塩田千春の作品から他者との「つながり」を考える。圧巻のインスタレーションに注目
2024年10月3日
「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容/千葉市美術館
千葉市美術館にて、「前衛」写真をとりまく4名の作家に焦点を当てながら日本写真史を紐解く展覧会が開催中です。
本展では、瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄の交流と創作を辿りながら、1930年代のシュルレアリスム写真から80年代の「なんでもない写真」に至る写真史の一断片を紹介します。
1930年代、日本ではシュルレアリスムなどから影響を受けた写真表現が見られるようになります。このスタイルは、「前衛写真」と呼ばれ、地方のアマチュア集団によって全国に広まっていきました。
展示室では、「前衛」写真の始まりとされるウジェーヌ・アジェの作品から紹介しています。
1938年に瀧口、阿部らが立ち上げた「前衛写真協会」のメンバーの作品などもあわせて展示されていますよ。
本展覧会では、瀧口修造(たきぐち・しゅうぞう、1903-79)、阿部展也(あべ・のぶや、1913-71)、大辻清司(おおつじ・きよじ、1923-2001)、牛腸茂雄(ごちょう・しげお、1946-1983)の4人の作家の交流と創作を紹介。
2023年は、瀧口生誕120年、阿部生誕110年、大辻生誕100年、牛腸没後40年と、それぞれが節目の年を迎えます。
これまで繋がることのなかった4人の作品と思想を、「前衛」をテーマに見つめなおします。
「なんでもない」写真とは1970~80年代に流行した写真表現です。スナップショットのようなスタイルで、ありふれた日常をさりげなく撮影しています。
これは大辻が好んで用いた表現であり、愛弟子の牛腸にも受け継がれました。牛腸は「なんでもない」写真の代表的な写真家のひとりとしても知られています。
牛腸が捉えた「見過ごされてしまうかもしれないぎりぎりの写真」に注目ですよ。
関連展示として、企画展「実験工房の造形」も開催中です。
瀧口修造が命名し、写真家の大辻清司(1923-2001)が1950年代に参加した「実験工房」は、美術や音楽、文学など、芸術のジャンルを超えた集団でした。
この企画展では千葉市美術館の所蔵作品のなかから、大辻以外のメンバーたちによる造形作品を紹介します。
瀧口修造、阿部展也、大辻清司、牛腸茂雄の4人の作家の思想や作品から、「前衛」の在り方を示す本展。
戦前から戦後へと引き継がれた、「前衛」写真の精神をお楽しみください。