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HIRAKU Project Vol.16

鈴木のぞみ「The Mirror, the Window, and the Telescope」

《The Rings of Saturn:舷窓-アイリッシュ海》2020年、北川正人蔵
写真:木暮伸也

《The Rings of Saturn:燭台付き鏡-蝋燭》2021年、沖一成蔵 写真:木暮伸也

《The Rings of Saturn:眼鏡-クリスタル・パレス》2020年、村田真蔵 写真:木暮伸也

《Other Days, Other Eyes:田中邸2階寝室の窓》2021年、作家蔵 写真:木暮伸也

展示風景:「無垢と経験の写真 日本の新進作家vol.14」東京都写真美術館、2017-2018年 写真:藤澤卓也 提供:東京都写真美術館

HIRAKU Projectは、過去にポーラ美術振興財団の助成を受けた作家を紹介する展覧会シリーズです。第16回目となる今回は、写真の原理を用いて、身近な日用品や古い家屋に潜む記憶や光の痕跡を可視化し、オブジェとイメージによってインスタレーションを生み出す鈴木のぞみを紹介します。

大学で絵画を専攻していた鈴木は、独学で写真技術を学び始め、2012年に自身のアトリエであった築90年の古民家の木枠付き窓ガラスを用いて作品を制作しました。その窓から見えたであろう風景を撮影し、感光乳剤を塗布した窓ガラスそのものに焼き付けたのです。この邸宅のかつての住人が眺め、そして窓そのものが見つめてきた何気ない景色を、使い込まれた窓ガラスにおぼろげな像として現出させました。鈴木は、こうした日常のありふれたものに宿る「事物の記憶」を浮かび上がらせ、ものに直接定着させることを試みています。

2019年に渡英した作家は、船の窓や望遠鏡、ルーペといった様々な遺物や視覚装置を入手し、その来歴を調査しました。そして、人類の視覚体験や近代化を切り開いてきた科学や技術の進歩、ある時代や社会が共有する感覚や嗜好性を反映したイメージをそれらに焼き付け、「大衆の記憶」を暗示するような作品へと昇華させています。

今回のタイトルにあるMirror(鏡)とWindow(窓)は、絵画や写真の発展に不可欠だった要素であり、Telescope(望遠鏡)は人間の「見たい」という欲望を叶えた科学装置です。それらが留めてきた記憶や痕跡と真摯に向き合う鈴木の作品は、写真表現の原初的な姿や、大きな歴史の流れと私的な「個」のストーリーに潜む、去りゆく時間や消えゆく光景について思いをはせる機会を我々に与えてくれるでしょう。

Event Information

展覧会名
HIRAKU Project Vol.16
鈴木のぞみ「The Mirror, the Window, and the Telescope」
開催期間
2024年6月8日~12月1日
休館日
会期中無休
入館料

無料

公式サイト
https://www.polamuseum.or.jp/sp/hiraku-project-16/
お問い合わせ

0460-84-2111

Venue Information

会場
ポーラ美術館 1F アトリウム ギャラリー
主催
公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館