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2024年11月1日
古伊万里から見る江戸の食展/戸栗美術館
古伊万里から見る江戸の食展 展示風景
戸栗美術館にて、伊万里焼を“使う”ことにスポットを当てた展覧会が、9月29日まで好評開催中です。
古伊万里から見る江戸の食展 展示風景
1610年代に誕生した伊万里焼は、日本で初めての国産磁器です。有田(現・佐賀県)を中心とした地域でつくられました。
その中でも江戸時代につくられたものは「古伊万里」と呼ばれています。
江戸時代後期に花開いた「食文化」は、現代の和食のルーツともされています。
旬の食材を使ったり、調理技術や盛り付けの美しさにこだわったり。さらには食器や空間も和食の持ち味として重要視されました。
「和食」は、日本の伝統的な食文化として2013年にユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
伊万里焼は、現代では鑑賞品になっていますが、誕生当時は上流階級の食器として、江戸時代後期には広く流通していました。
古伊万里から見る江戸の食展 展示風景
ひとくちに伊万里焼と言ってもさまざまな器種がありますが、現代の食卓でもなじみのある形がたくさんあるんです。
実際の生活でどんな風に使われていたのか?また、どんなものが盛り付けられていたのか?
そんなことを想像しながら鑑賞できるユニークな展覧会となっています。
展示室にずらりと並ぶ伊万里焼は約80点。実は並べ方に工夫があるそうです。
染付 雲龍文 輪花皿 江戸時代(18世紀末~19世紀初)
例えば、同じ種類が何枚か揃っている伊万里焼をセレクトし、実際に使っているところが想像しやすいように、平らに並べています。
鑑賞品であれば、1枚を裏側もしっかり鑑賞できるように展示するもの。ですが、本展の伊万里焼はあくまで「使う前提」で展示されているのだとか。
ところどころに江戸の食文化にまつわる解説パネルもあり、なんだかお腹が空いてくる展覧会です!
本展タイトルにも、美味しそうなものが・・・!
本展では、さまざまな器種が展示されていますが、本記事ではいくつかピックアップしてご紹介します。
どんなものが盛られていたか、ぜひ想像してみてください。
碗(わん)は、半球形のうつわです。
染付 雨文 蓋付碗 江戸時代(19世紀)
18世紀以降に流行した蓋付きの碗は、茶碗蒸しなどの温かい料理を盛るために使用されていたようです。
また、当時のご飯茶碗はまだ漆器が主流だったそう。磁器の茶碗で白米をいただく現代の私たちとは、少し異なりますね。
染付 白抜蛸唐草文 蓋付碗 江戸時代(18世紀前半)
平皿よりも深さのあるうつわを、鉢といいます。
色絵 荒磯文鉢 江戸時代(19世紀)
古伊万里から見る江戸の食展 展示風景
その中でも小さめのものは、膾皿(なますざら)や膾鉢(なますばち)などと呼ばれています。
細切りにした魚や野菜をお酢であえた料理をなますと言いますが、お正月の紅白なますはご存じの方も多いのではないでしょうか?
染付 蛸唐草文 木瓜形鉢 江戸時代(19世紀)
長皿は、焼いた魚や野菜などを盛るのに使用されていたようです。
染付 蛸唐草山水文 長皿 江戸時代(18世紀前半)
確かに現代でも、焼いたさんまは長皿に盛りませんか?
料理によって器を変える楽しみを、当時の人びとも味わっていたのかもしれませんね。
伊万里焼と江戸の食文化に迫る本展。
実際の使用例を紹介した解説パネルは、ぜひ展示室でご覧ください。