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2024年11月1日
生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ/東京国立近代美術館
一心不乱に木を彫る姿。朴訥とした語り口。生み出す作品はもちろん、その飾らない人柄にも惹きつけられる棟方志功。
東京国立近代美術館で開催されている「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」では、棟方が歩んだ軌跡を辿りながら、その魅力にたっぷりと触れることができます。
展覧会は棟方の故郷・青森時代に描かれた絵画からスタートします。
彼の作品に感じるイメージとは少し異なるような、可憐な風景画などを眺め進んでいくと、徐々に大きな作品が目立ち始めます。それらはまるで絵の中の題材が大舞台で自由に、そして大胆に踊っているかのようで、圧倒されてしまいました。
特に縦3メートルの巨⼤な屏⾵「幾利壽當頌耶蘇⼗⼆使徒屏⾵(きりすとしょうやそじゅうにしとびょうぶ)」や、倭画の名作「華厳松(けごんまつ)」は、今まであまり公開されてこなかった作品とのこと。心して拝見しました。
棟方作品の中で特に多く描かれている題材は女性です。女神、弁財天、女人など、そこかしこに様々な女性像が、顔や体などそれぞれに違った表情で、鮮やかに、艶やかに、そして円やかに描かれています。
絵画の中の多くの女性たちと目が合い少しくらくらしながらも、その魅力に惹きつけられました。
棟方が書く字も魅力的です。意味を伝える文字としての役割だけでなく、絵画としての一部を担っているかのように造形的な文字。
その質実剛健な雰囲気の字体は、彼の人物像を表している様にも感じます。また英文字作品の展示もありました。詩集の抜粋ですが、和文字とはまた違って新鮮な印象です。作品横には「棟方は英字には不慣れだった」という解説も。
彼が一文字一文字丁寧に、一生懸命英字を書き写すようすが目に浮かんできました。
意外だったのが、本の装画や切手、パッケージなど、商業デザインの作品も多く残されていること。小ぶりなものが多いですが、描かれているデザインからは大胆さを感じます。色彩が鮮やかなのも印象的で、モノトーンの大規模な絵画作品とは違った別の魅力を感じます。
本の装画は棟方の絵画的な文字が物語を想像させ、思わず手に取って読みたくなりました(触っちゃいけないので我慢)。
ちなみにミュージアムショップでは、彼がデザインしたパッケージを使ったおせんべいが販売されていました。包み紙も大事に取っておきたくなりますね。
展覧会の終盤では、眼鏡、帽子、カメラ、彫刻刀など、棟方が愛用していた小物類が飾られていました。
特に分厚い眼鏡は棟方のイメージそのもの。この眼鏡越しに数々の素晴らしい作品が描かれてきたのかと思うと、胸が熱くなってしまいました。
近くで上映されている映像からはあの温かみある話し声も聞こえ、展示されている自画像の中で微笑む彼を眺めながら、120年経った今も棟方は私たちを惹きつけてやまない存在なのだと実感しました。
青森で生まれ、その後世界的に有名になっていった棟方志功は、油彩画から板画、倭画、商業デザインまで多岐に渡る作品を残しました。
この展覧会はまさにその過程を知ることができる「メイキング・オブ・ムナカタ」な内容!ぜひ皆さんもこの展覧会で彼の魅力を思う存分感じてみてください!