川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション/大田区立龍子記念館

日本画の巨匠・川端龍子と現代アーティストがコラボレーション企画!

2021年9月16日

コラボレーション企画展 「川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃―」/大田区立龍子記念館

川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・s山口晃―/大田区立龍子記念館

展示風景

近代日本画の巨匠・川端龍子(かわばたりゅうし)の作品を所蔵する大田区立龍子記念館。龍子の作品はもちろん、併設された龍子公園で四季折々の植物や旧宅、アトリエなどが楽しめる個人美術館です。

そんな同館と、日本屈指の現代アートのコレクター・高橋龍太郎氏のコレクションがコラボレーション中! 大田区蒲田でのクリニック経営など、高橋氏が永年大田区とのかかわりがあったことにより実現した展覧会です。

本展では、日本画家でありながら幅広い表現の作品を描き続けた龍子と、日本を代表する現代アーティストの作品の競演を通して、両者を新たな視点で読み解きます。

高橋龍太郎コレクションとは

精神科医、高橋龍太郎氏が1997年から本格的に始めた現代美術コレクション。草間彌生や奈良美智、村上隆など、国際的に活躍する作家たちの初期作品、代表作品を多くコレクションしていることから、日本の公立美術館の「失われた10年」を補完するコレクションとも言われています。

2,000点以上におよぶ「高橋龍太郎コレクション」は、国内のみならず海外でも知られており、国内外への作品貸し出しは年間100件を超えるそうです!

展示室を入るとまずは川端龍子 vs 会田誠 !

展示は龍子と会田誠のコラボレーションからスタート。両作を並べて展示することは、展覧会を作る初期段階で決まっていたそうです。

川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・s山口晃―/大田区立龍子記念館

川端龍子《香炉峰》1939年、大田区立龍子記念館

《香炉峰》は、幅7メートルを超える大型作品です。タイトルの香炉峰(こうろほう)は、唐代の詩人・白居易の詩にちなんでいます。

本作は、海軍に依頼され、画家として中国大陸を巡歴した際に見た廬山(ろざん)のようすを表現したもので、パイロットは、龍子自身を描いているのだそう。戦闘機は透明に表現され、地上の山々を見下ろすような独特な世界観で描かれています。

川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・s山口晃―/大田区立龍子記念館

会田誠《紐育空爆之図(にゅうようくくうばくのず)(戦争画RETURNS)》1996年、高橋龍太郎コレクション

零戦CG制作:松橋睦生 ©AIDA Makoto, Courtesy of Mizuma Art Gallery

《香炉峰》と対応するように展示されているのは、高橋コレクションの会田誠《紐育空爆之図(戦争画RETURNS)》です。

ビルが立ち並ぶニューヨーク・マンハッタン上空を、零式艦上戦闘機が「∞」記号を描いて空爆するという衝撃的な本作。零式艦上戦闘機はホログラムペーパーを切り抜いてつくられ、キラキラ輝いて見えます。

日本美術史において負の遺産とされてきた「戦争画」に焦点を当てた作品となっています。

龍子が所蔵していた貴重な仏像も展示

仏教を深く信仰していた龍子は、邸宅内に仏像を納めるお堂を設けており、中央に本尊として納められていたのが《十一面観音菩薩立像》でした。
龍子はこの仏像をモチーフに《吾が持仏堂 十一面観音》(写真左から2番目)を描いています。

そして、同作と並べられている、天明屋尚(てんみょうや ひさし)の《ネオ千手観音》(写真右から2番目)は、アクリル絵具による繊細な技術によって描かれた観音です。慈悲を表すはずの観音の手全てに武器を持たせており、古典的な要素を用いながら、現代を強烈なインパクトで表現しています。

高橋氏は本作を見て、人生でたった一度だけのファンレターを書いたそうです。

川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・s山口晃―/大田区立龍子記念館

展示風景

現在は大田区蔵となっている、龍子旧蔵の《十一面観音菩薩立像》もあわせて展示されています(写真左)。

こちらは奈良時代の木彫像で、上半身に肩からかけるたすき状の布がない珍しい形式で、衣服の模様にも特色があります。

龍子が毎日礼拝していた仏像をぜひ間近で見てみてください。

出品作家は日本の現代アートを代表する全4名!

本展に出品するのは、会田誠、鴻池朋子・天明屋尚・山口晃の4名です。

川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・s山口晃―/大田区立龍子記念館

展示風景

バブルが崩壊し、日本経済が危機に直面した際、美術館も例外ではありませんでした。公立美術館の購入予算はカットされ、才能あふれる作家たちの作品に買い手が付かなかったのです。

そんな時期に現れたのが、コレクター・高橋龍太郎氏でした。高橋氏は勢力的に作品を買い続け、結果的に、90年代から2000年代の日本の現代美術の重要作品を多くコレクションすることになりました。

今回出品する4名の作家もバブルの頃は無名でしたが、高橋氏は早くからその作品に惹かれ、初期から現在まで、数多くの作品をコレクションしています。

 

龍子記念館で現代アートとのコラボレーション展が開催されるのは初めてのこと。

龍子ファンが現代アートの世界に触れ、現代アートファンが龍子の作品の魅力を再発見できる貴重な展覧会です。この機会をお見逃しなく。

 

※入館時に新型コロナウィルス感染拡大の防止策として、マスクの着用、手指の消毒、健康チェックシートへの記入をお願いしております。ご理解、ご協力をお願いいたします。

川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・s山口晃―/大田区立龍子記念館

展示風景

Exhibition Information

展覧会名
川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃―
開催期間
2021年9月4日~11月7日 終了しました
会場
大田区立龍子記念館
公式サイト
https://www.ota-bunka.or.jp/facilities/ryushi
注意事項

※入館時に新型コロナウィルス感染拡大の防止策として、マスクの着用、手指の消毒、健康チェックシートへの記入をお願いしております。ご理解、ご協力をお願いいたします。