
ハプスブルク家/10分でわかるアート
2024年12月18日
絵画×ファッション/共立女子大学博物館
服飾資料を数多く所蔵する共立女子大学博物館。
実は、服飾に関連するファッションプレートや版画といった絵画資料も所蔵しているんです。
現在、服飾資料と絵画をテーマにした展覧会が好評開催中です。
展示は18世紀の作品からスタートです。
6枚組で結婚がテーマの風刺画「当世風結婚」では、没落した貴族の女性と、商人という身分ながらも経済力のある男性との政略結婚を描いています。
しかしこのカップル、弁護士と女性が不倫をし、最後は弁護士が男性を殺す・・・という悲惨な結末を迎えます。
本作を見ていくと、18世紀の人びとの装いがかなり詳細に分かります。
この時代は女性はもちろん、男性もとても華やかな装いをしていました。
装飾品としてデザインされたボタンや、細かいひとつひとつの刺繍は、経済力を示すものでもありました。
ちなみに、当時の靴は現代と違って左右同じ型だったそうです。
さぞ歩きにくいだろう・・・と思ったのですが「貴族はそこまで歩く必要がなかったのかもしれませんね」と石原学芸員。たしかに・・・!
19世紀の中国での装いも展示されています。
当時、イギリスの貿易使節団を描いたという風刺画風刺画と、実際の服装を比べて鑑賞することができます。
少し透け感のある手前の服は、暑くなってくる今くらいの時期に着られたそうです。こちらは本展の出品作の中で人気ナンバーワンだそうです。
19世紀になると、フランス革命の反動で、それまでとは違った、シンプルなデザインが好まれるようになります。
しかし時代が進むと、再度豪華さを取り戻していきます。
19世紀のドレスに使用されたクリノリンやバッスルを展示。
特に、スカートの後ろ部分を膨らませるために使用されたバッスルは、19世紀のドレススタイルを象徴していますよね。
マニアックな展示ですが、ファッション史にご興味がある方にはたまらないはず。
19世紀までは、理想とする姿に、人間を近づけるためにコルセットなどを着用することが一般的でしたが、20世紀になるとその考えも変化していきます。
特に、芸術の分野で登場したラファエル前派は、中世や古代ギリシア・ローマを理想とし、緩やかな女性を描きました。
本展では、ロセッティやミレイの版画も展示されており、こちらは初公開作品となります。
マリアノ・フォルチュニの代名詞とも言える「デルフォス」。
ゆったりとした古代ギリシアをインスピレーションとしたスタイルです。プリーツと曲線美が美しい。
18~20世紀の装いと絵画を時代ごとに紹介する本展。
子ども服やヘアコスチューム、扇子といった服飾資料も展示されていますよ。
ロココスタイルのドレスと、「当世風結婚」のフォトスポットも展示室入り口に設置されています。
記念撮影、是非してくださいね。