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2024年11月1日
いきもの賞玩(しょうがん)/皇居三の丸尚蔵館
皇居三の丸尚蔵館にて、皇室に伝わるさまざまな「いきもの」にまつわる作品の展覧会「いきもの賞玩」が、2024年9月1日(日)まで開催中です。
夏真っ盛りの中、涼しい館内で愛らしいいきものたちの作品や、国宝に指定されている伊藤若冲の作品などをじっくりと鑑賞できます。
会期は2024年7月9日(火)から8月4日(日)までの前期と、2024年8月6日(火)から9月1日(日)までの後期に分かれており、作品の内容も各期間で少し変わります。
今回の展覧会のタイトルにもなっている「賞玩(しょうがん)」は、そのもののよさを楽しむという意味を持っています。
展覧会「いきもの賞玩」は、皇室に伝わるいきものの作品を、まさに心ゆくまで楽しむことができる展覧会です。
日本だけでなく、世界のいきものにまつわる作品を展示しており、生命の持つ美しさや強さ、おもしろさなど、さまざまな魅力に触れられます。
見どころはなんといっても、伊藤若冲作の国宝《動植綵絵》の中の《芦鵞図》と《池辺群虫図》ではないでしょうか。
前期に《芦鵞図》、後期に《池辺群虫図》が展示されています。
前期に展示されている《芦鵞図》は、芦(あし)とガチョウを描いたシンプルな構図で、ガチョウの羽の描写が美しい作品です。
まるで金色に輝いているような白い羽の細やかな描写が特徴で、若冲の観察眼と表現力を間近で堪能できます。
こちらの作品は個人利用に限り写真撮影ができます。ぜひ、感動をスマホにおさめてみてください。
「いきもの賞玩」は、「詠む・描く」と題して詩や絵画、絵巻などの平面作品をメインに展示している展示室と、工芸品を集めた「かたどる・あしらう」と、世界の各地から集合した「いろいろな国から」の展示室に分かれています。
「いろいろな国から」には、世界各国から皇室に寄せられた作品も展示してあり、モチーフや色彩の違いから異文化の素晴らしさを体感できます。
展覧会は「詠む・描く」をテーマにした展示室からはじまります。
この展示室は、いきものについて詠んだ詩や和歌、よく観ると装飾的にいきものがちりばめられているもの、いきものが描かれた絵画や絵巻など、平面作品を中心とした構成です。
広々とした展示室なので、近くに行ってじっくりと観察するもよし、少し離れたところから全体を眺めるもよし、いろいろな角度からゆったりとした気持ちで作品と向き合えます。
若冲の作品もこの展示室にあります。
また、この展示室は、前期と後期で展示物が変わるので、それも楽しみのひとつです。
次は、「かたどる・あしらう」をテーマにした工芸品を中心に構成されているコーナーです。
いまにも動き出しそうな彫刻作品や、糸の光沢感や立体感に圧倒される緻密な刺繍などが展示されており、「詠む・描く」とは全く違う印象の展示になっています。
いきものの愛らしい表情や植物にかくれんぼしているいきものたちに注目です。
展示室①は、入って左側に「いろいろな国から」というテーマで世界各国から皇室へと贈られた工芸品の数々が展示されています。
日本の工芸品と海外の工芸品の違いや異文化から生まれる作品のおもしろさを比較しながら観ることができます。
色彩豊かで華やかな作品が多い印象でした。
会場では、「いきもの賞玩」ワークシートが無料で配布されており、夏休みの学びにもってこいです。
作品の中にいるいきものを探しながら作品をより深く味わえるワークシートになっています。
小学校5年生くらいの子に向けたワークシートですが、小さなお子さんでも親と一緒に楽しむことができそうなワークシートです。
前期と後期でワークシートが変わるので、前期後期と足を運んで両方のワークシートをゲットしてみてください。
猛暑となることが予想される2024年の夏、皇居三の丸尚蔵館で涼みながら可愛いいきものを探してみるのも、すてきな夏の過ごし方だと感じました。
また、日本の美術史や世界の工芸品を楽しく学べる今展覧会は、夏休みのお子さんや学生さんにぴったりではないでしょうか。
「いきもの」という親しみやすいテーマで、美術と触れ合い、国宝も観られるいい機会です。
「いきもの賞玩」で暑い夏を乗り切りましょう!