【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―/山種美術館

かわいさから広がる日本美術の世界【読者レビュー】

2024年5月31日

【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―/山種美術館

こんにちは!
美術館巡りが趣味のかおりです。

突然ですが、あなたは犬派ですか?猫派ですか?それとも・・・?

犬派のあなたも、猫派のあなたも、どちらでも楽しめる展覧会が山種美術館でやってきました!
その名も「【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」です。

江戸時代から現代まで、犬や猫が登場する日本の絵画が勢揃い。
犬や猫をはじめとする動物たちのかわいらしさを存分に味わっていただけたらと思います。

それでは選りすぐりのわんにゃんたちをみていきましょう〜!

ころころのわんちゃんたち

個人的に圧倒的かわいさだったのが、こちら。

長沢芦雪《菊花子犬図》18世紀(江戸時代) 個人蔵

長沢芦雪の《菊花子犬図》です。

か〜わ〜い〜い〜〜〜!
ころころきゃうきゃう遊んでいるいぬっころがかわいすぎます!
もっふもふのこいぬたちがじゃれる姿、たまりません!

こちらの作品は、スマートフォン・タブレット・携帯電話での撮影がOKなのです!
ぜひお手持ちのスマホなどで撮影してくださいね。

さて、ここで長沢芦雪の師匠である、円山応挙の絵をみてみましょう。

円山応挙《雪中狗子図》1784(天明4)年 個人蔵

これもかわいい。
でも、今回ばかりはお弟子さんに分があるでしょうか。

さらに、こんなわんちゃんもいるのです。

神坂雪佳『百々世草』巻2より「狗児」1909(明治42)年 芸艸堂

こちらは神坂雪佳の「狗児」。
まんまるぽってりした白い子犬がかわいい。さらにその先にいるかたつむりがかわいい。
そして、密かに背後に控えている眠たげな目をした茶色の子犬もかわいい。

あ〜〜癒される〜!

大きな作品もあります。

左:川端龍子《秋縁》1947(昭和22)年/右:川端龍子《立秋》1932(昭和7)年 いずれも、大田区立龍子記念館

これらは川端龍子が飼い犬のムクとモルをモデルに描いた作品です。

大画面のなか鮮やかな色彩で生き生きと描かれていて迫力があります。

飼い主の前だからこそみせるリラックスした表情、周囲に目もくれずに興味のあるものへ一直線に鼻先を押し付ける様子になごみます。

こうしたわんちゃんがメインとなったもの以外の作品もあります。

歌川広重《東海道五拾三次之内 日本橋・朝之景》1833-36(天保4−7)年頃 山種美術館(前期展示)

こちらは歌川広重の東海道五十三次のなかにある、日本橋・朝の景という作品です。

この絵の中にもわんちゃんがいるのですが、どこにいるか分かりますか?

正解は、右下。
顔が隠れてお尻だけでてるの、かわいい。何に夢中になっているのでしょうか。

江戸時代は犬は放し飼いされたそうで、人が行き交う街中の風景にわんちゃんたちが溶け込んでいます。

結城素明《巴里風俗のうち》「街頭所見(街路樹)」1925(大正14)年 山種美術館

こちらは結城素明による、パリの街角の風景を描いた作品です。
左下の方にお散歩中のわんちゃんが!

江戸とパリと場所は変われど、人間の生活に溶け込む犬の姿がうかがえます。

他にも数々のわんこ作品がずらり!
あなたのお気に入りはどの子でしょうか?

猫派のあなたへ

猫派の方も見逃せません!
山種美術館が誇るレジェンド猫がこちら。
重要文化財にもなっている、竹内栖鳳の《班猫》です。

竹内栖鳳 重要文化財《班猫》1924(大正13)年 山種美術館

こちらの作品も、スマートフォン、タブレット、携帯電話に限り、撮影OKです。

モデルとなった猫は、八百屋で見つけた猫を交渉して譲り受けたもので、背中にはちみつをつけてこのポーズをとらせたと言われています。

斜めに上目遣いに見上げるように向けられる緑の瞳が蠱惑的ですよね。

速水御舟《翠苔緑芝》1928(昭和3)年 山種美術館

こちらは速水御舟の《翠苔緑芝》。右の木の下に黒猫が丸く座っています。
左にはうさぎが1匹見えますね。この角度からは見えないのですが、実はもう1匹白うさぎが隠れています。

そしてそろそろ日本美術に詳しい方は気になっているのではないでしょうか。もちろんこの方の作品もありますよ!
猫といえば、歌川国芳ですー!

