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東山魁夷を中心に日本の風景画をたどる展覧会【福田美術館】
2025年2月10日
横尾忠則の人生スゴロク展/横尾忠則現代美術館
「横尾忠則の人生スゴロク展」が、横尾忠則現代美術館で開催されています。
阪神淡路大震災から今年で30周年ということで、1月17日から始まったこの企画展。ちょっと他では見られないユニークな試みをしているんです。なんと、会場全体がスゴロクになっているんですよ。
スゴロクで遊びながら、横尾忠則の人生を辿ることができる異例の展覧会。面白そうですよね。早速行ってみました。
最上階の4階から順番に降りていくのがオススメです。
4階では、「Yokoo Tadanori Collection Gallery 横尾忠則を遊ぶ」が開催中。
スゴロクなどの遊びをテーマにした横尾作品がズラリと展示されています。
「Yokoo Tadanori Collection Gallery 横尾忠則を遊ぶ」展示風景 ※観覧には企画展「横尾忠則の人生スゴロク展」のチケットが必要です。
そして、スゴロクは3階からスタート。
会場に入ったとたん、目につくのは室内の真ん中に置かれている大きなルーレットです。このルーレットを回しながら、進みます。
展示室の壁に掲載されているQRコードを読み取って、スマホでWebサイコロを使うのもアリです!
横尾忠則が熱を出した時に見た悪夢をテーマにした作品の前では一回休みになったり。
かと思ったら、命名儀式をテーマにした作品の前ではふたマス進むになったり。
行ったり戻ったり、他の展覧会ではない楽しみ方が出来るんです。横尾忠則の作品をあまり知らない方でも楽しめますね!
スゴロクのスタートは、「子宮内での出来事」というこちらの作品。
子宮内が本当にこんな世界なんだろうかとまじまじと見入ってしまう摩訶不思議な絵ですよね。
横尾忠則 「6月27日の子宮内での出来事」 1995年 横尾忠則現代美術館
この作品からスタートして、室内にはぐるりと横尾忠則の人生をたどるような絵が展示されています。
横尾忠則 「1944年、私は夢で龍に出会った」 1995年 横尾忠則現代美術館
横尾がいつか見た白昼夢の龍の絵や戦争の記憶の絵。
横尾忠則 「回転する家」 2018年 横尾忠則現代美術館
子ども時代の横尾がお気に入りだった江戸川乱歩の『怪人二十面相シリーズ』と、山川惣治の『バルーバの冒険』の絵など。
生まれてから青年になるまでの横尾の人生をたどりつつ、スゴロクは2階へと続きます。
2階では、グラフィックデザイナーとしての初期のポスター作品が展示されています。
横尾忠則 「Tadanori Yokoo(自主制作)」 1965年 横尾忠則美術館
「Tadanori Yokoo(自主制作)」は、デザイナーとしての自分を宣伝するためのポスター作品です。
真ん中で首を吊っているのは、横尾忠則本人なのだそう。
このポスターからスタートして、グラフィックデザイナーとしての横尾忠則の仕事ぶりが伺える作品が並びます。
横尾さんのポスターには独特の世界観が潜んでいるような雰囲気が漂っているのですよね。
彼のポスターは一度目にしたら、なかなか目が離せない底知れない力を感じました。
グラフィックデザイナーとして活動を続けて来た横尾忠則ですが、1980年にニューヨーク近代美術館で「ピカソ展」を観たことをきっかけに、突如「画家宣言」を行います。
そこから、画家としての横尾忠則の人生がスタートしていくのです。
横尾忠則 「息子からのポストカード」 1982年 横尾忠則現代美術館
こちらの作品は、画家宣言をしたばかりの頃に描いた作品の一つなのだそう。
なるほど、ピカソを思わせる雰囲気を醸し出していますよね。
迫力のある筆遣いに、思わず足を止めてしまいます。
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災に関連した展示の前は、1回休みになっています。
ここでストップしたら、横尾が阪神淡路大震災の時にどのような活動をし、どのようなポスターを描いたのか、じっくりと鑑賞してみてください。
兵庫県に生まれ、新婚時代も神戸に住んでいた横尾忠則。当然、神戸には深い愛着があったことと思います。
横尾は兵庫県から依頼を受けて、約20名ほどの作家から原画を集めて、チャリティーポスターを制作します。その売上金は全て、援助資金として活用されました。
横尾にとっての阪神淡路大震災とはどのようなものだったのか、1階のモニターで、本人のインタビューを視ることもできます。
震災について語っている映像は、おそらく、この映像だけだということ。貴重ですね。
なおインタビューは、横尾忠則現代美術館の公式YouTubeチャンネルでも観ることができます。
1980年に画家宣言を行ってから現在に至るまで、横尾はさまざまな絵画を精力的に描き続けてきています。
ライフワークだった『Y字路シリーズ』や晩年の『寒山拾得シリーズ』など。
横尾忠則 「黒いY字路1」 2010年 横尾忠則現代美術館
また、横尾忠則現代美術館が開館した記念展で公開制作した作品なども展示されています。
横尾忠則 「教典と箒」 2019年 横尾忠則現代美術館
そして、ゴールに据えられた作品は、5歳の時に横尾が描いた武蔵と小次郎と同じテーマの絵でした。
形に縛られない自由な筆遣いで描かれたこの絵には、人を惹きつける独特の魅力があると思いませんか。
横尾忠則 「二刀流再び」 2021年 横尾忠則現代美術館
横尾忠則は生まれながらのアーティストだと思います。
自分の魂の世界観を、ポスターや絵画という形にして表現できる人でした。
そんな横尾が最後にたどり着いた筆遣いが、形に縛られない自由な描き方だということに深い感慨を覚えました。
1階までおりていくと、お土産ショップもあります。こちらもぜひチェックしてみてください。
そして、スゴロクで楽しんだ後は、もう一度ゆっくりと歩いて、展覧会を観て回ってみることをオススメします。
人生をたどるようにして順番に作品を見ていくと、横尾忠則というアーティストが、どのように生きて、どのように魂の世界を表現していったのかということがわかります。