PROMOTION
クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
永遠の都ローマ展/東京都美術館
二千年を超える歴史を持つ、芸術の都・ローマ。現在のローマ市庁舎がある、カピトリーノの丘を中心にその歴史が築かれていきました。
カピトリーノの丘に同じくあるのは、世界でもっとも古い美術館の一つとして知られる「カピトリーノ美術館」です。
カンピドリオ広場のカピトリーノ美術館
©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali
東京都美術館では現在、カピトリーノ美術館の所蔵品を中心に、古代ローマの栄光から近代までの歩みを約70点の彫刻や絵画を通じて紹介する「永遠の都ローマ展」を開催中。
古代ヴィーナス像の傑作・《カピトリーノのヴィーナス》が、初来日したことでも話題の本展について紹介します。
世界最古の公共美術館のひとつと言われるカピトリーノ美術館のコレクションの原点は、1471年。
ルネサンス時代の教皇・シクストゥス4世が、教皇に選出された数週間後に、古代ローマ時代の4点のブロンズ彫刻をローマ市民に寄贈したことがその始まりとされています。
古代遺物やローマの名家からもたらされた絵画など、多岐にわたるコレクションの数々は、長い間築いてきた芸術の都・ローマが歩んできた歴史そのものといえます。
そんなカピトリーノ美術館と日本には、深いつながりがあります。
最初の出会いは、1585年。天正遣欧少年使節団がローマを訪問し、ローマ市政府から名誉市民権が与えられました。この授賞式が行われたのがカピトリーノの丘にあるカンピドリオ広場です。
最初の出会いから長い時を経て、1873年5月16日、明治政府が欧米に派遣した岩倉使節団がカピトリーノ美術館を訪問。
同館を含め、本格的な美術館、博物館を視察した彼らの経験が、明治政府の博物館政策や美術教育にも影響を与えたとされています。
日本最初の美術教育機関「工学寮美術校(のちの工部美術学校)」が設立されると、教材として石膏像が日本に持ち込まれました。
松岡壽 《工部美術学校画学教場》 1877-78(明治10-11)年頃 個人蔵
そのうちの一つ「アリアス」の名で親しまれる石膏像は、カピトリーノ美術館所蔵の《ディオニュソスの頭部》が原作とされています。
展示風景 特集展示 カピトリーノ美術館と日本
写真左 《ディオニュソスの頭部》 2世紀半ば カピトリーノ美術館蔵
2023年は、岩倉使節団の訪欧から150年という節目の年でもあるのです。
そんな節目の年に東京都美術館で開催中の「永遠の都ローマ展」。本展の見どころを以下で紹介します。
前半では、古代ローマの建国を伝える伝承と神話を紐解いていきます。
こちらは、ローマのシンボルともいえる作品《カピトリーノの牝狼(複製)》です。
《カピトリーノの牝狼(複製)》 20世紀(原作は前5世紀) ローマ市庁舎蔵
ウェスタ神殿の巫女レア・シルウィアと軍神マルスとの間に生まれた双子のロムルスとレムス。ロムルスはのちにローマ建国の王になったと言われています。
テヴェレ川に捨てられていたところ、一匹の牝狼が乳を与えて双子の命を救ったという古代ローマの建国神話の有名なエピソードを表したものです。
これは、以下の絵画でも描かれています。
ドメニコ・コルヴィ(ヴィテルボ1721ーローマ1803)《ロムルスとレムスの発見(ピーテル・パウル・ルーベンスに基づく)》1764-66年 カピトリーノ美術館 絵画館蔵
また、「カピトリーノの牝狼」というモチーフは、動物たちとのふれあいを楽しむ、日本の某人気ゲームにも登場するほど有名です。
古代ローマ帝国は、ユリウス・カエサルとその意思を継いだオクタウィアヌス(のちのアウグストゥス)など、数々の皇帝たちによって繁栄していきます。
帝国の栄華を象徴する作品が《コンスタンティヌス帝の巨像》です。
《コンスタンティヌス帝の巨像の頭部(複製)》 1930年代(原作は330-37年) ローマ文明博物館蔵
コンスタンティヌス帝は、ローマ帝国の皇帝として初めてのキリスト教公認や首都をローマから古都ビザンティウムへ遷都し、都市名をコンスタンティノポリスへ変更するなど、抜本的改革を主導したとされています。
《コンスタンティヌス帝の巨像の左手(複製)》1996年(原作は330─37年) ローマ文明博物館蔵
会場では、巨像の頭部・左手・左足(全て複製)が展示されています。
頭部だけでも約1.8メートルで、実際の人間の5倍以上もあることから、その迫力ある巨大彫刻に驚かされます。
《コンスタンティヌス帝の巨像の左足(複製)》2021年(原作は312年頃)ローマ文明博物館蔵
本展の最大の目玉は、なんといっても《カピトリーノのヴィーナス》です。
《カピトリーノのヴィーナス》 2世紀 カピトリーノ美術館蔵
ミロのヴィーナス(ルーヴル美術館)、メディチのヴィーナス(ウフィッツイ美術館)に並ぶ古代ヴィーナス像の傑作として知られています。
普段は、カピトリーノ美術館「ヴィーナスの間」で展示されており、同館以外での鑑賞はほぼ不可能とされる門外不出の作品です。
日本で観られるまたとない機会ですので、お見逃しなく(※東京会場限定展示)。
カピトリーノ美術館では、コレクションが一般公開された当初、古代彫刻が展示の中心でした。
しかし、教皇・ベネディクトゥス14世によって、絵画館増設のために、サッケッティ家とピオ・ディ・サヴォイア家というイタリア名家から絵画が集められました。
第4章「絵画館コレクション」では、これらの絵画を観られます。
当時イタリアで活躍した画家たちがどのような表現をしていたのか、展示を通して知ることができます。
第4章「絵画館コレクション」展示風景
ローマが生み出してきた芸術の歴史をたどる「永遠の都ローマ展」。
特設ショップでは、市民のための大浴場「カラカラ浴場」を作ったことで知られる皇帝・カラカラ帝の巨像が描かれたお風呂・サウナグッズなどのユニークな商品も販売中です。
展示だけでなく、オリジナルグッズでもタイムスリップ気分を味わえます。
《コンスタンティヌス帝の巨像の頭部(複製)》の原寸大フォトスポットも!「#ローマ展」をつけてSNSでシェアしてみましょう。
また本展は、2024年1月5日(金)から福岡市美術館でも開催されるので、こちらもぜひチェックしてみてください。