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2024年11月1日
佐伯祐三 自画像としての風景/東京ステーションギャラリー
約100年前の明治時代、30年の短い生涯を送った天才画家・佐伯祐三(1898-1928)の展覧会が開催中です。
本展では、佐伯が描いた大阪、東京、パリの3つの街に焦点を当て、佐伯芸術の本質に迫ります。
佐伯が短い生涯の中で主に描いたのは、自分が生きる街をテーマにした風景画でした。生まれ育った大阪、芸術を学んだ東京、そしてヴラマンク、ユトリロ、ゴッホなどから影響を受けたパリ。
本格的に画業に取り組んだ4年あまりの歳月の中で、佐伯芸術が確立していくようすが鑑賞できます。
佐伯祐三《立てる自画像》1924年、大阪中之島美術館
展示室に入るとまず目に入る《立てる自画像》は、佐伯のパリでの模索が伺える作品です。
当時、フォーヴィスムをけん引した画家・ヴラマンクを訪ねた佐伯は、自身が描いた裸婦を見せます。ところがヴラマンクは佐伯の作品を「生命感がない」「アカデミック!」と激しく否定したのです。
ここから佐伯は自分だけの表現を探求することになります。本作はあまり納得のいく出来では無かったのか、1年後にカンヴァスが転用されています。裏面にはノートルダム大聖堂を描いた作品を観ることができますよ。
東京では2005年に練馬区立美術館で開催された展覧会以来、実に18年ぶりの開催となる本格的な回顧展とのこと。伝説の画家の作品が100点以上並ぶ貴重な機会です。
国内最大の佐伯祐三コレクションを持つ大阪中之島美術館。本展は、同館を中心に日本国内の美術館と個人所蔵家から集めた多くの名品で構成されています。
1983年に実業家・山本發次郎の旧蔵品が寄贈されたことをきっかけに始まった大阪中之島美術館の構想。その山本發次郎コレクションの中心を成すのが、佐伯祐三の作品群約30点です。
佐伯は大阪で生まれたので、まさに自身の”本拠地”で開催される大回顧展となることでしょう。
4月からは大阪中之島美術館に巡回予定です。国内最大の佐伯コレクションを持つ同館ならではの展示も気になりますね!
本展は、佐伯祐三と同時代の1914年に創建された東京駅丸の内駅舎(重要文化財)の中にある東京ステーションギャラリーと佐伯芸術の共鳴も見どころのひとつです。
当時の構造レンガをそのまま活かした2階展示室は、パリの石造りの建物と重厚な壁に魅了された佐伯の作品を展示するのにぴったり!
大胆に描かれたパリの街角や、パリから一時間ほどの場所にある小さな村で描いた珠玉の作品群をお見逃しなく。
30歳の若さで亡くなった天才画家・佐伯祐三。彼の描いた作品を、彼の生きた街と絡めて紹介するユニークな展示です。佐伯芸術の一端に触れてみてはいかがでしょうか。