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2024年11月1日
水木しげるの妖怪 百鬼夜行展/そごう美術館
こんにちは!日々子連れで美術館や展覧会を楽しんでいるSfumart読者レビュアーのかとうあつしです。
今回はそごう美術館で開催中の「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」に5歳の娘、8歳の息子と一緒に行ってきました。特に娘は怖いものが苦手。ちょっと心配ですが勇気を出していざ妖怪の世界へ!
まずは美術館の紹介から。そごう美術館は横浜駅から徒歩3分、そごう横浜店の6階にあります。
1985年9月20日、百貨店における博物館としては日本で初めて博物館法に基づく登録を行い開館した由緒ある美術館です。その頃は全国で数多くの百貨店美術館が開館されますが、90年代のバブル崩壊後、残念ながらそのほとんどが姿を消してしまいました。その中にあって、今なお地域に身近な文化拠点のひとつとして積極的に文化の啓蒙活動に努めているのが、このそごう美術館です。
百貨店内にあるので、買い物や食事の合間にも鑑賞できるのが子連れにはうれしいですね。
受付で子どもたち用のジュニアガイドをもらって入館。
入口から先、会場内が薄暗いのはどの展覧会も同じはずなのですが、今回はなぜかちょっとお化け屋敷に入るような感覚になりました。若干生温かく感じるのは気のせいでしょうか。ちなみに子どもたちに「ゲゲゲの鬼太郎って知ってる?」と聞くと、「知らなぁい」という悲しい返事。ということで水木しげるの妖怪たちとも初対面です!
館内にある数少ない写真スポットの看板。混雑で子どもとは撮れず。
さて、水木しげる生誕100周年を機に企画された本展は、第一章「水木しげるの妖怪人生」、第二章「古書店妖怪探訪」、第三章「水木しげるの妖怪工房」、第四章「水木しげるの百鬼夜行」の四部で構成され、水木しげるの豊穣な作品に触れつつ、その制作の具体的手法にも迫る内容になっています。
ただ残念ながら館内のほとんどが写真撮影不可のため、ビジュアルでの紹介は限られてしまいますが、子どもの声とともに子連れ目線でのみどころをお伝えしていきたいと思います。
つぶらな目がかわいい塗壁。じっと見ているとまばたきもする
会場のところどころに「べとべとさん」「大かむろ」「児啼爺」「砂かけ婆」「川獺」「塗壁」の立体物がそれぞれ展示されています。これをリアルといっていいのかわかりませんが、水木しげるの作品世界が忠実に再現されております。
怖がりの娘は、大きな目ときざきざの歯が特徴の大かむろを前に「こわいー」と泣きそうになり近寄れないほどでした。また息子は、自分の背丈より小さい児啼爺をじーっと見て「気持ちわるいね」とひと言。確かに立体になると、おどろおどろしさが増し、実際に出逢うとこんな感じなのかと想像させられる貴重な体験ができました。
そんな子どもたちも塗壁はお気に入りで、親近感をもってその大きさと質感を楽しんでいました。
NHK Eテレ「てれび絵本」より、水木しげるの妖怪画をもとに展開される「水木しげるの妖怪えほん」というアニメーションが鑑賞できます。約6分間の映像の中でいくつかの妖怪が解説されています。
息子は水木しげるの特徴的な顔の描写が気に入ったようで「顔がかわいいね」と見入っていました。座って鑑賞できるのと、子どもにもわかりやい内容なので二人とも楽しそうでした。
最後の第四章では「水木しげるの百鬼夜行」と題し、山、里、水、家のそれぞれに棲む妖怪画がずらっと並び、実に壮観です。息子も「よくこんなに思いつくねぇ」と感心しきりでした。
例えば家の中に棲む妖怪として、夜寝ている間に枕をひっくり返す「枕返し」や、夜灯籠の灯を吹き消す「吹き消し婆」など、「ただのいやがらせやん!」という迷惑系(?)妖怪たちがユーモラスに描かれていました。
本当はいないはずの妖怪も、もしかしたらいるかもしれないと思ってしまうのは、誰もがどこか覚えがあるような不思議な現象が表現されているからでしょうか。
わが家は目玉おやじのお風呂玉(バスボム)を購入
展示会場を出ると子どもたちも大好きなミュージアムショップ。今回はゲゲゲの鬼太郎関連のグッズや、妖怪Tシャツ、妖怪トイレットペーパー、妖怪お菓子など、妖怪づくしの充実のラインナップでした。
子どもたちはマスコット付きのバスボムを購入。何が出るかはわかりませんが、どうやらさきほど知った塗壁ねらいのようです。
見事、塗壁と鬼太郎をゲット!展覧会場を出てからも楽しめるグッズなどは思い出にもなるのでミュージアムショップはできるだけ立ち寄るようにしています。最近はコラボ商品など、グッズに力を入れている展覧会が増えてきているように感じます。
お土産探しも子どもとたちと展覧会を訪れる楽しみのひとつとなるので子連れの方にはおすすめです。
岡本太郎の作品「太陽」の周囲は噴水もある水場になっている
さて、そごう美術館の展覧会を鑑賞した後はぜひ屋上へ!
そごう横浜店の屋上は「太陽広場」と呼ばれ、岡本太郎の「太陽」という作品のもと子どもたちがのびのびと遊ぶことができる場所になっています。こうして一気に場転できるのが百貨店美術館の素晴らしいところです。
やっぱり走りたい子どもたち
広々とした芝生広場もあります。展覧会ではどうしても走ったり大きな声を出したりできないため、子どもたちにとっては少しストレスのたまるところ。その分ここで思いっきり走って叫んで寝転んで、思う存分身体を動かしました。子連れにはこういう場所があることがとっても有難いです。
会場を出るころには、妖怪が見えるようになっているかも?
水木しげるの人生をたどりながら、その豊穣な作品世界を解き明かすという本展。
印象的だったのは最後に紹介されていた水木しげるの次の言葉です。「日本は電気が普及して日本中明るくなりすぎたのに加え、世の中全体が百鬼夜行の様相になったのに怯え、本物の妖怪たちが姿を消しつつある」
科学や技術が今より発達していなかった時代、人の暮らしはもっと不思議にあふれていたのかもしれません。そしてそれを妖怪の仕業にしてしまうくらい人びとの想像力がたくましかったのでしょう。ということで最近不思議な出来事に遭遇していないという人には特におすすめの展覧会です!
鑑賞後、よーく目を凝らせばきっと見つかるはず!妖怪たちはまだ姿を消していないはずですから!(怖くて見たくないけど)