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2024年11月1日
開館15周年 華麗なるベル・エポック フランス・モダン・ポスター展/横須賀美術館
東京湾を望む県立観音崎公園の一角に建つ横須賀美術館は、海外の美術、日本の近現代美術など変化に富んだ企画展を紹介する美術館です。“恋人の聖地”として知られる人気デートスポットでもあります。
同館では現在、京都工芸繊維大学美術工芸資料館所蔵のポスターコレクションを紹介する展覧会が開催中です。
(左から)G・ルンデュ《「ポール・ウィットマン公演」アンバッサドゥール座》1926年/シャルル・ジェスマール《レスリー》1924年
いずれも、京都工芸繊維大学 美術工芸資料館コレクション
本展では、19世紀末から第一次世界大戦期にかけて活躍した画家、ジュール・シェレやロートレック、ミュシャたちによる、「ベル・エポック」の華やかなポスター作品を中心に約110点展示します。
※展覧会詳細はこちら
現代でも街のあちこちで見かけるポスター。有名人や商品が大きくプリントされたものから、今をときめくイラストレーターが描いた洗練されたものまで、アート作品のようなポスターが多く存在します。
私たちの日常で見ない日のないポスターは、19世紀後半から第一次世界大戦期にかけてフランスのパリを中心に急速に発展しました。この当時のパリは「ベル・エポック」と呼ばれる華やかな時代に突入しようとしていました。
ベル・エポック期は、工芸やデザインの世界では曲線が美しいアール・ヌーヴォー様式が始まり、絵画の世界ではパリに暮らす人びとや風景を描いた印象派などの美術が生まれた時代です。
展示風景
そんな豊かな時代であるベル・エポックのパリを、ジュール・シェレやアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、アルフォンス・ミュシャなど、今でも人気の高いアーティストが手がけたポスターが飾りました。
彼らのポスターはやがて大衆の美術となり、それらを収集するコレクターも現れ、フランスで発祥した芸術としてのポスターはヨーロッパ全土に広がるまでに発展したのです。
(左から)ジュール・シェレ《サクソレーヌ燈油》1894年/ジュール・シェレ《サクソレーヌ燈油》1891年
ジュール・シェレ《「無節操な夫人」ル・ラディカル誌掲載》1894年 いずれも、京都工芸繊維大学 美術工芸資料館コレクション
なかでも注目したいのが、ポスター・デザインの歴史を語る上で欠かせない人物であるジュール・シェレです。シェレは13歳でリトグラフ(*)を学んだのち、ロンドンで最新の技術を習得しました。パリに戻ってからはイギリスの印刷機械を導入して、1866年に多色リトグラフの工房を開きます。
シェレのリトグラフは優れたデザイン力と高度な印刷技術が融合したもので、彼の登場とともにポスター文化は大きく発展しました。
*リトグラフ:大理石や石灰石などの石板にといた墨やクレヨンで絵を描き、小刀で削ったり硝酸ゴム液を塗ったりして、油を吸収する部分と反発する部分をつくり、油性インキで印刷する。石版画とも。
フランスの産業革命は、イギリスの産業革命の影響を受けて、1830年代の七月王政の時期に本格的に進展しました。イギリスからヨーロッパ全土に伝わった産業革命による生産の機械化は、人びとの生活を一変させます。
パリを中心とする都市部の人口はふくらみ、街はさまざまな製品であふれ、車が行き交い、インフラの整備が進みます。
展示風景
食料品や酒類、化粧品、たばこ、自転車などの商品が大量に生産されるようになると、商品をひとつでも多く販売するためにイメージ戦略として宣伝告知用のポスターが重視されました。
不特定多数の人たちが激しく行き交う街中で注目を集めるため、文字情報が少なく絵で魅せるポスターが数多く制作されるようになります。
言葉や文化、さらには時代も異なる今の私たちが見ても、当時のパリのモダン・ライフが伝わってくるようなポスターがずらりと展示されています。
展示風景
絵で魅せるポスターが主流ということですが、どんなことが書かれているのか気になりますよね。
本展では、ポスターの文字を日本語訳したキャプションもあわせて展示。おしゃれなレタリングで書かれているから、とてもカッコイイ内容なのだろうと読んでみると、会社名や店名、宣伝文句だった! という驚きも体験できます。キャプションにも注目して見てくださいね♪
1830年代にガス灯がパリの街頭に登場したことにより、パリの夜は一気に栄えます。
夜の街には観劇用の劇場、キャバレー、酒場といった施設ができ、そこではダンスショーや歌謡ショーが行われ、音楽家や画家、小説家などの文化人が集う場となりました。それにより、シャンソン歌手や女優といったスターたちはポスターに描かれ、パリの街中に貼られることになりました。
(左から)アルフォンス・ミュシャ《椿姫》1896年/アルフォンス・ミュシャ《ジスモンダ》1894年
いずれも、京都工芸繊維大学 美術工芸資料館コレクション
アール・ヌーヴォーを代表する画家アルフォンス・ミュシャの作品の中でも、高い人気を誇る《ジスモンダ》。本作は、女優サラ・ベルナールが主演を務めた演劇「ジスモンダ」の公演告知ポスターであり、ミュシャを一夜にして有名デザイナーに押し上げた出世作です。
こうした装飾に富んだ美しいポスターと描かれる大スターたちは、パリの街の芸術となっていきました。会場では、実際にこれらのポスターがパリの街に貼られているようすを記録した写真パネルも展示されていますよ。当時、どのようにポスターがパリの街を彩っていたか分かる貴重な資料です。
シェレやロートレック、ミュシャのポスター作品からパリのモダン・ライフを紹介する本展。
夏になると、横須賀美術館の建つ県立観音崎公園は緑がより深くなり、気持ちのいい日が続きます。そんな同館でアートを一日堪能する休日を過ごしてみるのもおすすめです♪