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ハローキティ誕生50周年!「キティとわたし」を紐解く展覧会
2024年11月21日
スフマートでは、「つくる」「つたえる」という2つの視点をもとに、ミュージアムを支えるさまざまな人へのインタビューを隔週・前後編でお届けします。
今回お話をお聞きしたのは、千代田区立日比谷図書文化館(以下、日比谷図書文化館)の広報・並木百合さん。
千代田区立日比谷図書文化館・並木百合さん ※撮影時、マスクを外していただきました。
皇居や国会議事堂にもほど近い日比谷公園内にある、日比谷図書文化館は、図書館としての機能のほか、ミュージアムやホール、カフェやレストランもある千代田区の複合文化施設です。
後編では、図書フロアやミュージアムの展示の舞台裏、複合文化施設ならではの試みについてお聞きします。
日比谷図書文化館の成り立ちや、広報担当のお仕事についてお話いただいた前編はこちら
──並木さんのいらっしゃる広報部門の他には、どんな担当がありますか。
カレッジの企画などをしている「事業企画部門」、安全・設備を担当している「維持管理部門」、「総務経理部門」といった5つの部門に分かれています。
いちばん大きいのは、2階3階の図書フロアを担当している「図書サービス部門」です。
──図書フロアの展示、充実していますよね!
そうなんです。日比谷図書文化館で特に力を入れて収集しているのは「ビジネス」「アート」「江戸東京」に関連した資料です。それらが並んでいる図書フロアは、テーマに合わせてビジネス、アート、歴史、自然科学のゾーンに分かれていて、各ゾーンに展示台があります。
そのほか、エレベーターホールでのセクション展示や、時事に関連する出来事などをタイムリーに展示したり、特別展や日比谷カレッジに関連した展示もあります。
期間も、長いものから日替わりのものまで・・・全部で常に10か所くらいはありますね。
──充実している分、入れ替えも大変そうですね。
司書がグループに分かれて担当しています。テーマを決めて、本を選んで、ビジュアルをつくって展示をする。テーマに合った本を選ぶ目や切り口は、毎回すごいなと思いますね。
例えば、現在行っている「装い」をテーマにした展示では、ファッションの歴史に始まり、SDGsの取り組みにつながる本やデザイナーの言葉に関連する本などがあったりして。なるほど!と感心します。
──図書展示のほかに、1階ミュージアムの常設展示についても教えてください。
常設展示は千代田区の文化財事務室が担当していて、総合テーマは「江戸・東京の成立と展開」です。
みなさんご存知のように、千代田区は太田道灌(おおた どうかん)が江戸城を築城したのを機に発展していきます。江戸から明治になってからも経済や文化の中心地でした。
展示室では、それぞれの時代の人びとが使用していた物や暮らし、環境について展示しています。
展示のコンセプトは開館時から変わらないですが、新たに出土された文化財や資料などがあるので、少しずつ入れ替えています。
今年度中には、大きく変わるようですよ。
──楽しみです!
展示を観たことで、千代田区の歴史にも興味を持ってもらえるといいなと思っています。
日比谷公園には、江戸城の石垣も残っているんです。実際に見にいってみるとか、図書フロアの本で調べてみるとか。複合的に使っていただきたいですね!
──特別展も開催されていると思いますが、決まったテーマはあるのでしょうか。
日比谷図書文化館では、年間3~4回の展覧会を開催しています。
そのうちの半分は、千代田区の文化財を紹介するもので、残りの半分は「出版文化」「アート」「江戸・東京・千代田」という、3つのテーマを意識して企画しています。
千代田区の神田や神保町は本の街ですし、出版社もたくさんあります。
『藤田嗣治 本のしごと』や『祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ』のように、造本やブックデザインをテーマにした展覧会も企画してきました。
また、区内には美術館も多数ありますから、『大正モダーンズ ~大正イマジュリィと東京モダンデザイン』のように、「アート」もテーマにしています。
ですが、大型の美術館で行われている大規模な展覧会とは、ひと味違ったものをやっていますね。
「江戸・東京・千代田」は、区の文化財を紹介するのとはまた違った視点で、江戸や東京をとらえるような展示をしています。『江戸からたどるマンガの旅 』や、『日比谷に咲いたタカラヅカ』などがそうでした。
『複製芸術家 小村雪岱』などは、テーマが「出版文化」でもあり「アート」でもある展覧会でしたね。
──特別展の企画から開催までの流れについて教えてください。
「こういう展覧会にしたいな」という企画案を考えるのが、展覧会の3~4年前です。
そして2年くらい前になったらテーマ、会期などを詳しく決めていき、1年前から展示内容をかためます。
10か月前には、広報関係などのスケジュールをつめていき、2か月前から本格的に広報する、というのが大まかな流れです。
──展覧会をつくっていくとき、心がけていることはありますか。
図書館を中心とした複合文化施設なので特別展をご覧になった方が、本に親しみをもってもらえうような工夫をしています。
あとは、例えば「アートになった猫たち展」では、猫の被り物をかぶって写真を撮ったり、「最近の「浮世絵をうる・みる・つくる」では浮世絵の摺り体験ができるコーナーがあったりと、体感で楽しんでいただけるようなこともしています。
──関連展示やイベントもいろんな方に楽しめる工夫のひとつなのでしょうか。
もちろんです。それぞれの部門と調整や打ち合わせなどを行いながら、図書フロアでの展示と日比谷カレッジでの講座は必ずやっています。
図書フロアでは、司書が特別展に関連した本を選んで展示しています。ふだんと違った切り口の本を選んで並べてあると、知識の幅が広がって面白いですね。
日比谷カレッジでの講座は例えば、『荒俣宏の大大マンガラクタ館』のときは、荒俣宏先生ご本人に登壇いただきました。
特別展に限らず、カレッジでは「江戸東京」「本」「スキルアップ」「芸術」「センスアップ」という、5つのテーマをもとに、さまざまな催しを行っています。
──複合文化施設ならではの試みですね。
日比谷図書文化館は、開館当初から「知の拠点」を目指しています。
図書館や博物館は、知識が広がっていくような場所だと考えています。図書フロアに来た時、自分が探していた本の隣にいい本があったり、思いがけない出会いによって、自分の中にあった何かを刺激されたり、新たな発見のできる場所なのではないでしょうか。
千代田区立日比谷図書文化館 外観
例えば、ミュージアムを観て興味を持ったことを図書フロアで調べるとか。調べたことを外に見にいってみようとか。関連する講座に参加してみようとか。
そんなふうに、複合的に利用していただければと思っています!
インタビューの後、4階の特別研究室へ案内していただきました。
貴重な古書や古地図を手に取って閲覧できることに驚き、その奥の勉強や仕事のはかどりそうなスタディルームにため息・・・。
1階のカフェやレストランには図書フロアの本も持ち込め、無線LANも完備されています。
ミュージアムの常設展は無料。特別展は300円で観覧できるとのこと!
千代田区民ではなくても貸出券を作れたりカレッジの講座に参加できる、開かれた施設です。
来るたびに新たな発見のある日比谷図書文化館。ぜひ多くの方に訪れてほしい場所だと思いました。
次回の「つくる」「つたえる」を聞くインタビューでは、日本科学未来館の科学コミュニケーター・綾塚達郎さんにお話をお伺いします。