
ハプスブルク家/10分でわかるアート
2024年12月18日
特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」/東京国立博物館
(左)婦女人相十品 ポッピンを吹く娘 喜多川歌麿筆 寛政4~5年(1792~93)頃 東京国立博物館 前期 / (右)四條河原夕凉躰 鳥居清長筆 天明4年(1784)頃 東京国立博物館 前期
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)で注目を集めている「蔦重」こと蔦屋重三郎(1750-97)。
江戸時代の後期、貸本業から身を起こし、社会の変化を的確にとらえて、「江戸のメディア王」と称されるまでになった人物です。
現在、東京国立博物館 平成館にて、特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」が開催中です。
本展では、蔦重の活躍に注目し、天明、寛政期(1781~1801)を中心に江戸の多彩な文化を紹介します。
また、大河ドラマ「べらぼう」との連携した没入型の展示にも注目!
蔦重が生きた時代を体感できる展覧会の見どころを紹介していきます。
「蔦重」の愛称で知られる蔦屋重三郎は、寛延3年(1750)に、幕府公認の遊廓である吉原に生まれました。
新吉原春景図屛風 歌川豊春筆 天明(1781~89)後期~寛政(1789~1801)前期 個人蔵 通期
展示室に進むと、吉原大門がお出迎え。この吉原大門は、吉原への唯一の入場口です。
展示されているこちらは、大河ドラマ「べらぼう」の撮影で実際に使用されていたセットなのだそう!
歌川広重などの浮世絵を参考にし、制作したといいます。
江戸時代の傑出した出版業者である蔦重ですが、最初は貸本業を生業にしたと考えられています。
蔦重の出版人としての活動は、生まれ育った地である吉原の情報誌『吉原細見』の出版に携わるところから始まります。
以降、蔦重はトレンドをいち早く察知する鋭い感覚を活かして、江戸のメディア王へとのぼりつめました。
(右)高名美人六家撰 難波屋おきた 喜多川歌麿筆 寛政7~8年(1795~96)頃 東京国立博物館 前期/(左)高名美人六家撰 辰巳路考 喜多川歌麿筆 寛政7~8年(1795~96)頃 東京国立博物館 前期
寛政期(1789~1801)に、蔦重は浮世絵界に進出します。
喜多川歌麿や東洲斎写楽といった、今でも人気の高い浮世絵師たちを見出した蔦重。
彼らの魅力を最大限に生かした浮世絵を企画・出版し、数多くのベストセラー作品を世に送り出しました。
(右)重要文化財 初代市川男女蔵の奴一平 東洲斎写楽筆 寛政6年(1794) 東京国立博物館 前期/重要文化財 三代目大谷鬼次の江戸兵衛 東洲斎写楽筆 寛政6年(1794) 東京国立博物館 前期
本展では、蔦重が創出した価値観や芸術性がどのようなものだったのかについて、詳しく紹介しています。
「附章 天明寛政、江戸の街」展示風景
「附章 天明寛政、江戸の街」では、大河ドラマ「べらぼう」の世界を楽しむことができます。
大河ドラマ「べらぼう」の美術チームによる、吉原・仲之町通りと日本橋の再現展示は圧巻*!
*附章で展示されているセットは、実際に大河ドラマ「べらぼう」の撮影で使用されたセットと同一ではありません。
午前と午後で景色が変わる設定になっています。
立ち止まって、日本橋から見える江戸の空をゆっくりと眺めてみてはいかがでしょうか。
「附章 天明寛政、江戸の街」展示風景
蔦重が活躍した18世紀後半の江戸は、経済や文化が著しく成長し、「大江戸」と呼ぶにふさわしい都市へと発展した時期でもあります。
まさに、蔦重が生きた時代にタイムスリップ!
没入型の展示にも注目です。
なお、こちらは写真撮影OK。個人利用に限りSNSへの投稿も可能です。
会場特設ミュージアムショップでは、蔦重展オリジナルグッズも販売中です。
定番のポストカードはもちろん、ユニークなグッズも。
こちらは、東洲斎写楽が描いた大判錦絵 重要文化財「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」のぬいぐるみです。
(手前)「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」ぬいぐるみ(大) 7,480円(税込)
大迫力な全高約60cmの江戸兵衛は、ベッドで見守ってもらってもよし、リビングの賑やかしに一役買ってもらうもよし。
抱き心地がよさそうなので、抱き枕にしてもいいかもしれません。
起きた時に、江戸兵衛の目ヂカラに睡魔もきっとはだしで逃げ出すことでしょう。
WALNUT アクリルキーホルダー(3種)825円(税込)
WALNUTとコラボしたグッズも販売しています。
有名な浮世絵が、ポップな絵柄に大変身。いつものお出かけカバンのアクセントにもなりそうなキーホルダーもあります。
特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」公式図録 3,300円(税込)
大ボリューム!404ページの本展公式図録もお見逃しなく。
黄表紙に和綴じ紐風の模様をあしらった表紙で、蔦重の世界を彩る図録です。
展覧会オリジナルグッズに関する詳細は、展覧会公式サイトをご確認ください。
特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」の半券を持って、表慶館へGO!
同時開催中の「浮世絵現代」も、当日に限り一緒に楽しむことができます。
なんと、特別展の半券があれば「無料」で鑑賞することができますよ。
浮世絵現代
日本の木版画の技術は、江戸時代の文化の中で独自に発展し、浮世絵という力強く華やかな芸術を生み出しました。「浮世」という言葉には…
東京国立博物館 | 東京都
2025年4月22日~6月15日
「浮世絵現代」では、アダチ版画研究所の彫師・摺師たちと協働して制作した「現代」の「浮世絵」を紹介します。
「浮世絵現代」展示風景
蔦重が見出した歌麿や写楽、北斎の浮世絵の高度な技術は途切れることなく、現代まで職人たちの手に受け継がれています。
そんな伝統木版画の表現に魅了された総勢80名のアーティストの作品も、表慶館で堪能してみてください。
「浮世絵現代」展示風景
敏腕プロデューサーであり、稀代のマーケターでもあった蔦屋重三郎の活動を紹介する特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」。
東京国立博物館で、江戸文化にどっぷりと浸かってみてはいかがでしょうか。