ヒルマ・アフ・クリント展/東京国立近代美術館

ヒルマ・アフ・クリントの作品約140点が集結。すべて日本初公開【東京国立近代美術館】

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2025年5月6日

ヒルマ・アフ・クリントの作品約140点が集結。すべて日本初公開【東京国立近代美術館】

〈10の最大物〉 1907年 ヒルマ・アフ・クリント財団

「抽象絵画の画家」と聞いて、皆さん誰を思い浮かべますか?

カンディンスキーやモンドリアンより早く、独自のスタイルを確立させ、抽象画を描いた人物がいました。

東京国立近代美術館にて、「ヒルマ・アフ・クリント展」が開催中です。

職業画家だったアフ・クリント

ヒルマ・アフ・クリントは19世紀後半、スウェーデンの裕福な家庭に生まれ、王立芸術アカデミーで美術教育を受けます。

当時、女性としては珍しい職業画家としてキャリアをスタートさせたアフ・クリント。


「ヒルマ・アフ・クリント展」展⽰⾵景、東京国⽴近代美術館、2025年

肖像画や風景画といったアカデミックな絵画で評価を得ていたものの、かねてより興味のあったスピリチュアリズムに夢中になり、独自の抽象表現を生み出していきます。

革新的な表現

アフ・クリントがスピリチュアリズムに興味を持ち始めたのは17歳ごろのこと。

アカデミーでの伝統的な美術教育と並行して、スピリチュアリズムもアフ・クリントの思想や表現を形成しました。


「ヒルマ・アフ・クリント展」展⽰⾵景、東京国⽴近代美術館、2025年

1896年には、同じ思想を持った4人の女性と、グループ「5人(De Fam)」を結成。交霊会において受け取ったメッセージを自動筆記や自動描画によって記録するようになります。

同時代の画家たちがさまざまな作品を発表、展示する中で、アフ・クリントが自身の作品を公表することはほとんどありませんでした。

画業の全貌が明らかに

本展では、アフ・クリントの存命中、そして死後も長いあいだほとんど展示されてこなかった作品約140点が展示されています。


〈進化、WUS /七芒星シリーズ、グループVI〉 1908年 ヒルマ・アフ・クリント財団

アフ・クリントが再評価された決定的な作品群「神殿のための絵画」を中心に、ノートやスケッチなどから、彼女の創作の源泉にも迫ります。

また、作品は全て日本初公開となります。この機会をお見逃しなく。

圧巻の大作〈10の最大物〉シリーズ

アフ・クリントを代表する作品群「神殿のための絵画」のなかでも、〈10の最大物〉は本展最大の見どころです。


〈10の最大物〉 1907年 ヒルマ・アフ・クリント財団

巨大なサイズが特徴的な本作は、人生の4つの段階(幼年期、青年期、成人期、老年期)を描いた10点組です。


〈10の最大物〉 1907年 ヒルマ・アフ・クリント財団

多彩な抽象表現にうっとり。パステルカラーもかわいらしく感じます。

暗い展示室を取り囲むように椅子があるので、ぜひ座ったり、時には近づいたりしながらアフ・クリント唯一無二の世界を楽しんでくださいね。

 

「抽象画」を難しく感じる方は、ぜひ音声ガイドを。ナビゲーターは俳優の趣里さんです。

日本であまり知られてこなかったヒルマ・アフ・クリントを大規模に紹介する本展。

このあとの巡回がないのが残念に感じるほど、新鮮で、圧倒的な展覧会です!ぜひ間近で鑑賞してみてください。

Exhibition Information