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「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容

瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄

牛腸茂雄 《 SELF AND OTHERS 18》1977年
ゼラチン・シルバー・プリント、新潟県立近代美術館蔵

イタリア紀行(撮影:瀧口修造)1958年
ゼラチン・シルバー・プリント、プリント:大辻清司、渋谷区立松濤美術館蔵

大辻清司《大辻清司実験室 なんでもない写真》1975年(1980年プリント)
ゼラチン・シルバー・プリント、武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵

牛腸茂雄《見慣れた街の中で 1》1978-80年、ラムダ・プリント、新潟市美術館蔵

牛腸茂雄《扉を開けると 3》1972-77年、インク・紙、新潟市美術館蔵

1930年代、海外のシュルレアリスムや抽象芸術の影響を受けて、日本各地に前衛写真が流行。東京では、瀧口や阿部を中心とする「前衛写真協会」が設立されます。技巧を凝らした新奇なイメージが珍重された前衛写真の風潮に満足しなかった瀧口は、「日常現実のふかい襞のかげに潜んでいる美」を見つめ、いたずらに技術を弄ぶべきではないと、熱狂に冷や水を浴びせかけます。しかし、太平洋戦争へと向かう時局において前衛写真が次第に弾圧の対象となっていくなか、この瀧口の指摘は一部をのぞいて十分に検討されることなく、運動は終局に向かいました。

戦後、個々人のなかに前衛写真の精神は継承され、特需景気、経済成長からその限界へとひた走る戦後の日本社会に反応し続けます。とりわけ、写真家としての出発点において瀧口と阿部に強く影響を受けた大辻と、「桑沢デザイン研究所」における大辻の教え子だった牛腸の二人は、時代に翻弄され移り変わる「日常現実」を批判的に見つめなおし、数々の名作を生み出しました。その写真には、反抗と闘争の60年代が過ぎ去った70年代、変容を遂げつつあった「前衛」の血脈が隠されています。

4人の精神があぶりだす、「なんでもないもの」のとんでもなさ。どうぞ穴の開くほど、じっくりとご覧ください。

※会期中、展示替えがあります
前期:12月2日~1月8日
後期:1月10日~2月4日

Event Information

展覧会名
「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容
瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄
開催期間
2023年12月2日~2024年2月4日 終了しました
開館時間
10:00~18:00
(金曜日は~20:00)
※入館は閉館時間の30分前まで
休館日
月曜日 (ただし1月8日は開館)、12月29日~1月3日、1月9日
入館料

一般800円(640円)、大学生640円(510円)、高校生・60歳以上400円(320円)、小中学生100円(80円)
※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料
※毎週金曜日は渋谷区民無料
※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
※障がい者及び付添の方1名は無料

公式サイト
https://shoto-museum.jp
お問い合わせ

03-3465-9421

Venue Information