ティンガティンガ サバンナの動物たち/マコンデ美術館

タンザニア生まれ!ポップでビビッドなティンガティンガ絵画【マコンデ美術館】

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2026年3月30日

タンザニア生まれ!ポップでビビッドなティンガティンガ絵画【マコンデ美術館】

ジョン・フンディ作《ドボン》

展示室に足を踏み入れると、いきなり出迎えてくれるのはインパクト満点の彫像。

ここは伊勢志摩国立公園の玄関口、「夫婦岩」のある三重県伊勢市二見町のマコンデ美術館。アフリカ・タンザニアのマコンデ高原に住むマコンデ族の彫刻が中心の、世界的にも珍しいミュージアムです。

このマコンデ美術館で、タンザニアの色鮮やかな「ティンガティンガ絵画」の企画展が開催されており、訪れることになりました。

ずらりと並ぶマコンデ彫刻


館内の展示風景

館内にはマコンデ彫刻が所狭しと並んでいます。具象的なものから抽象的なものまで形態はさまざま。決められた技法などはなく、作り手が思い思いに形にした彫刻です。

観ていてとても楽しくなる、独創的でおおらかなフォルム!ティンガティンガ絵画を観賞する前に、彫刻の方もご紹介しましょう。

マコンデ彫刻との出会い


ヘン・ドレン作《チョースケ》

そもそも、なぜこの場所にアフリカ美術専門の美術館があるのでしょう?

きっかけは、初代館長・水野恒男氏が民芸品店で出会ったこの一体の彫刻でした。名前は「チョースケ」。いかりや長介さんに似ている、と水野氏が名付けたとのこと。

水野氏はマコンデ彫刻の力強い生命力に惹かれ、アフリカへ何度も足を運び収集に力を入れます。

はじめのころは経営する会社の2階にマコンデ彫刻を展示していましたが、「もっと多くの人に見てもらえる専門の美術館をつくりたい」と、場所を探して設立したのがこの美術館なんだそうです。

農閑期の手仕事から芸術へ


《踊る人々》

マコンデの彫刻は、農耕民族だったマコンデ族が農閑期に手仕事としてノミをふるって作っていたもの。

その彫刻に魅せられた骨董商が、1953年にタンザニアの当時の首都に工房を開設。マコンデの彫刻家たちに道具を提供し販売先も確保したことで盛んになり、発展してきたのがマコンデ彫刻です。アートとして世に広まったのは比較的近年なんですね。

マコンデの彫刻家たちは、アフリカ黒檀というとても硬い木を自然の形を利用しながら想像力豊かに作品を彫り出します。


ンジャス作《荷物を持った収穫のウジャマ》

こちらはマコンデ彫刻の重要なテーマのひとつ「ウジャマ彫刻」。ウジャマとは人びとの集まりのことで、多くの人々を1本の木から柱のように彫りあげます。

家族的なつながりを示す、いわば彫刻の家系図のようなもので、一番上に彫られているのは族長だそうです。


ナカテンポー作《子供を抱いた若い母》

こんなきれいな彫像もありました。少女のような若い母親が赤ちゃんを抱いています。

マコンデ彫刻には仕事や病気、子育てなど生活を表現した彫刻が多く見られます。

他にも「サタン」を意味する「シェタニ彫刻」や、動物をテーマとしたものなども。シェタニ彫刻はサタンというよりも日本の妖怪に近く、ちょっぴりユーモラスな連中です。

カラフルな彫刻も


ジョージ・リランガのペイント彫刻

画像は、マコンデの彫刻家であり絵画や焼き物など多彩な作家活動をするジョージ・リランガの作品。

近年アフリカ黒檀が乏しくなり、彫刻家たちは他の木材で制作するようになりました。表面にアクリルペイントを塗って仕上げた作品で、黒檀作品と違いカラフルな色彩が特徴です。

スニーカーを履いていたり、携帯電話を使ったりする現代的な「シェタニ」です。

ティンガティンガ絵画とは?


ティンガティンガ作 (左)《蛇とシェタニ》 (中央)《病気のお祓いをする呪術師》 (右)《ヤギに乗った呪術師》

2階フロアに上がって、今回の企画展「ティンガティンガ絵画」を見ていきましょう。

ところで「ティンガティンガ」って何?

実はこの絵画スタイルを始めた人の名前なんです。1960年代後半、エドワード・サイディ・ティンガティンガが自転車用のエナメルペイントで建築材料の板に動物や村の風景を描いたことがティンガティンガ絵画の始まりでした。


ティンガティンガ作《五羽の鳥》

まるで現代のおしゃれなデザインポスターと錯覚するこの絵もティンガティンガの作品。

お店など商業空間はもちろん、お部屋でも飾りたくなるセンスの代物。平面的にデフォルメされた構図と鮮やかな色彩が目を惹きます。どの絵も伸びやかでユーモラスです。

現代に受け継がれるティンガティンガ絵画


ティンガティンガ作家の作品群

1972年にティンガティンガは惜しくも急逝しますが、彼の弟子たちによってその技法は引き継がれます。そしてそれらの絵画は創始者ティンガティンガの名を取って「ティンガティンガ絵画」と呼ばれるようになりました。

ティンガティンガ画家たちは協同組合に所属し、「ティンガティンガ村」と呼ばれる工房を拠点として現在も活動しています。


サルム・ムサ作《鳥たちを連れて歩くクロサイ》

ティンガティンガ絵画の主役は、生き生きとしたサバンナの野生動物。クロサイもたくさんの鳥を連れて楽しそうです。


(左)ハンジラ作《鳥たちに見守られるチーター》 (右)スティーブン・ムクンバ《キリマンジャロを見上げるゾウと鳥たち》

動物を独特のフォルムで描いた鮮やかな色彩の作品がずらりと並び、開放感のある明るい雰囲気の展示室。

絵本のようにストーリーが浮かんできて、見ているだけで現代社会の息苦しさを忘れられます。


生活風景を描いた作品

作家たちの日常生活をモチーフにしたものも多くあります。

右の絵には蛇使いが登場。その横の絵には髪をとく女と、縄をなう女が描かれています。

ティンガティンガ絵画は生活に密着した絵。現地の暮らし向きが感じられますね。


ショップ風景

一階のショップをのぞいたら・・・マコンデ彫刻やティンガティンガ絵画が販売されていました。

なんと複製物でなくオリジナル!

シンプルで力強いモチーフと鮮やかなカラーリングのティンガティンガ絵画は、いろいろな空間に映えること請け合い。あなたのセンスをキメたいスペースに、一枚かけてみてはいかがでしょうか。

Exhibition Information

展覧会名
ティンガティンガ サバンナの動物たち
開催期間
2026年3月14日~6月14日
会場
マコンデ美術館
公式サイト
https://museum.makonde.jp/