巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)―現代マイセンの磁器芸術―/泉屋博古館東京

メルヘンチックな現代マイセンの数々にうっとり♡【泉屋博古館東京】

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2025年9月8日
メルヘンチックな現代マイセンの数々にうっとり♡【泉屋博古館東京】

《アラビアンナイト》花瓶 装飾:ハインツ・ヴェルナー/ヴォルフガング・ヴァックス 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー 1966年(1999年製作) 個人蔵

泉屋博古館東京(六本木)にて、特別展「巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)―現代マイセンの磁器芸術―」が開催中です。

本展では、ヨーロッパを代表する名窯、マイセンの巨匠ハインツ・ヴェルナー(1928-2019)が手がけた数々の名作を紹介します。

現代マイセンの巨匠
ハインツ・ヴェルナー

ハインツ・ヴェルナーは、現代マイセンを代表するデザイナーです。

1943年、ヴェルナーは15歳の時にマイセン養成学校に入学しました。

入学後すぐに絵の才能を見いだされ、厳格な教育を受けたのち絵付師として認められます。

《エンゼルフィッシュ》花瓶 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ハンス・メルツ 1958年 個人蔵

マイセンの製品は、ライプツィヒ・メッセ*で、そのデザインが発表され製品化へと進んでいきます。
*ザクセン州ライプツィヒで開催される大規模な見本市

本作は、装飾デザイナーとしてのデビュー作のひとつです。

エンゼルフィッシュを的確に捉えつつ、デフォルメして描くこの表現は、マイセンの伝統とは一線を画すものです。

この表現方法は、市場に驚きと称賛をもって迎えられたのだそう!
そして、ヴェルナーは装飾デザイナーとしてデビューを果たしました。

夢の世界へと誘う
磁器芸術の数々を鑑賞

1960年、ヴェルナーはマイセン創立250年にあたって立ち上げられた「芸術の発展を目指すグループ」の創立メンバーに選ばれました。

高度な磁器作りの技術と、5人のアーティストによる「芸術の発展を目指すグループ」の豊かな才能が掛け合わさって、数々の作品を生み出していきます。

《ミュンヒハウゼン(ほら吹き男爵)》コーヒーサービス(一部) 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:エアハルト・グローサー、アレクサンダー・シュトルク、ルードヴィッヒ・ツェプナーの共作 1964年 個人蔵

ヴェルナーを語るうえで外せない作品は、こちらの《ミュンヒハウゼン(ほら吹き男爵)》コーヒーサービスです。

ドイツで古くから親しまれている文学作品をモチーフとした本作。
鮮やかな黄色と繊細かつたのしげなタッチの絵付けに注目です。

《ミュンヒハウゼン(ほら吹き男爵)》コーヒーサービス(一部) 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:エアハルト・グローサー、アレクサンダー・シュトルク、ルードヴィッヒ・ツェプナーの共作 1964年 個人蔵

この美しい黄色をいま再表現するのは不可能なのだとか。

ぜひ会場で、この色合いと可愛らしい模様をじっくりとご覧ください。

現代マイセンを代表する名シリーズ

《サマーナイト》ティーサービス(部分) 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー 1969年(1974年以降製作) 個人蔵

《ミュンヒハウゼン》をきっかけに、ヴェルナーは物語(メルヘン)からインスピレーションを受けた新たなシリーズを生み出します。

本展のメインビジュアルにも使用されている《サマーナイト》は、イギリスの詩人ウィリアム・シェイクスピア『真夏の夜の夢』のキャラクターを幻想的に描いた作品です。

妖精王オーベロンのセンターピースは、茶目っ気あふれるポーズをとっていて見入ってしまいます。

《サマーナイト》ティーサービス(部分) 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー 1969年(1974年以降製作) 個人蔵

ハインツ・ヴェルナーが創造した名作を中心に、現代マイセンの美しき磁器芸術を紹介する特別展「巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)」。

併設のミュージアムショップでは、本展出品作品をあしらったオリジナルグッズも販売中です。

定番のクリアファイルやポストカードなどを販売しています。

スフマート編集部のおすすめは、《ミュンヒハウゼン》コーヒーサービスがデザインされた一筆箋。

プレゼントに添えるのにぴったりな可愛らしい絵柄が印象的です。

展覧会を観たあとは、ミュージアムショップでお買い物も楽しんでみては?