国内初展示や限定グッズも!ファン・ゴッホの夢を繋いだ「家族」の物語【愛知県美術館】
2026年1月21日
第29回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)/川崎市岡本太郎美術館

岡本太郎現代芸術賞の入選作を展示した、第29回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)が川崎市岡本太郎美術館で3月29日まで開催中です。
通称「TARO賞」とも呼ばれる本賞は岡本太郎の没後に秘書で養女の岡本敏子によって創設され「時代を創造する者は誰か」を問う、現代美術の登竜門となっています。
今回は海外を含む644点の応募作品の中から、岡本太郎賞に輝いた高田(たかた)哲男さんの《FUKUSHIMA5000》をはじめとする21作が入選しました。1月30日に開催された、受賞式と入選作品展の内覧会のようすをレポートします。

岡本太郎賞を受賞する高田さんと、審査員の美術批評家・椹木野衣(さわらぎ・のえ)氏

授賞式後の記念撮影
受賞式は1月30日に川崎市岡本太郎美術館で開催。岡本太郎賞、岡本敏子賞(各1点)、特別賞(6点)が表彰され、岡本太郎賞には賞金200万円、岡本敏子賞には100万円が授与されています。
主催者の岡本太郎記念館 平野暁臣館長は「敏子の思いは、既存の常識やマナーにとらわれずに自由な発想で新しい芸術の在り様を追求し模索する作家を発見し、世に送り出したい」というもの。
審査のポイントは、新たな発想から新しい可能性を追求しようとしているか。この1点です」と冒頭のあいさつで説明しました。

高田哲男さん「福島の現状を伝えてほしいという、地元の方の熱い思いが制作の力になっています」
岡本太郎賞を受賞した高田哲男さんの《FUKUSHIMA5000》は、東日本大震災発生からの15年間(5440日)と同じ枚数の、福島を描いたドローイング(10 cm×12cm)と土のうを集積した作品。
自身も阪神大震災を経験した高田さんは「被災者として間接的に関係がある立場で福島にできる最大限のことをしたかった」と語り、手描きを選んだ理由について「地元の人とたわいもない話をして土地のことを知り、生活する人の営みを残したかった。写真よりイラストのほうが、ペンに乗ると思いました」と話ります。

福島の農家の日常を伝えるドローイング

岡本敏子賞受賞作 馬場敬一《死と再生のイニシエーション》 個別の作品を曼荼羅に再構成した
ダンボールを樹脂で硬化させた、馬場さんのオリジナル技法の作品です。作者が「三位一体・立体曼荼羅」と呼ぶ、自我・どくろ・女神を描いた神話的な作品です。うつ病の回復期に制作されたとのことですが、ネガティブなだけで終わらず、女神も登場して救いのある世界を描いています。
審査員の美術史家・山下裕二氏は「最も強烈なインパクトがあり、制作者の人生が凝縮されたような作品」と絶賛しました。

馬場敬一さん「とてもうれしく光栄に思っております」

Hexagon artistⓇ《眼球自我像》と作者
英語で六角形を意味するヘキサゴンを名乗るHexagon artist🄬(ヘキサゴン・アーティスト)さんは、六角形のモチーフを描くアーティストです。自分だけのテーマを探していた時に数字を描くことを思いつき、恩人にラッキーナンバーを聞いたところ「6、六角形がいい」と答えたことで生涯のテーマが決定したとか。
作品《眼球自我像》は、自身の右目を描いたもの。惑星、眼球、ご縁の円。球体は命の形と話すHexagon artistさんの、今後の活躍から目が離せません。

太田遼(はるか)《建築のような物体X/Something like the thing》と作者
内装関連の仕事をしている太田さん。2019年ごろから建売住宅のチラシや不動産会社のウェブサイトから印刷した画像を組み立てて模型を作り、同じ物件の前に模型を置いて写真を撮り始めました。
今回は写真と、その内の1つを原寸に近いサイズに拡大コピーしてA4サイズにプリントし、2カ月かけてテープでつなげて組み立てた作品の展示です。下から見上げて撮った写真が多く、そのまま組み立てるとゆがんだ形になってしまうそう。
制作の動機について太田さんは「建売住宅は社会学や都市設計の目線からはあまり注目されない存在です。建物のクレジットに入らない人たちが積み重ねた技術革新が非常に面白いと思ったのがきっかけです」と話します。無名の人々が日々織りなす、技術革新へのリスペクトが込められた作品です。

50倍近くに引き延ばし、貼り合わせた部分。画質の粗さが不思議な郷愁をそそる

深夜のモデルルームで自作の模型を撮影。電車が動いていないので、現地へは自転車で移動している

展示風景 安西剛(つよし)《Giant Micro Plastic》 巨大なペーパークラフト作品
会場の中央でひときわ目を引くポップな物体は、海岸で採集したマイクロプラスチックを3Dスキャンし、超マクロ撮影した写真をマッピングし、巨大なペーパークラフトとして再構成した作品です。
制作意図について安西さんは「厄介な環境問題であるマイクロプラスチックを巨大化させることで、もっと厄介なものにして人々に不快感を与える。『プラスチックお疲れさま!』の記念碑です」と話しました。
見えない問題を可視化し世に問う、マイクロプラスチックの解放宣言なのでしょう。

展示風景より
常設展も展示室休室前最後の展示となります。期間は2026年3月29日まで。
岡本太郎にとって「遊び」とは単なる娯楽や余暇ではなく、祭りや旅行、怒りをも含む高次のものだったようです。
本展は岡本太郎の人生と芸術における「遊び」をキーワードに、両親の岡本一平、かのこの作品も含めた所蔵品を紹介しています。

映画「大長編 タローマン 万博大爆発」に登場するキャラクターのモチーフになった作品《ノン》1970年と《顔》1952年 川崎市岡本太郎美術館

川崎市岡本太郎美術館外観
同館は改修工事に伴い、2026年3月30日~2029年3月末まで展示室での展覧会は休止されるため、特に絵画作品はしばらく見納めになります。
さらにパワーアップした受賞作を観るのを楽しみに、再開を待ちたいと思います。