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2024年11月21日
手塚治虫「火の鳥」展/東京シティビュー
2025年3月7日(金)より、東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)にて、〈手塚治虫「火の鳥」展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡(どうてきへいこう)=宇宙生命(コスモゾーン)の象徴-〉が開催されます。
『鉄腕アトム』や『ブラック・ジャック』などの数々の名作を生み出したマンガ家・手塚治虫(1928-1989)。
本展は、手塚自らが「ライフワーク」と宣言したマンガ『火の鳥』の初の大規模展覧会です。
『火の鳥』は、その血を飲んだものは永遠の命を得るという伝説の鳥“火の鳥”を、追い求める人びとの葛藤を描いた一大傑作長編マンガです。
過去と未来を交互に描きながら、「生と死」「輪廻転生」といった哲学的なテーマを手塚の感性で表現した壮大な世界観は、今もなお多くの人びとの心を捉えています。
そんな日本のマンガ史を代表する『火の鳥』を読み解く本展。
企画監修は、生物学者・福岡伸一氏が担当します。
2024年11月28日(木)、都内にて本展の記者発表会が行われました。
ここでは、記者発表会で紹介された手塚治虫「火の鳥」展の見どころを、一足先にご紹介します!
美術のジャンルで紹介されることが多い手塚治虫の作品。
今回の手塚治虫「火の鳥」展は、生物学者の福岡伸一氏が企画監修を担当するという不思議な組み合わせです。
マンガ『火の鳥』は、「生きるとは何か、死ぬとは何か」を掲げた作品です。
そこで、「生命とは何か」を追求し、「動的平衡(どうてきへいこう)」という概念を提唱する福岡氏が企画監修に選ばれたといいます。
福岡氏は、本展の企画監修に選ばれたことについて、以下のように話しました。
『火の鳥』は、全編にわたって不死鳥“火の鳥”が登場し、生に執着する人間を翻弄しながら物語を動かします。そこには、あらゆる生命が常に姿と形を変えながら、連綿と受け継がれていく輪廻転生の生命感、汎神論的な世界観が示されます。これは、生命が絶えず自らの破壊と創造を繰り返しながら、エントロピー増大の法則に抗い続けている「動的平衡」であるとする私の生命論とぴたりと重なります。
また、福岡氏と手塚治虫のあいだには、多くの共通点があるのだとか。
手塚治虫は、自身のペンネームに「虫」を入れるほどの無類の昆虫好きです。
幼少期に手塚が描いた蝶々の模写は、より正確な色を出すために自分の血を使って色を出したというエピソードもあるのだそう。
本展では、手塚治虫の蝶々の模写と福岡氏のコレクションが展示される予定です。
福岡氏は、2025年の大阪・関西万博(EXPO2025)のテーマ事業パビリオン「いのち動的平衡館」のプロデューサーを務めています。
手塚も、1970年の大阪万博の「フジパン・ロボット館」のプロデューサーを担当していたのだとか!すごい偶然ですよね。
手塚治虫「火の鳥」展の開催は3月。大阪・関西万博(EXPO2025)は、4月に開催されます。
展覧会を観た後に、大阪・関西万博(EXPO2025)の「いのち動的平衡館」を鑑賞すると、より深く理解できるかもしれません。
赤と黒のパキッとしたデザインが目を惹く本展のキービジュアル。
こちらのデザインを担当したのは、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏です。
赤い台形の上に乗る火の鳥は、「火の鳥 休憩」という手塚自らが『火の鳥』について解説するコラムに使用されているものなのだそう。
“火の鳥”の足元に描かれている白い布の正体については言及されていませんが、福岡氏は「生涯を全うした手塚治虫が描かれているのでは」と話していました。
また、キービジュアルの上部をよく見ると、赤いラインが入っています。
下と上をくるりと回すとぴたりと重なるようにデザインされており、これは「輪廻の輪」を意味しているといいます。
佐藤氏は、「動かないポスタービジュアルにおいてどう“流れ”を表現するか。それを試行錯誤した結果です。」と、本展のキービジュアルについて話しています。
本展は、プロローグを含めて全4章で構成されています。
『火の鳥』の知識が無いと難しいかも・・・と思っている方に朗報です。
作品情報を知らなくても楽しめるよう、本展では主要12編の原画を展示します!
原画や関連資料などを800点以上展示されるのだとか。
あえて、知識を入れずにまっさらな状態で本展を楽しむのもおすすめです。
過去に『火の鳥』を読んだことある人は、本展で新しい考察に触れてみては?
記者発表会では、手塚治虫の長女・手塚るみ子さんも登壇。
福岡氏としばらく、和やかに『火の鳥』についてお話していました。
『火の鳥』は手塚治虫そのものです。手塚は、常に読者や雑誌のことを考えてマンガを描いていました。その中でも『火の鳥』は手塚自身が描きたいものを描いたので、絵がイキイキしていると思います。
展覧会では、原画や関連資料などを800点以上展示する予定です。一人のマンガ家が「手」で描いたその絵のダイナミックさや美しさも楽しんでいただけたらと思います。手塚るみ子さん
マンガ『火の鳥』初の大規模展覧会〈手塚治虫「火の鳥」展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡(どうてきへいこう)=宇宙生命(コスモゾーン)の象徴-〉は、2025年3月7日(金)開催です。
続報も「Sfumart」でご紹介予定です。お楽しみに!