開催中

遠距離現在 Universal / Remote

井田大介《誰が為に鐘は鳴る》2021年
© Daisuke Ida, courtesy of the artist

徐冰(シュ・ビン)《とんぼの眼》2017年
© Xu Bing Studio, courtesy of the artist

ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ヒト・シュタイエル、ミロス・トラキロヴィチの共同制作《ミッション完了:ベランシージ》2019年
展示風景:「ヒト・シュタイエル」ノイエ・ベルリナー・クンストフェライン(n.b.k.)、2019年
Courtesy the artists; Neuer Berliner Kunstverein, Berlin; Andrew Kreps Gallery, New York; Esther Schipper, Berlin
Photo © Neuer Berliner Kunstverein (n.b.k.) / Jens Ziehe

ティナ・エングホフ《心当たりあるご親族へ――男性、1954年生まれ、自宅にて死去、2003年2月14日発見》2004年
© Tina Enghoff, courtesy of the artist

木浦奈津子《こうえん》2023年
© Natsuko Kiura, courtesy of the artist
Photo © EUREKA

コロナ禍の日常生活の中で私たちが感じるようになった、ソーシャル・ディスタンシングによる緊張感、医療不足、より不安定となった雇用など、社会/経済全般における諸問題は、決して今に始まったことではありません。むしろ、ウイルスと同様に、パンデミックという状況によってよりはっきりと明るみに出た、世界各地の人々が同時に共有する問題と言えるでしょう。人、資本、情報が世界規模で移動する20世紀後半以降のこれまでの社会は、2010年代より本格化したスマートデバイスの普及とともに、オーバーツーリズム、生産コストと環境負担の途上国への転嫁、情報格差など、それぞれのグローバルな移動に伴う問題を抱えたまま2020年を迎えました。そして、同じく国境のないパンデミックの発生により、人の移動には不意のストップがかかったものの、資本と情報の移動が止まる気配はありません。かえって、資本や情報の本当の姿が、垣間見えているようにも思えます。豊かさと貧しさ。強さと弱さ。私たちの世界のいびつな姿はますます露骨に、あらわになるようです。

展覧会タイトル「遠距離現在」は、ソーシャル・ディスタンシングや非対面コミュニケーションといったコロナ禍社会の条件はもちろんのこと、資本と情報が世界規模で移動する今世紀の状況をふまえたものでもあります。展示予定作品の多くは2020年以前のものですが、監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、また人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、あるいはこれからのポストコロナ時代の世界と真摯に向き合っているようにも見えます。本展は、全世界(Pan-[全…, 汎… の意])の規模と、非対面の遠隔(Remote)という二つの視点から、グローバル資本主義やデジタル化社会といった現代アートにおける従来のテーマを新たに捉えなおすものです。1.「Pan- の規模で拡大し続ける社会」、2.「リモート化する個人」の構成からなる本展では、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会の在り方について取り組んできた作家の作品を紹介します。

Event Information

展覧会名
遠距離現在 Universal / Remote
開催期間
2024年3月6日~6月3日
開館時間
10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日
火曜日 ※ただし4月30日は開館
入館料

一般 1,500円 大学生 1,000円
※高校生、18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料。
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
チケット情報は後日、国立新美術館ホームページ等でお知らせします。

公式サイト
https://www.nact.jp/exhibition_special/2024/universalremote/
お問い合わせ

050-5541-8600(ハローダイヤル)

Venue Information

会場
国立新美術館 企画展示室1E
巡回情報

熊本市現代美術館
会期:2023年10月7日~12月17日
広島市現代美術館
会期:2024年6月29日~9月1日