クリムト・アライブ 大阪展/堂島リバーフォーラム

五感を揺さぶる映像体験 【クリムト・アライブ大阪展】

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2026年2月6日

五感を揺さぶる映像体験 【クリムト・アライブ大阪展】

イマーシブ(没入型)展覧会として話題の「クリムト・アライブ」に足を運んできました。

導入部はクリムトの代表作とその説明パネルのエリア。
解説を読みながら歩いていくと、いよいよ映像エリアの会場に入ります。

長椅子や床のクッションに腰を下ろすと、そこは流れる映像とクラシック音楽、スパイスを基調とした官能的な香りに包まれる日常とは切り離された空間でした。

壁から床まであらゆる境界が映像に飲み込まれ、クリムトの世界に全方位から包まれます。重厚な音楽と香りの演出も相まって、視覚だけでなく五感でその世界観を浴びるような体験でした。

お子さんも飽きずに楽しむことができ、歩きまわらなくても同じ場所に座って変わる映像を観るスタイルなので、ご高齢の方にも足の悪い方にもアピールできる展覧会という印象。

普段なかなか美術館に行きにくい方やアート初心者も楽しめるところが良いと思いました。
「アートを鑑賞する」というよりは、クリムト作品の「演出された美に没入するエンターテインメント」だと感じました。

タイムパフォーマンスや効率が重視される今の時代、ただ座っているだけで向こうから名作が押し寄せてくるこの形式は、美術鑑賞の一つの入口なのかもしれません。

写真も動画も撮影可能なこの展覧会は、スマホで撮ったどの映像を見ても美しく、SNSのヘビーユーザーの需要にはぴったり合うのでしょう。

コアな美術ファンにとって引っかかる部分があるとすれば、この会場に「原画」が一枚もないことではないかと思います。

流れる映像としての《接吻》や《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像》を見上げながら、私はそこに存在しない「原画」の存在をかえって強く意識していました。

誰もがどこかで一度は見たことがあるであろう《接吻》の原画は、ウィーンのベルヴェデーレ宮殿に行かなければ観ることができない門外不出の作品です。

《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像》は、現在ニューヨークのノイエ・ギャラリーが所蔵していて、海外だけでなくアメリカ国内での貸し出しも稀な作品です。

原画の美しさの特徴としては、金細工師の息子であったクリムトが、キャンバスに金箔を貼り込み、絵の具を宝石のように盛り上げた立体感にあります。

照明や自然光によって変わるその奥行の向こう側にある見えない気配を想像させるところが原画ならではの味であり、明るく鮮やかな映像でも再現し切れない部分なのかもしれません。

映像のプラスのポイントとしては、拡大された細部を観ることによって今まで気がつかなかった表現の緻密さに目が向くことでしょう。

映像によって「本物の原画を観てみたい」、「クリムトとはどういう画家だったのかを知りたい」と思えればそこから広がる世界があるのだと思います。

アート初心者にとっては「美術鑑賞の入口」としての楽しみ方があり、頻繁に美術館に行く趣味人には「いつもと違う鑑賞方法」を体験する。

そういうさまざまなタイプの来場者のニーズにあった美術展だと思いました。

クリムトアライブを観て、もし原画の質感を感じてみたいと思ったら、国内外の美術館へ旅に出てもいいかもしれません。

日本で観られるクリムト原画 5選

《人生は戦いなり(黄金の騎士)》 愛知県美術館/愛知県
《オイゲニア・プリマフェージの肖像》 豊田市美術館/愛知県
《アッター湖の島》 国立西洋美術館(寄託) /東京都
《女性の肖像》 アーティゾン美術館/東京都
《大きなポプラの木 II(嵐の前)》 宮城県美術館/宮城県

海外のクリムト原画5選

《接吻》 ベルヴェデーレ宮殿(オーストリア・ギャラリー) ウィーン(オーストリア)
《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I》 ノイエ・ギャラリー ニューヨーク(アメリカ)
《パラス・アテナ》 ウィーン・ミュージアム ウィーン(オーストリア)
《死と生》 レオポルド美術館 ウィーン(オーストリア)
《ユディト I》 ベルヴェデーレ宮殿(オーストリア・ギャラリー) ウィーン(オーストリア)

Exhibition Information

展覧会名
クリムト・アライブ 大阪展
開催期間
2025年12月5日~2026年3月1日
会場
堂島リバーフォーラム
公式サイト
https://klimtalive.jp/osaka/
注意事項

※本イベントに関する情報は予告なく変更となる場合がございます。ご来場前にイベント公式ホームページをご確認ください。