2021年10月4日

「つくる」「つたえる」を聞くインタビュー:千代田区立日比谷図書文化館・並木百合さん(前編)

館内にはミュージアムやカフェも!知の拠点・千代田区立日比谷図書文化館について、並木さんのお仕事について

スフマートでは、「つくる」「つたえる」という2つの視点をもとに、ミュージアムを支えるさまざまな人へのインタビューを隔週・前後編でお届けします。

今回お話をお聞きしたのは、千代田区立日比谷図書文化館(以下、日比谷図書文化館)の広報・並木百合さん

皇居や国会議事堂にもほど近い日比谷公園内にある、日比谷図書文化館は、図書館としての機能のほか、ミュージアムやホール、カフェやレストランもある千代田区の複合文化施設です。

そんな日比谷図書文化館は、2021年10月で開館10周年を迎えました!

前編では、これまでの10年間の歩みや、千代田区の施設ならではの展示や取り組みについてインタビューしました。

インタビュー/千代田区立日比谷図書文化館/並木百合

千代田区立日比谷図書文化館・並木百合さん ※撮影時、マスクを外していただきました。

前編:千代田区立日比谷図書文化館を「つくる」こと

──施設の特徴についておきかせください。

日比谷図書文化館は、図書館機能を軸に、展示やイベントも行っている複合文化施設です。

2階と3階が図書フロア。1階はミュージアムで、千代田区の歴史を紹介している常設展示室と、地域の特色を活かしたテーマで展覧会を開催している特別展示室があります。

地下と4階のホールや会議室では「日比谷カレッジ」という講座を行っていたり、貸し出しも行っています。

また、4階の特別研究室では、内田嘉吉文庫などの貴重な古書資料を手に取ってご覧いただけます。書庫の奥には日比谷公園を見わたせる特別研究席(スタディルーム)もありますよ!

──2011年の開館当時、このような施設は珍しかったのではないでしょうか。

現在は、カフェやレストランのある図書館がだいぶ増えましたが、ここが開館した当時はあまりなかったかもしれませんね。ミュージアム機能を併せ持った図書館というのも珍しかったと思います。

“本を読んだり勉強するところ”という、従来の図書館のイメージと少し違うものができたためか、初めのうちは利用される方のとまどいも感じました。「どう使っていいかわからない」と。

いろいろな使い方があることをPRするのに、広報担当としてこの10年間力を入れてきました。

周囲のオフィス街で働かれている方がたくさん来館されますので、「ホールを貸しています」「カレッジをやっています」などのPRもしています。夏休みや冬休み、受験シーズンには、学生さんの姿も増えますね。

──確かに、千代田区はオフィス街や大学といったイメージがあります。

千代田区民の方の多くは、皇居の向こう側・・・御茶ノ水や神田神保町のあたりに住んでいらっしゃることが多いので、施設の周りに、駅や公園や公会堂はありますが、身近に利用する場所ではないのかもしれません。

ですので、「日比谷公園っていう、素敵な場所にある施設だよ!」ということも広報しています。

紅葉やバラもきれいだし、一年中お花や植物がある。桜の名所とまではいかないけど、春には桜も咲きますし。落ち着いたいいところだなと思います。

──日比谷図書文化館は三角形の建物が特徴的ですが、前身は都立日比谷図書館だったんですね。

はい。昭和30年に都立日比谷図書館が着工するときにはすでに公園が区画されていて、建設予定の土地が三角形だったらしいんです。

千代田区立日比谷図書文化館 外観

──土地に合わせて建物も三角形になったんですね!

