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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
今回の「10分でわかるアート」では、独特の魅力を持つ「素朴派」について、詳しくご紹介していきます。
19世紀末から20世紀初頭にかけて登場した美術のジャンルである「素朴派」。
正規の美術教育を受けていない画家たちによって生み出された作品群を指します。
素朴派の特徴は、子どものような純粋さと素直さにあります。
技術的には未熟でも、独特の魅力を持つ作品が多いのが特徴でしょう。
素朴派の画家たちは、アカデミックな美術教育を受けていないため、従来の美術の規則にとらわれない自由な表現を行いました。
その結果、独特の世界観や色彩感覚を持つ作品が生まれたのです。
素朴派の代表的な画家として、まず挙げられるのがアンリ・ルソーです。
税関吏だったルソーは、40歳を過ぎてから本格的に絵を描き始めました。
彼の作品は、緻密に描かれた植物や動物、そして夢のような風景が特徴です。
《夢》や《眠れるジプシー女》といった作品は、今でも多くの人びとを魅了し続けています。
日本では、世田谷美術館がルソーのコレクションを所蔵していますよ。ぜひ足を運んでみてください。
次に紹介するのは、ルイ・ヴィヴァンです。
フランスの郵便配達員だったヴィヴァンは、独学で絵を学びました。
彼の作品は、鮮やかな色彩と素朴な人物描写が特徴的です。
日常の風景を独特の視点で切り取った作品は、見る人の心を和ませてくれます。
アメリカの素朴派を代表する画家として、グランマ・モーゼスを忘れてはなりません。
70代半ばで本格的に絵を描き始めたモーゼスは、アメリカの田園風景を温かみのある筆致で描きました。
彼女の作品は、ノスタルジックな雰囲気と素朴な魅力にあふれています。
日本にも素朴派の画家がいます。その一人が山下清です。
独特の感性で日本の風景や人びとの姿を描きました。
貼り絵作品から始まり、ペン画や陶器の絵付けなどで独自の世界を確立しています。
彼の作品は、色彩豊かで生命力にあふれていて、大変な人気です。
また、丸木スマも日本を代表する素朴派の画家です。
70歳を過ぎてから絵を描き始め、動物や花など多くの作品を残しました。
原爆の図丸木美術館は、丸木スマの作品を所蔵しています。
最後に紹介するのは、谷内六郎です。
彼の絵は、日本の四季や日常の一コマを優しいタッチで描いており、多くの人びとに親しまれています。
東京・北青山に建つ「山陽堂書店」の壁面には、谷内六郎が手掛けたモザイク画がありますよ。
素朴派の作品を実際に見てみたいと思ったら、いくつかの美術館がおすすめです。
世田谷美術館
世田谷美術館では、アンリ・ルソーのコレクションを観ることができます。
ルソーの夢のような世界観を直接体験できる貴重な機会となるでしょう。
横須賀美術館
横須賀美術館には、谷内六郎館があります。
代表作である『週刊新潮』の表紙原画約1300点をはじめ、膨大な数の作品や関連資料を所蔵する谷内六郎館。
年4回開催するテーマ展示を通じ、谷内六郎の作品をさまざまな視点から紹介しています。
原爆の図丸木美術館
埼玉県にある原爆の図丸木美術館では、丸木スマの作品を鑑賞することができます。
息子夫妻が描いた「原爆の図」と共に飾られている丸木スマの作品は、見る人の心に深い感動を与えます。
これらの美術館を訪れることで、素朴派の作品が持つ独特の魅力を直接感じ取ることができるでしょう。
それぞれの画家の世界観に触れることで、素朴派への理解がより深まるはずです。
純粋さと素直さで、鑑賞者の心を揺さぶる素朴派の作品。
彼らの作品を鑑賞する際は、技術的な完成度ではなく、そこに込められた画家の思いや感性に目を向けてみてください。
きっと、これまでとは違った美術の楽しみ方が見つかるはずです。
【参考書籍】
レブン『小学生のための「世界の名画」がわかる本』(2018年 メイツ出版株式会社)
ヘザー・アレグザンダー/メレディス・ハミルトン『子どものための美術史 世界の偉大な絵画と彫刻』(2017年 西村書店 東京出版編集部)
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