アートな街歩き(都営新宿線〜京王線編)印刷の魅力からサイバーパンクの未来像、ファッション展、藤田嗣治の画業までを探訪

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2025年5月23日

アートな街歩き(都営新宿線〜京王線編)印刷の魅力からサイバーパンクの未来像、ファッション展、藤田嗣治の画業までを探訪

印刷と本づくりの奥深さ、漫画『攻殻機動隊』が描く未来像、LOVEをテーマにしたファッション展、そして藤田嗣治の多彩な画業まで。

都営新宿線から京王線沿線をめぐりながら、心を刺激するアートと文化の世界を探訪します。

市ヶ谷の「市谷の杜 本と活字館」から京王線に乗り入れる都営新宿線を利用し、まずは芦花公園の「世田谷文学館」へ。

その後、京王新線で初台の「東京オペラシティアートギャラリー」を経由し、新宿の「SOMPO美術館」へ戻るルートが効率的です。

<市ヶ谷>
大日本印刷の原点、活版印刷の魅力にふれる

市谷の杜 本と活字館は、2020年11月に東京都新宿区市谷に開館した、印刷と本づくりの魅力を体験できる文化施設です。

活版印刷は大日本印刷のすべての事業の出発点であり、市谷工場では長年にわたり多くの本や雑誌が作られてきました。


「市谷の杜 本と活字館」が入る建物の外観

その象徴である時計台の建物は、1926年当時の姿に修復され、館のシンボルとして親しまれています。

館内では、文字デザイン、活字鋳造、印刷、製本までの工程が展示されています。また、ワークショップやイベントでは、印刷や紙加工を体験することもでき、子どもから大人まで楽しみながら学べます。

印刷の奥深さや本づくりの世界に触れられる、貴重なスポットです。


館内のようす

現在、展覧会「FANTASTIC!プロセスインキ」が開催中です。

普段私たちが目にする雑誌や絵本などのカラフルな印刷物は、実はシアン(藍)、マゼンタ(紅)、イエロー(黄)、ブラック(墨)の基本4色=「プロセスカラー(CMYK)」で作られています。


会場のようす

本展では「どうして4色だけで、あんなにたくさんの色が表現できるの?」という疑問に、展示を通してわかりやすく答えていきます。

さらに、「印刷のインクと絵の具はどう違うの?」「光の三原色って何?」「金や銀の色も4色で作れるの?」といった素朴な質問にも応え、楽しみながら印刷や色の世界を学べます。

印刷の奥深さを知る絶好の機会です。

展覧会名:FANTASTIC!プロセスインキ
開催期間:2025年2月22日~6月22日
会場:市谷の杜 本と活字館
公式サイト:
https://ichigaya-letterpress.jp/gallery/000443.html

<芦花公園>
サイバーパンク作品の金字塔『攻殻機動隊』などの原画が一堂に

世田谷文学館は、1995年に開館した東京都世田谷区の文化施設で、文学をテーマにした展示やイベントを通じて、世代や分野を超えて多くの人に親しまれています。

館内では、世田谷にゆかりのある作家や現代作家の企画展、詩や小説の原稿、装丁、漫画、イラストなど、多彩な展示が行われています。

また、図書室や喫茶室も併設され、読書やくつろぎの時間を楽しめる場として、地域の文化拠点としても愛されています。


展覧会のバナー

士郎正宗(しろう まさむね)は、日本を代表する漫画家・イラストレーターで、特にSF作品の分野で国際的に知られています。

代表作『攻殻機動隊』(原作漫画は1989年刊)は、AI、サイボーグ、ネットワーク社会といった近未来のテーマを鋭く描き、哲学的な問いを投げかける内容で世界中に影響を与えました。


会場のようす

「士郎正宗の世界展~『攻殻機動隊』と創造の軌跡~」は、世界的な人気を誇る漫画家・士郎正宗の創作の秘密と進化をたどる国内初の大規模展覧会です。

代表作『攻殻機動隊』はもちろん、『アップルシード』『ドミニオン』といった代表作から、初期の貴重な原稿、緻密な設定資料、イラスト、さらにはデジタル作品まで、士郎の世界観を形づくってきた数々の資料が一堂に会します。

本展では、複雑な物語構造や哲学的なテーマ、独創的なキャラクターデザインやメカニック表現がどのように誕生し、発展してきたのかが詳しく紹介されます。


会場のようす

『攻殻機動隊』が築き上げたサイバーパンクの世界観や、その後のカルチャーに与えた大きな影響を、あらためて実感できる内容です。

これまで士郎正宗の作品に触れたことのない来場者にとっても、彼の挑戦と革新の軌跡をたっぷりと味わえる、またとない貴重な機会です。

展覧会名:士郎正宗の世界展~『攻殻機動隊』と創造の軌跡~
開催期間:2025年4月12日~8月17日
会場:世田谷文学館
公式サイト:
https://www.setabun.or.jp/exhibition/20250412-20250817_shirowmasamune.html

<初台>
「LOVE」というキーワードで探るファッションの多様な側面

東京オペラシティ アートギャラリーでは「LOVE ファッション―私を着がえるとき」が開催中です。


エントランス

展示は5つの章で構成。京都服飾文化研究財団(KCI)の18世紀から現代までの衣装コレクションを中心に、「LOVE」をキーワードにファッションの多様な側面を探ります。


会場のようす

18世紀の宮廷服から現代のモードまで約130点の衣服・装飾品・アート作品が一堂に集結。

服を着ることは、人間にとって普遍的で奥深い営みです。

過去と現在、東西の文化が交差する華やかな舞台を通じ、ファッションが単なる装飾ではなく、欲望、葛藤、憧れといった人間の内面に深く結びついてきたことを実感できる展覧会です。

展覧会名:LOVE ファッションー私を着がえるとき
開催期間:2025年4月16日~6月22日
会場:東京オペラシティアートギャラリー
公式サイト:
https://www.operacity.jp/ag/exh285/

<西新宿>
藤田嗣治の芸術を7つの情熱から読み解く

藤田嗣治(1886~1968年)の「生誕140周年 藤田嗣治 7つの情熱」がSOMPO美術館で開催されています。

少年のころから画家を目指していた藤田は、1913年、故郷の日本を離れ、フランス・パリへ渡ります。

世界中から芸術家が集まる最先端の街で、藤田はピカソやモディリアーニといった著名な画家たちとも交流し、風景画、裸婦、自画像などを描きながら、独自の画風を作り上げていきました。


エントランス

今回の展覧会は、藤田嗣治の創作の源泉を「自己表現」「風景」「前衛」「東方と西方」「女性」「子ども」「天国と天使」という7つのテーマから読み解く展覧会です。

中でも見どころは、「乳白色の肌」で知られる裸婦像に象徴される“女性”の表現。女性のしなやかさや優雅さを独特の筆致で描き出し、国際的な名声を得ました。


エントランスのバナー

また「子ども」の作品群では、晩年の藤田が追求した純粋さや無垢の世界が光ります。子どもたちの何気ないしぐさや表情を愛情深くとらえた作品は、見る人の心を和ませ、藤田の優しいまなざしを感じさせます。

藤田芸術の魅力と進化を存分に味わえる展覧会です。

展覧会名:生誕140周年 藤田嗣治 7つの情熱
開催期間:2025年4月12日~6月22日
会場:SOMPO美術館
公式サイト:
https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2024/tsuguharu-foujita/