絵本でつなぐ「へいわ」/ちひろ美術館・東京

絵本で「平和」について考える展覧会。東京・練馬区で開催中【ちひろ美術館・東京】

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2025年8月14日

第二次世界大戦終結から80年を迎える2025年。
各地のミュージアムでは、戦後80年を記念した展覧会が多く開催されています。

絵本画家・いわさきちひろのアトリエ兼住宅跡地に建てられた「ちひろ美術館・東京」では、絵本を通じて平和と戦争について考える展覧会が開催中です。

本展では、ちひろや世界の絵本画家たちが平和への思いを込めて描いた絵本や、戦争を描いた絵本の原画を、画家からのメッセージとともに展示。

絵本を通して、親子で平和の大切さについて考えることができる展覧会です。

「平和」ってなんだろう?

ちひろ美術館では、絵本は、“人が最初に出会う美術であり文学”、また、“民族や言語の違いを越えて、0歳~100歳以上の人が楽しめることができる文化財”である考えています。

そうした考えから、同館は2011年より「ファーストミュージアム」という言葉を用いて、あかちゃんや小さな子ども、そして車いすの方でも安心して過ごせる美術館として活動を続けています。

多くのミュージアムで特集されている戦争をテーマとした展示。
その内容は、基本的に小学校高学年以上に向けたものが多く、小さな子どもたちには身近に感じづらいところがあります。

いまの生活の中に当たり前のようにある「平和」は、一体どんなものなのでしょうか。
子どもにとって身近な絵本には、かけがえのない「平和」について考えるヒントがたくさん詰まっています。

本展では、戦後出版された絵本のなから、戦争と平和を考える絵本約150冊を紹介しています。

絵本は、展示室と図書室で読むことが可能です。

この夏はちひろ美術館・東京で、子どもと一緒に平和や戦争を改めて考えてみてはいかがでしょうか。

戦争を起こさないためには?を考える展示

nakaban(日本)『ひとのなみだ』(童心社)より 2024年 個人蔵(特別出品)

いわさきちひろをはじめ、戦争を体験した画家たちは、二度と戦争をくり返してはならないという気持ちで平和に関する絵本を制作しました。

子どもたちがしあわせに生きられるようにという思いは、次の世代、さらにその次の世代の絵本画家たちに受け継がれています。

西村繁男(日本)『絵で読む広島の原爆』(福音館書店)より 1995年 個人蔵(特別出品)

第二次世界大戦は80年前に終わりましたが、今でも世界では争いが絶えず、多くの人の命が喪われています。

いつその火の粉が、日本にも降りかかるか分からない現在。
戦争はなにをもたらすのか、戦争を起こさないためにはどうしたらいいのか。

その問いを絵本で紐解いていきます。

いわさきちひろが描いた戦争

(手前)いわさきちひろ 原爆ドーム 『わたしがちいさかったときに』(童心社)より 1967年 ちひろ美術館蔵

いわさきちひろは1967年に、被爆した広島の子どもたちの手記に絵を付けた絵本『わたしがちいさかったときに』(童心社)の絵を手がけました。

(左から)松本猛氏、山田洋次氏、アーサー・ビナード氏

7月28日に開催された関係者内覧会では、詩人のアーサー・ビナード氏をはじめ、公益財団法人いわさきちひろ記念事業団理事長である映画監督の山田洋次氏、ちひろ美術館常任顧問である松本猛氏が登壇。

アーサー氏は、『わたしがちいさかったときに』を底本とした新刊絵本『1945年8月6日 あさ8時15分、わたしは』に寄稿しています。

『1945年8月6日 あさ8時15分、わたしは』 言葉/原爆を体験した子どもたち 絵/いわさきちひろ 童心社 1,870円(税込)

いわさきちひろ 焔のなかの母と子 『戦火のなかの子どもたち』(岩崎書店)より 1973年 ちひろ美術館蔵

また、亡くなる前年の1973年には、ベトナム戦争をテーマとした『戦火のなかの子どもたち』(岩崎書店)を発表。

この絵本は、ちひろが病と闘いながら、自らの戦争体験を重ねて戦争への怒りと悲しみを描き出した作品です。

絵本を通して、今の当たり前にある平和について考える本展。

館内ミュージアムショップ*では、本展の関連書籍を販売しています。
新刊絵本『1945年8月6日 あさ8時15分、わたしは』も、こちらで購入可能です。

*館内ミュージアムショップの利用は、ご入館された方に限ります。

また、会期中はさまざまなイベントが開催されます。

詳しくは、ちひろ美術館・東京公式サイトをご確認ください。

Exhibition Information