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顕神の夢―幻視の表現者― 村山槐多、関根正二から現代まで

関根正二《三星》1919 年
東京国立近代美術館蔵(後期展示のみ)

中園孔二《無題》2014 年 個人蔵
©Koji Nakazono, Nakazono Family Courtesy of Tomio Koyama Gallery

村山槐多《裸婦》1915-16 年
町立久万美術館蔵

非合理的で直接的な経験が表現者にとってかけがえのないモチベーションとなり得ることは確かです。それはある種の宗教的な体験に似ていますが、宗教以前のものであり、宗教のもととなる出来事とも解釈できます。
表現者たちは、訪れたヴィジョンをたよりに、自己を超えた名状し難い「何か」を捉えるべく身を焦がす思いで制作します。「何か」へのあこがれや思慕は、漠とした信仰心の発露ともいえます。しかし、描けば描くほど、作れば作るほど、その「何か」は、表現者の手からすり抜け別のものとなり替わってしまいます。そのため、彼らは向こうから「何か」がやってくるのを待つしかありません。本展ではこのような心情を仮に「顕神の夢」と名付けてみました。
ときとして土俗的な印象を与える作品が出来(しゅったい)しますが、それは、近代化により捨象されず根強く残った心情の証しです。このような作品は既存の尺度では、測りえないものです。かといって、排除するわけにはいきません。現に作品は凄まじい力をもって迫ってきます。ならば、私たちは、作品にふさわしい尺度を学び、鍛えなければなりません。尺度がそぐえば作品は豊かな世界を開示してくれます。また、このような観点から、いわゆるモダニズムの文脈でのみ解釈されていた作品を読み直すことも可能です。優れた作品はすべからく不可知の領域に根ざしていると思われます。
本展は、今までモダニズムの尺度により零れ落ち、また、十分に評価されなかった作品に光をあてます。また、すでに評価が定まった近代の作品や、批評の機会を待つ現代の作品を、新たな、いわば「霊性の尺度」でもって測りなおすことにより、それらがもつ豊かな力を再発見、再認識する試みです。

Event Information

展覧会名
顕神の夢―幻視の表現者― 村山槐多、関根正二から現代まで
開催期間
2023年4月29日~6月25日 終了しました
開館時間
09:30~17:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日
月曜日 (5月1日を除く)、5月9日(火)
入館料

一般 1,000(800)円、高・大学生・65 歳以上 800(640)円、中学生以下無料
( )内は 20 名以上の団体料金
※本料金で常設展もご覧いただけます。

公式サイト
https://www.taromuseum.jp
お問い合わせ

044-900-9898

Venue Information

会場
川崎市岡本太郎美術館
主催
川崎市岡本太郎美術館、顕神の夢展実行委員会
同時開催

常設展「岡本太郎と太陽の鳥」会期4月20日(木)~7月2日(日)