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2024年11月1日
吉田志穂展「この窓から見えるものが変わったとしても」/写大ギャラリー
写真教育機関として、国内でもっとも歴史と伝統のある東京工芸大学は、1923年に創立し、今年で創立100年を迎えました。
東京工芸大学5号館(芸術情報館)の2階にある写大ギャラリーにて、写真家・吉田志穂(1992-)の写真展「この窓から見えるものが変わったとしても」が開催中です。
本展では、吉田の新作「この窓から見えるものが変わったとしても」を中心に、「測量|山」や「庭になるもの」などの代表作を展示。
木村伊兵衛賞受賞後、初の新作を交えた個展の見どころを紹介していきます。
写真は、19世紀初頭に発明され、情報を画像として正確に記録し、多くの人びとに効率的に伝える新しいメディアとして急速に受け入れられました。
そんな写真について、日本で初めて専門的に学べる教育機関「小西寫眞専門学校」が、今から100年前の1923年に誕生します。
東京工芸大学の前身である小西寫眞専門学校。1977年に、校名を「東京工芸大学」と改め、今年創立100周年を迎えました。
東京工芸大学5号館(芸術情報館)2階に建つ写大ギャラリー
1975年、当時第一線で活躍する写真家・細江英公(ほそええいこう、1933-)が、東京工芸大学の教授に就任します。
細江は、写真教育に携わる条件として、本物の写真を日常的に見せられる場として、「オリジナル・プリント」を展示、収集するギャラリーの設置を提案しました。
そうして1975年、東京工芸大学に写大ギャラリーが誕生しました。
国内外の優れた写真作品を展示・収集・研究する写大ギャラリー。
1万点を越えるオリジナル・プリントを所蔵しており、これは教育機関の付属施設としては、世界に誇れる所蔵作品数とのこと!
また、日本を代表する写真家の土門拳や森山大道のコレクションも有しています。
吉田志穂は東京工芸大学在学中の2014年に、多くの著名な写真家を輩出した写真コンテスト「第11回写真 1_WALL」にてグランプリを受賞し、写真家としてデビューします。
2017年には、現代美術コンテスト「第11回shiseido art egg」に入選。同コンテストで写真作品が選ばれることは、とても珍しいとのこと。
その後、2022年には写真界の芥川賞とも言われる第46回木村伊兵衛賞を受賞し、写真と芸術の分野で注目を集める今注目の写真家です。
木村伊兵衛賞受賞後、初の新作を交えた個展である本展。
新作「この窓から見えるものが変わったとしても」の見どころを紹介していきます。
本写真展のタイトルにもなっている吉田の新作「この窓から見えるものが変わったとしても」。
福島県にある火山の火口付近を高解像度のデジタルカメラで撮影し、それを数メートルの大きなプリントしたものです。
この大きなプリントをあらゆる解像度、機種のカメラで再度撮影し、それらが合わせて展示されています。
吉田志穂「この窓から見えるものが変わったとしても」 2023年
新作「この窓から見えるものが変わったとしても」のキーワードは解像度。解像度とは、画像を構成する密度のことで、その密度が高いほど高画質になります。
本展の楽しみ方を、企画展担当の勝倉崚太准教授に伺いました。
吉田志穂「この窓から見えるものが変わったとしても」(部分) 2023年
こちらの写真は、元となった高解像度の「この窓から見えるものが変わったとしても」の一部を撮影したものです。
画面右に2台の車が走っているのが、くっきりと写っているのが分かりますね。
こちらを、再度撮影したものが以下です。
吉田志穂「この窓から見えるものが変わったとしても」 2023年
全体的に粗さが目立つのがわかりますでしょうか。特に車はガサガサとしていますね。
勝倉准教授は、「元となった写真と、それを再度撮影した写真。どちらも行き来してその違いをじっくりと観ていただければ」と、本展の楽しみ方を教えてくれました。
新作「この窓から見えるものが変わったとしても」の「窓」はファインダーを指しているのだそう。
本展について勝倉准教授は、「本にめくる楽しみがあるように、本展も実際に作品を目で見て、解像度の違いを会場で感じてほしい」と話します。
解像度の違うさまざまなファインダーを通して見た新作「この窓から見えるものが変わったとしても」。
違う「窓(ファインダー)」から覗いた作品を鑑賞する私たちの目も、人によって違う解像度を持っています。
家族や友人で訪れ、どう見えたかと話し合ってみると、また作品を観る解像度が上がるかもしれません。
2022年に第46回木村伊兵衛賞を受賞後、初の新作を交えた個展である吉田志穂展「この窓から見えるものが変わったとしても」。
最新の機器は高解像度を目指して開発されている一方、低解像度の古いコンパクトデジタルカメラや「写ルンです」「チェキ」などのインスタントカメラで撮影されたものが「エモい」と人気となっている昨今。
低解像度のものに愛着を感じる人が増えている・・・考えてみると、とても不思議な現象ですね。
ちなみに、新作「この窓から見えるものが変わったとしても」は、スマートフォンのカメラを使っての撮影はされなかったとのこと。
本記事で使っている写真はスマートフォンでの撮影なので、カメラとは違った景色が見えました。
本展は一般の方も写真撮影OK。元となった高画質の写真をお手持ちのスマートフォンで撮影して、その違いを考えてみては?