
ハプスブルク家/10分でわかるアート
2024年12月18日
ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展/森アーツセンターギャラリー
森アーツセンターギャラリー「ゴジラ生誕70周年記念ゴジラ・THE・アート展」会場風景
生誕70周年を迎えたゴジラ。
破壊と再生の象徴として歩み続けてきたゴジラが、アートの力を得て、東京・六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーに降臨。「ゴジラ・THE・アート展」で新たな姿を見せています。
解剖学者・養老孟司氏をゼネラルプロデューサーに迎え、「ゴジラとは、何か。」という問いに、国内外で活躍するアーティスト達が作品を通じて挑戦。
時代とともに進化し続けるゴジラを多彩なアート作品として表現しています。
映画の枠を超え、「文化」としてゴジラの魅力を再発見できる展覧会です。
展示空間は、まるでゴジラの通過によって裂けたような造りになっており、「破壊と再生」の世界でゴジラの存在を感じながら作品を楽しむことができます。
「PARADISE」横尾忠則 TM & ©TOHO CO.,LTD.© Tadanori Yokoo
会場の入り口近くでまず迎えてくれるのが、現代アートの巨匠・横尾忠則氏による圧巻の大型作品『PARADISE』。赤・黒・金を基調とした色彩のインパクトは圧倒的です。
16枚のパネルを組み合わせた大きな画面と破壊された壁のような展示方法で、ゴジラの世界観を迫力満点に表現しています。
「PARADISE」横尾忠則 TM & ©TOHO CO.,LTD.© Tadanori Yokoo
会場を進むと、特撮映画のシーンを思わせる、リアルなミニチュアセットが登場します。
崩壊したビル群や昭和ゴジラ映画を思わせる世界観は、ゴジラが通過した後の破壊された街そのもので、スクリーンで見上げた世界に、自分が“入り込んだ”感覚に圧倒されます。
ゴジラの破壊神としての姿がより鮮明になり、特撮ファンならずとも見逃せないコーナーです。
《ミニチュアの世界》を前にギャラリートークをおこなう(左)東京ビルド氏 と(右)キュレーターの金 秋雨氏
「the One ー呉爾羅 (仮設のモニュメント6)」小谷元彦 TM & ©TOHO CO.,LTD.© Motohiko ODANI
彫刻家・小谷元彦氏による作品は、人間の体にゴジラの特徴である背びれや尻尾が融合し、「人と怪獣の境界」を表現しており、兵士と対峙する姿からは力強さと哀愁が漂っています。
荒々しい木の質感と、巨大な影が壁に映し出される演出が印象的です。
タイ出身のアーティストPex Pitakpong氏によるユニークな絵画。
メカゴジラやシン・ゴジラをモチーフにした、かわいらしさと不気味さが同居するポップアートが展示されていました。小さなお子様から大人のファンまで目を惹く作品です。
森アーツセンターギャラリー「ゴジラ生誕70周年記念ゴジラ・THE・アート展」展示風景
手前にあるのは、中村哲也氏による造形作品。最強のライバル「キングギドラ」がゴジラと向かい合っており、映画を想起させます。
森アーツセンターギャラリー「ゴジラ生誕70周年記念ゴジラ・THE・アート展」展示風景
さらに会場では、本展のために特別編集された映像作品も上映。
昭和から令和に至るまでのゴジラの進化、名場面が大スクリーンに映し出されます。放射熱線や都市破壊の名シーンとともに、記憶に眠るゴジラが次々と呼び起こされました。
映像のクオリティが高く、新旧のファンがともに楽しめる内容になっています。
森アーツセンターギャラリー「ゴジラ生誕70周年記念ゴジラ・THE・アート展」展示風景
展示のハイライトは、巨大なゴジラと破壊された都市のジオラマ。赤く照らされた瓦礫の中で雄々しく立つゴジラの姿は迫力満点です。
ビルの倒壊、瓦礫のリアルな造形、脱線した列車など、細部まで作り込まれたセット。そして照明によるドラマチックな演出によって破壊シーンが再現されており、観る人の想像力をかき立てます。
ゴジラとジオラマを背景にした構図は、フォトスポットとしても最適なのではないでしょうか。
森アーツセンターギャラリー「ゴジラ生誕70周年記念ゴジラ・THE・アート展」ショップ風景
展示の後はグッズショップへ。ここでは展覧会オリジナルのフィギュアや文具、Tシャツなどが多数ラインアップ。ゴジラの公式絵本やお土産にぴったりな小分けアイテムも用意されています。
さらに、ずらりと並んだゴジラのフィギュアは、圧倒的な存在感です。
森アーツセンターギャラリー「ゴジラ生誕70周年記念ゴジラ・THE・アート展」ショップ風景
展覧会の余韻を味わうなら、森アーツセンターギャラリー・東京シティビューと同フロアのミュージアムカフェ「THE SUN & THE MOON」へ。
ここではゴジラをテーマにした限定コラボメニューが楽しめます。
六本木ヒルズ「THE SUN & THE MOON (Cafe)」Chemistry(赤と黒のモクテル)
赤と黒を基調にしたメニューを提供。赤一色のドリンクも、ミニピッチャーに添えた液体をグラスに注ぐと全体が黒くなる仕掛けがあり、遊び心いっぱいです。
六本木ヒルズ「THE SUN & THE MOON (Cafe)」コラボレーションメニュー
「初代ゴジラのデザート化(GODZILLA à la crème)」はチョコクリームをはさんだ黒いシュー生地に飴細工の背びれが突き立ち、存在感たっぷりです。
さらに、赤と黒をテーマにゴジラの存在感を表現した数量限定の「Rouge et Noire(スモークサーモンのムースにパイを添えて)」など、フードも充実しています。
六本木ヒルズ「THE SUN & THE MOON (Cafe)」Rouge et Noire
期間中、六本木ヒルズ内では12店舗・13種類の限定ゴジラメニューを提供しており、まさにここでしか味わえない食のアート体験ができます。
「ゴジラ・THE・アート展」は、単なる映画の回顧展ではありません。アートを通してゴジラの本質に迫る空間です。
映画で親しんだ怪獣が、アーティストたちの手によって新たな生命を吹き込まれ、まったく異なる側面を見せてくれます。
歴代ゴジラの雄姿を収めた特別映像やジオラマの迫力、そして六本木ヒルズならではの“ゴジラグルメ”まで、たっぷり楽しめました。
進化を続けるゴジラの姿を、ぜひその目で確かめてみてください。あなたの中の「ゴジラ像」が、きっと更新されるはずです。