この三角形は、上から見ると実は正三角形なんですよ。

建物内の柱は六角形です。三角形の建物は、柱が四角だと支えきれないそうで。三角形の机や展示台など、三角形のモチーフも館内のところどころに使われています。

当時は本が貴重だったこともあって、都立日比谷図書館はすごい人気だったそうです。今でも、「昔、よく通って勉強していた」とおっしゃる方がいます。

日比谷図書文化館の「学ぶ場所」といった空気は、都立図書館時代からあるのかもしれませんね。

今はコロナの影響で開館時間も短縮されて、自宅で勉強される方も多いかと思いますが、夜まで開館している時は、みなさん遅くまで勉強されています。

──並木さんは、日比谷図書文化館の開館当初からいらっしゃるとのことですが、お仕事されるようになったきっかけあるんでしょうか。

当時、私はこの近所で働いていて、お昼も日比谷公園で食べたりしていたんです。「オフィス街に、こんな素敵な公園があるんだ。いいところだな」と思っていました。

そんな時、公園の中にある図書館が、新しいコンセプトでスタッフを募集していると知ったんです。新しい施設なら好きなことができるかもしれないと応募したのが始まりです。

──日比谷公園の図書館のことはご存知でしたか。

募集を見つけるまでは、全く(笑)。都立図書館から千代田区の施設になる時、改修のために2年くらい閉館していたようなのですが、私が来た2011年の秋にはきれいになっていました。

初めの3年ほどはコンシェルジュとして勤務していましたが、その後はずっと広報を担当しています。

──広報担当として、どのようなお仕事されているのでしょうか。

インタビュー/千代田区立日比谷図書文化館/並木百合

私のいる「広報・営業部門」では、日比谷図書文化館の広報やPRに関わる業務をすべて担当しています。
毎月発行している広報誌「ポモーヌ」や、TwitterやFacebookなどのSNSで情報発信したり、お知らせを千代田区の広報誌に掲載していただいたり。

その他、特別展のチラシなどを、近隣の関連スポットに置いていただけないかお願いする営業的なお仕事や、ホールや会議室を近隣の企業の方などに使っていただけないかPRする貸室的なお仕事もあります。

──やりがいやご苦労がありましたらおきかせください。

苦労はないですね。もちろん忙しさから疲れることもありますが、いろいろな方がここへ来て学ばれている姿から、日々すごく刺激を受けているんです。

最近はSNSに力を入れていますが、広報担当としては、やはり日比谷図書文化館のことを知っていただけるとうれしいです。ニュースに取り上げてくださったり、Twitterで「いいね」しくださったり、みなさんの反応からやりがいを感じています。

──SNSでもさまざまな取り組みをされていますよね。

コロナ禍になって、来館者がこれまでの半分以下になってしまって・・・。
そういった中、オンラインやSNSを通して伝えることが、さまざまな分野でとても大事になってきたと思います。

例えば、図書フロアの「今日の一冊」という展示は、時事や季節などのテーマと、それに合った蔵書を2階で展示しているのですが、コロナの影響で見てくださる人が少なくなってしまいました。もったいないと思い、昨年からTwitterでも紹介しています。

それから、特別展示のギャラリートークは、オンラインでも視聴できるようにしています。もちろん生で観ていただきたいですが、ミュージアムに来たくても来られない方が、展示内容を知ってくださる機会になればいいなと。

当館は、日本国内にご住所がある方でしたら、どなたでも貸出券をつくることができます。全国の方に、日比谷図書文化館の魅力を伝えていければいいなと思っています!

日比谷図書文化館 公式Twitterはこちら

 

日比谷図書文化館の成り立ちや広報担当のお仕事について、はつらつとお話くださった並木さん。

ふだんは事務室にいらっしゃるそうですが、館内の面白いことを発見してPRするために、意識的にフロアへ出られているとのこと。図書フロアやミュージアムにとどまらず、日比谷公園の植物や季節の移ろいについて発信されることもあるそうです。
好奇心のアンテナを伸ばして、生きた情報を発信しようとされていることが伝わってきました。

 

後編では、図書フロアやミュージアムの舞台裏についてお話をうかがいます。

江戸城を中心に発展し、“本の街”神田神保町を有する千代田区らしい展示の切り口や工夫とは!?
どうぞご期待ください!

次回後編:2021年10月18日 更新

Museum Information

美術館情報
千代田区立日比谷図書文化館
住所
東京都千代田区日比谷公園1-4
公式サイト
公式サイトはこちら