イトウ先生と美術のさしすせそ/寒い季節に観たい名画(第2回)

2022年1月18日

寒い季節に観たくなる名画。今日もイトウ先生が、編集者ミワちゃんにアートについて教えてくれます!

イトウ先生と美術のさしすせそ」は、最近アートが好きになった編集者のミワちゃんが、イトウハジメ先生に美術について質問したり、ああでもないこうでもないと話したりする不定期連載です。

今日もふたりは寒空の下で元気におしゃべり中。冬になると、なんだか観たくなる作品がある・・・?

イトウ先生って?

中学の美術講師の日常を、繊細なイラストで投稿したInstagramが大人気に。現在は大学で教壇に立ちながら、美術教育に関する研究をしています。

最新刊『美術学生イトウの微熱』/イースト・プレス その他著書『イトウ先生の世界一わかりやすい美術の授業』/光文社 『イトウ先生、授業の時間です。』『放課後のオレンジ』/KADOKAWA 『美術学生イトウの青春』『僕と小さな怪獣』/イースト・プレスなど。

本編

イトウ先生と美術のさしすせそ/イトウハジメ

イトウ先生と美術のさしすせそ/イトウハジメ

 

イトウ先生より

印象派、といえば《睡蓮の池》などで知られるクロード・モネが有名ですが、他にもエドガー・ドガやカミーユ・ピサロが挙げられます。

「派」というのはひとつの川の流れのようなもので、画家同士の共通意識や共感を持ちながらも、どこかで自分だけの個性も保っています。

その印象派のなかで、特別な優しさをかもし出しているのが、ピサロさん。ピサロはとくに田園風景をよく描きましたが、『白い霜』では、冬の寒い朝に坂をのぼる農夫を、ありのままに描いています。

彼の温厚な性格をそのまま映し出しているかのような作品は、心にふっと明かりをともしてくれるようです。

個性的な画家の集まりだった印象派展では、画家同士の意見の対立の仲裁もしていたそうですよ。

編集者ミワちゃんより

絵具をできるかぎり混ぜ合わせず、原色に近い絵の具を小さなタッチで並べる筆触分割(ひっしょくぶんかつ)、という技法があります。ピサロはこの筆触分割を貫いていますが、このスタイルはのちに誕生する点描派にも大きな影響を与えました。ジョルジュ・スーラやポール・シニャックにも慕われていたのだとか。

個性的な仲間をまとめて、後進の画家にも好かれて・・・。きっと素敵な人だったんだろうなあ。

 

心があたたまるピサロの作品。技法にも注目しつつ、彼の人柄も作品から感じてみてくださいね。

次回はイトウ先生とどんな話をしようかな?次回をお楽しみに!

イトウ先生と美術のさしすせそ/イトウハジメ

寒い季節に観たい名画①

イトウ先生と美術のさしすせそ/イトウハジメ

寒い季節に観たい名画②