木を用いて再編成しました。
「Takada Kenzo House Memorial Project」展示風景
「Takada Kenzo House Memorial Project」のコーナーでは、モックアップを使ったインスタレーションや映像を通して「Takada Kenzo House」の内装がリアルに再現されています。
「Takada Kenzo House Memorial Project」髙田賢三の遺愛品(再現品を含む) 姫路市立美術館所蔵
同コーナーでは、生前の髙田の遺愛品も展示されています。
「Takada Kenzo House Memorial Project」髙田賢三の遺愛品 姫路市立美術館所蔵
母・しずとの写真をはじめ、姫路市で過ごした少年時代から渡仏するまでの写真や、トレードマークのメガネ、旅先で収集したもの、愛用していた絵の具やスケッチ類――。
「Takada Kenzo House Memorial Project」髙田賢三の遺愛品 姫路市立美術館所蔵
隈が示唆した「国際性と野生」という言葉を彷彿とさせるような、髙田のデザイナーとしてのこだわりを垣間見ることができました。
「圓教寺×隈研吾 はづき茶屋プロジェクト」展示風景(解説:隈研吾建築都市設計事務所 パートナー 阿知波 修二)
会場入り口付近で公開されているのは、姫路市の圓教寺で進行中の「はづき茶屋プロジェクト」の展示品。
はづき茶屋とは、隈が敬愛する建築家の武田五一が設計した摩尼殿に対面して建つ休憩所です。
「圓教寺×隈研吾 はづき茶屋プロジェクト」展示風景
「コツゴツ」とした摩尼殿に、木のユニットを「コツゴツ」と組み合わせ、武田への敬意を示しつつもそこに「軽快さ」を加えた、環境に溶け込む茶屋を設計しています。
同じエリアに展示されているのが、約10万本のマッチの軸木と和紙を用いて制作された《ツンツン庵》。
「マッチ・パビリオン・プロジェクト」《ツンツン庵》、2024年竣工
姫路市の地場産業のひとつであるマッチを使うことで、つんつんした特徴的な形とこれまでの建築にはなかった質感が生み出されたそう。
これらサステナブルな自然素材を使った「環境に溶け込む建築」は、これからの建築の可能性を表しているようにも思えました。
「ツンツン」「パラパラ」「コツコツ」、そして、それを進化させた「コツゴツ」――隈研吾がユニークなオノマトペで自らの建築作品を読み解く今回の企画展。
観ているだけでワクワクするような再現模型が豊富に展示されており、建築好きの方はもちろん、建築に詳しくない方でも楽しめる構成になっていると感じました。
会場すぐ側の国宝・姫路城
会場は姫路城の敷地内に位置します。姫路観光とあわせて、ぜひ足を運んでみてくださいね!