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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
版画家たちの世界旅行/町田市立国際版画美術館
国内外のすぐれた版画作品を所蔵する、町田市立国際版画美術館。
同館では現在、「版画家たちの世界旅行―古代エジプトから近未来都市まで」が、2023年9月24日まで開催中です。
本展は、新型コロナウイルス感染症の影響により、展示期間が大幅に短縮された2021年の「#映える風景を探して」展を再構成し、20世紀以降の現代作品を加えた収蔵品企画展です。
町田市立国際版画美術館のコレクションから西洋版画を中心に、旅や移動に関わる16~20世紀の作品を約160点展示します。
ここでは、版画家たちとまるで「世界旅行」をするような、夏休みにピッタリな本展の見どころを紹介していきます。
イタリアの首都・ローマは、古くから文化や芸術の中心地として栄えた都市です。
多くの芸術家にとってあこがれの地であったイタリア。芸術家が仕事だけではなく自己研さんを目的にイタリアへ来るようになったのは、16世紀頃だといいます。
この頃、ベルギーやオランダ、ドイツといった「北方ヨーロッパ」の画家たちが、アルプス山脈を越えてローマに向かい、遺跡やルネサンスの絵画彫刻などについて研究しました。
17世紀から19世紀になると、イギリスやフランスの裕福な若者たちが、イタリアの歴史や文化に触れ、教育の仕上げを行う「グランド・ツアー」に出かけるようになります。
(手前)ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ『ローマの景観』より 《トレヴィの泉》 1751年
今でも観光名所として名高いローマの「トレヴィの泉」などを描いた作品は、お土産として彼らに購入されていたそうです。
なお、本展は「撮影可」のマークがついている作品のみ、写真撮影OKです(フラッシュ禁止)。
19世紀のヨーロッパでは、「オリエンタリスム(東洋趣味)」が流行し始めます。
「オリエント」とは、東洋を示す言葉で、その定義は時代によってさまざまですが、地中海のすぐ東に広がるイスラーム世界から、日本を含むアジア、「新大陸」アメリカまで、幅広い地域を含むこともあります。
(手前)制作者不詳《アレクサンドリア占領》 1838年頃
ヨーロッパに住む人たちにとってオリエントは、西洋から見て「未開の地」であると同時に、原初的な生活が営まれる魅惑的な「楽園」でもありました。
ポール・ゴーガン『ノア・ノア』より 1893-94年(1921年 刊行) 個人蔵(寄託)
ポスト印象派の画家ポール・ゴーガン(1848-1903)が、タヒチ滞在記『ノア・ノア』の挿絵として制作した木版画シリーズである本作。
本展出品作品は、いずれもゴーガン没後に限定100部で刷られた「ポーラ版」と呼ばれるものです。
貴重な作品をお見逃しなく!
デイヴィッド・ロバーツ『聖地 シリア、イドゥメア、アラビア、エジプト、ヌビア』より 1842-49刊行
スフマート編集部お気に入りの作品はこちら。
スコットランド出身の画家である、デイヴィッド・ロバーツ(1769-1864)の作品です。
ロバーツは、1838年から40年にかけてエジプトやシリアなどを巡り、300点近い水彩スケッチを描きました。
ロバーツのスケッチを、ほぼ実寸大で再現した版画集である本作。
まるで写真と見紛うほど精密かつ色彩豊かなリトグラフは、当時の人びとを魅了したといいます。
デイヴィッド・ロバーツ『聖地 シリア、イドゥメア、アラビア、エジプト、ヌビア』より《バールベック》 1842-49刊行
絵の中に入り込めるようなリアルな描写が、とてもお気に入りです。
本展最後の展示では、現代の「旅する画家」として、2組の芸術家を紹介します。
こちらは、版画家ヨルク・シュマイサーの作品です。
シュマイサーは、スウプスク(旧ドイツ領、現ポーランド)生まれの版画家です。
彼は、ドイツや日本、オーストラリアを中心に、中国、インド、カンボジア、イスラエル、さらには南極までさまざまな国や地域を旅しました。
そのことから「旅する版画家」と呼ばれています。
また、芸術家夫婦である「クリストとジャンヌ=クロード」の作品も展示。
最近では、21_21 DESIGN SIGHTで紹介されていた「包まれた凱旋門」で、彼らの名前を知っている方も多いのではないでしょうか。
彼らが手掛ける「梱包」プロジェクトでは、アーティスト自ら、公的機関や地域住民への直接交渉、現地スタッフの手配、梱包のシミュレーションなどを行います。
プロジェクト実現のために、世界各地を飛び回るクリストとジャンヌ=クロード。彼らの人生も旅そのものです。
イタリアから始まり、イギリスやフランス、アメリカのニューヨークなど、版画で400年の時を超える世界旅行が楽しめる本展。
夏休み期間中は、小中学生向けのジュニアガイドや、低学年にも分かりやすく展示を紹介するミニ解説なども用意されています。
さらに、美術館内に併設する「喫茶けやき」では、企画展コラボメニューの「旅する冷やし中華」が販売中です。
日本料理である冷やし中華に、エジプトやインド、メキシコ、アフリカ、中国など、世界を感じられる具をトッピングしたメニューです。
本展を見た後は、「旅する冷やし中華」を食べて、味の世界旅行も楽しんでみてはいかがでしょうか。