歌川国芳《山海愛度図会 七 ヲゝいたい 越中滑川大蛸》1852(嘉永5)年 個人蔵(前期展示)

色鮮やかな錦絵に描かれた、猫の動きと表情をつぶさにとらえた、どこか人間味もある、猫の描写。女性と猫の組み合わせは定番です。

歌川国芳《其まゝ地口猫飼好五十三疋》1848(嘉永元)年頃 個人蔵(前期展示)

さらにいろんなにゃんこたちがぎっしり詰まったこちらの作品。
洒落もきいていて愛嬌があり、じっと見入ってしまいます。

歌川国芳の作品は、会期中、前期と後期であわせて5点もの作品が展示されます。ファンの方は要チェックです!

その他にも、川合玉堂、小林古径、など、さまざまな画家が猫を描いています。猫好きとして有名な藤田嗣治の油彩も!

そして、現代作家による作品も多数展示されています。

現代作家さんの作品数は猫の方が多いのをみると、猫好きさんの方が多いのかしら?

左:山口晃《捕鶴圖》2014(平成26)年 山種美術館

こちらは山口晃の《捕鶴圖》。
この作品は、食事の席で「鶴」と「猫」という2つのお題をもらって、即興で描いた作品だそうです。どこかユーモラスな筆致が魅力です。

そして、おそらく本展最大のサイズの作品がこちら。

左:北村さゆり《蝉の音》1996年(平成8)年 山種美術館

写真の左に写っているのが、北村さゆりの《蝉の音》です。

この作品の右下にはベンチがあり、その下に猫が丸まっているので「猫」の展示です。

作品タイトルは《蝉の音》なのに、蝉の姿を見つけられませんでした。

それでも《蝉の音》とタイトルがつくことで、この画面全体から蝉の声が響き渡る錯覚に陥りました。

そして、水の存在感。左上には、人の足元が描かれています。静かな画面ながら、音が響きわたるような、そんな不思議な作品でした。

トリは花鳥

最後は鳥たちの競演を。

横山大観《木兎》1926(大正15)年 山種美術館

横山大観の《木兎》です。

好き・・・!

今回初公開となる、菱田春草の《柏ニ小鳥》(個人蔵)もかわいかったです!
小鳥の細かい描写といったら・・・! ぜひその目で確かめてください。

かわいさ全開のミュージアムグッズ&オリジナルスイーツ

ここでお待ちかね!ミュージアムグッズのお披露目です。じゃじゃん!

かわいい!
かわいすぎる!

普段使いしやすいシンプルさと、かわいさを兼ね備えたミュージアムグッズの数々。

トートバッグはマチつきで、持ち手も長めなのでとても使いやすい!
Tシャツは、裾の方にフロントからバックにかけて絵柄がプリントされているので、派手になりすぎずさりげなく着用できます。

図録も、A5サイズで全92ページとコンパクトながらもたっぷり56点の展示作品が掲載されています。

図録デビューにおすすめです!

山種美術館のお楽しみ和菓子もお忘れなく

そして、山種美術館といえば、「Cafe椿」のオリジナル和菓子。
今回も展覧会の作品イメージにあわせた5種類の特製和菓子が用意されています。

うさぎや犬がかたどられていたり、足跡がついていたり、とにかく可愛い!
上品で繊細な見た目と味とこだわりの和菓子とお茶をいただきながら、「【特別展】犬派?猫派?」の余韻に浸ってみてはいかがでしょうか。

動物たちのかわいさを愛でながら、日本美術の世界を広げる

本展では、犬と猫、そして鳥やそれ以外の生き物がたくさんでてきて、そのかわいさに悶絶してしまいました。

日本の美術品には本当にたくさんの動物が登場しますよね。
ただの被写体ではなく、どこか愛着がある描き方をされているのが、日本の美術の魅力のひとつだと思います。

本展で、その魅力の一端を垣間見れるのではないでしょうか。

そして、「かわいい!」をきっかけに、作者の他の作品にも目を向けて、日本美術の魅力をさらに知って、深めたり広げたりするきっかけになればと思います。

それでは愉しいアートライフを!

Exhibition Information

展覧会名
【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―
開催期間
2024年5月12日~7月7日 終了しました
会場
山種美術館
公式サイト
https://www.yamatane-museum.jp/
注意事項

※会期中、一部展示替えあり(前期: 5/12-6/9、後期:6/11-7/7)