髙田賢三展 パリに燃ゆ、永遠の革命児/姫路市立美術館

世界的ファッションデザイナー・髙田賢三の大規模回顧展!【姫路市立美術館】

2025年4月30日

世界的ファッションデザイナー・髙田賢三の大規模回顧展!【姫路市立美術館】

姫路市立美術館にて、「大阪・関西万博記念事業 髙田賢三展 パリに燃ゆ、永遠の革命児」が、2025年7月21日(月・祝)まで開催中です。

髙田賢三(たかだ・けんぞう、1939-2020)は、世界的ファッションブランド”KENZO”の創設者です。

本記事では、髙田賢三をよく知るゲストたちからのエピソードを交えて、彼のファッションの変遷と創作活動を紹介します。

姫路市立美術館 外観

色彩の魔術師「髙田賢三」とは

高田賢三は1939年、兵庫県姫路市に生まれました。
幼い頃から美しい着物を着た芸者や、長唄、三味線の音色を身近に感じながら育ちます。

19歳の時に東京の文化服装学院に進学。
その後25歳で渡仏し、31歳でのちに”KENZO”となるブティック”JUNGLE JAP”をオープンしました。

そこから時代の波に乗り、世界的デザイナーへと成長していきます。

©毎日新聞社

まずは、髙田賢三の歩みがわかるコレクションギャラリーをご紹介します。

こちらのタイムラインでは、髙田がどのように世界へ羽ばたいていったのかを紹介しています。

コレクションギャラリー展示風景より、タイムライン

また、1993年の宝塚歌劇団 星組のこけら落とし公演で使用された舞台衣装も、イラストと共に展示されています。

コレクションギャラリー展示風景より、新宝塚歌劇団 星組のこけら落とし公演の衣装展示 1993年

船に乗ってパリへ。渡仏後のさまざまな革命

1964年、半年ほどの滞在予定で船に乗り、パリへ向かった髙田。

帰国前に自分の実力を試そうとデザイン画を描き、ブティックや雑誌社に持ち込みます。

その結果、ファッション雑誌「ELLE」やパリの老舗百貨店「プランタン」などに買い取ってもらえるようになり、パリでアパレルデザイナーとして働くことに。
ここから髙田のデザイナー人生が始まります。

当時のファッション界は、オートクチュールからプレタポルテに変わろうとしていた時期でした。

この転換期に髙田はブランドを立ち上げ、ファッション界の第一線を走り始めます。

展示風景より、1970年代のコレクション

日本人としての感覚を意識した、のびやかで着る人を選ばない装いを提案した髙田。

夏の生地とされていた「木綿」を、冬でも着用できるようにデザインし、”木綿の詩人”と称されました。

裁断、柄、カラフルな配色など、髙田ならではのデザインが目を惹きます。

展示風景より、1980年代の作品

京都工芸繊維大学の本橋弥生助教授は、特に「ワンピースをみてもらいたい」と、内覧会で話しました。

絞りや縮(ちぢみ)、紬(つむぎ)、浴衣地などの日本の生地を使った髙田の服は、デビュー当時から話題になったのだそう。

展示風景より、ドレス

こちらのドレスは、袖の形や胸部のデザインなど、とても可愛く作られています。

日本の生地や裁縫技術をパリに広めたのも、髙田の革命の一つです。

「色彩の魔術師」が魅せる衣服の魅力

1980年代、パリでは「黒の衝撃」と呼ばれる革新的なコレクションが次々と発表されました。

しかし髙田はその流れからは距離をおき、自らの表現を熟成させることに専念します。

ケンゾー・カラーの特色は、単色よりも配色にある。
多色配色でとりわけ原色同士の組み合わせは僕のモードになっている。

髙田は、自身の色彩について上記のように語っています。

柄と柄、色と色が激しくぶつかり合うエネルギッシュな組み合わせは、まさに髙田らしい作品です。

展示風景より、1980年代の作品

クリエイティブ・ディレクターの佐々木勉氏は、こんなエピソードも話してくれました。

当時のファッションショーでは、番号をつけたモデルがただランウェイを歩くだけだったのに対し、髙田は音楽をかけながらモデルが自由に歩けるショーを開催しました。

アフターパーティーも開催して、パリのファッション産業に大きく貢献したのだとか!

写真左側のポップな「BDルック」はその時に発表された作品です。

内覧会にて、解説する佐々木勉氏

この豹柄が目を引く作品は、シャルル・ペローの童話「ロバの皮」の世界をイメージして作られたもの。

一見着ぐるみのようにも見えますが、ストーリーを知ると作品を観るのが面白くなります。

佐々木氏は、「これからどんどんKENZOの衣服のストーリーも伝わっていくといいなと思う」と語っていました。

ちなみにこのワイヤーマネキンもとても貴重なものなのだそう!

展示風景より、ジャケット jacket 1979-1980AW KENZO PARIS

姫路城が世界遺産になった時に開催された「キャスティバル’94」で披露した作品も展示。

写真左側のチュチュは、クロード・モネの《睡蓮》からインスピレーションを得た作品です。

スカート部分の模様は、髙田が直接アクリル絵の具で描いたといいます。

展示風景より、キャスティバル’94で披露された作品

衣服だけじゃない!空間全てのデザインを手がける

髙田は50歳を迎えるにあたり「これからは洋服だけではなく、生活環境とかインテリアとか、やっぱりそういうものに興味がある。」と語っています。

天井から吊るされた布は、髙田が世界各国を旅して集めた選りすぐりのもの。集められた布からも、ケンゾー・カラーを感じます。

展示風景

こちらは隈研吾氏がリノベーションを手がけた、バスティーユにある髙田の旧邸宅の模型。

細かい所まで再現された邸宅のインテリアにも、髙田のスピリットを感じます。

ちなみにこの模型のどこかに髙田賢三がいるのだそう!ぜひ、探してみてくださいね♪

展示風景より、バスティーユの旧邸宅の模型(部分)

内覧会には髙田の実弟である、山下紀年(やました・のりとし)氏も参加しました。

山下氏は、本展に関して「ぜひコレクションギャラリーに展示している賢三の手紙を、彼の細かな気遣いも感じながら観てほしい。」と話しました。

展示風景

まとめ
”愛され続けるデザイナー髙田賢三”

本展の開会式は、立ち見が出るほどの人気ぶり。そしてゲストも、とても楽しそうにお話をされていたのが印象的でした。

髙田賢三のファッションのみならず、人柄についても知ることができる本展。
この機会にぜひ訪れてみてくださいね!

美術館の周りは姫路城や動物園、姫路グルメを楽しめるお店などおでかけにぴったりなスポットが満載です♪

桜と姫路城

桜の木の合間から見える姫路城

桜と姫路市立美術館「髙田賢三展」

Exhibition Information

Ticket Present

本展のチケットを「5組10名様」にプレゼント!
〆切は2025年5月18日まで。
※当選は発送をもって代えさせていただきます。