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2024年12月17日
琳派展24 抱一に捧ぐ ―花ひらく〈雨華庵〉の絵師たち―/細見美術館
細見美術館は京都市左京区にある、約1000点に及ぶ日本美術コレクションを中心に、多彩な企画を開催している美術館です。
現在同館で、江戸琳派を興した酒井抱一と彼のアトリエであった〈雨華庵(うげあん)〉ゆかりの絵師たちの作品を紹介する展覧会が開催中です。
「うげやんコレクション」を中心に、細見コレクションを加え、江戸後期から近代にかけての江戸琳派の広がりを紹介します。
今回、テーマとなっている絵師は、全員<雨華庵>にゆかりのある絵師たちです。
この<雨華庵>は、酒井抱一が出家した後に構えたアトリエ兼住居を指しています。
ここは、抱一が多数の晩年作を描いた作画の場であるとともに、弟子たちを指導する画塾でもありました。
<雨華庵>という名前の由来は諸説あるようですが、『仏説無量寿経』の「天雨妙華」に基づくとされ、「雨華」とは大願成就した際に雨のごとく蓮華の花びらが天から舞い落ちてくる有様を現わしているという説があります。
抱一は、姫路酒井家の次男として生まれ、大名屋敷で育った後、37歳で出家をします。
48歳の時にこの<雨華庵>に転居し、作画活動に精を出て琳派を継承する江戸琳派の祖となります。
抱一没後、<雨華庵>は彼を慕う弟子たちによって継承され、江戸琳派の絵師たちのよりどころになりました。
1865年に一度焼失しますが、雨華庵4代目の酒井道一が再建し、近代には抱一作品の愛好者の聖地ともなりました。現在は、台東区に看板のみがその形跡を伝えています。
本展は<雨華庵>ゆかりの絵師たちを多角的に集めた「うげやんコレクション」の協力を得て開催されます。
<雨華庵>を継承した5世までの絵師をはじめ、抱一門下の絵師による作品が展示されています。
琳派らしい大胆な構図ですが、銀の下地は江戸琳派の特徴の一つとも言われています。
琳派の始まりは、江戸時代初期の京都に登場した俵屋宗達です。
彼の約100年後、江戸中期になると、絵師・尾形光琳がその作風に影響を受け、宗達の技を取り入れて琳派を発展させます。
そのさらに100年後、抱一が光琳の作品を手本に、江戸で琳派の作風を展開。抱一が興した琳派は、京都の琳派様式に対して「江戸琳派」と呼ばれています。
展示作品は、掛け軸や屏風をはじめ、大きさも種類も豊富にあります。また、琳派には珍しく仏画もあります。
上の作品は、抱一が描いた仏画の一つです。彼は出家後、仏画をたびたび描いています。
酒井家を離れ自由な立場の僧として後半生を生きる選択をします。
リズミカルな線画など、抱一の得意とする技法が発揮されていることが見てとれます。
展覧会では、<雨華庵>に関わる絵師たちの作品が時代の流れとともに展示されています。
<雨華庵>継承の流れについても理解を深めながら作品を楽しむことができるようになっています。
抱一の後、<雨華庵>を継承したのは、2世鶯蒲、3世鶯一、4世道一、5世抱祝です。
各継承者の作品が豊富に展示されているので、それぞれの持ち味はもちろん、時代の移り変わりも感じることができます。
江戸琳派としての歴史は既に150年以上積み重なっています。
江戸琳派は、写実的で洗練された画風と称されます。上図の蓬莱図は、江戸琳派でも描き継がれている題材の一つです。
蓬莱山は古代中国の神仙思想に説かれる理想郷です。
仙人たちが住み、不老不死の薬があるとされる神話が、日本では転じて、縁起よきものとして、慶事の飾り物の題材として親しまれてきました。
道一《蓬莱図》は通常描かれる亀や海も描かれず、かなり抽象的な表現となっています。グラフィック・アートのような趣を感じとることができます。
今回の展覧会では、弟子が画題や画風を学ぶためのお手本画集である、画帖・画巻も展示されています。
花や鳥などかわいらしい題材も多く、見ていて自然と顔がほころんでしまうようなものがたくさんあります。
吉祥の絵も多く、年末年始にぴったりの展覧会になっています。
江戸琳派ならではの、優美で向き合う程に趣を感じられる楽しさを、ぜひ体感してみてください。